2010年11月29日

◆ 日産と NEC のリチウム電池

 日産は電気自動車でトップを走っているが、その心臓であるリチウム電池は、日産の自社開発ではなかった。どちらかと言えば、富士重工のものだった。(正確には NEC ) ──

 日産は電気自動車でトップを走っている。「日産は昔から電気自動車を開発していたから、昔から日産がトップだったのだろう」と思う人も多いだろうが、さにあらず。
 電気自動車の心臓であるリチウム電池は、日産の自社開発のものではなくて、NEC が主体となって開発したものだ。(ラミネート形。ボンカレーみたいなタイプ。)
 NEC の相手となる共同事業者は、日産ではなく、富士重工だった。NEC は日産と付き合っていたのだが、共同で電池会社を作るとき、日産が誘いを断ったので、NEC は富士通と電池会社を作った。( NEC は、恋人の日産が結婚してくれないので、お見合い相手の富士通と結婚したようなものだ。)

 ところが、富士通はトヨタの傘下に入った。トヨタは(電気自動車の電池で)パナソニックと提携していた。NEC ははじき出されることになった。そこで、昔の恋人とよりを戻す形で、NEC と日産は共同事業を始めた。
 こうして、日産は NEC の最先端の技術を得て、電気自動車でトップを走ることになった。日産が優れていたからではなくて、トヨタ・富士通に捨てられた NEC が優れていたからだが。逆に言えば、トヨタが馬鹿だったからだが。  (^^);

 ──
 
 という話が、次のページで紹介されている。連載もので、かなり長い。
  → 前編
  → 中編
  → 後編
 
 特に興味深い部分を、一部抜粋しよう。企業文化がまったく異なる日産との共同作業で、NEC の社員はひどい苦しみに苛まれる。
 (両者の協同作業では)混乱も大きい。
 「我々がこんなに苦しくなったのは、どうしてですか。この責任は誰にあるのでしょう」
 若いエンジニアたちが白方に、不満を訴え出ることもある。
 「責任論はよせ。意味はないから。確かにしんどい。だが、ドタバタの中でも、俺たちはやっているじゃないか。辛いのは日産も同じだ」
 「しかし…」
 「よく考えろ。いまやっていることは、産業革命に近い。EVが普及すれば、急速充電設備の整備など社会インフラそのものが変わる。もちろん、産業革命以降、温暖化が進んでしまった地球を冷やすことにも貢献できる。産業史の転換点に、小さな俺たちはいま、立ち会っているんだぞ」
 「……」
 「こんな幸運な巡り合わせは、そうザラにはない。辛くとも、何だってできるだろう。やり抜くんだ。前に進め。人がやらない難しいこと、先のことをやるから、NECじゃないか。いや、日産といまは組んでいるから、日本のものづくりと言うべきだろう」
 詰め寄った技術者たちは沈黙する。みなのモチベーションは、上がった様子だった。が、後ろにいた1人がボソッと言った。「でも、やっぱり日産は性急だと思います」
( → 出典

 ──

 まとめ。

 日産は電気自動車で(現時点では)世界最先端を走っているが、それは日産が優れているからではなくて、トヨタが NEC を袖にしたという愚行をなしたからだ。もしトヨタが NEC を袖にしなければ、日産リーフは今ごろはトヨタ製として発売されていた可能性が高い。  (^^);
 とはいえ、日産も昔から結構頑張っていたから、NEC とトヨタがくっついていたとしたら、電気自動車が世界的に発売されるのは、数年間遅れていただろう。テスラ・モータースが世界を席巻して、日本勢は大幅に出遅れていたかもしれない。
 とすれば、トヨタが NEC を袖にして、日産に与えてしまったのは、日本全体としてみれば、好ましい結果だったと言える。トヨタはあえて愚行をして、日産と日本を救ってくれたことになる。  (^^);
 禍転じて福となす……というのとは違うな。  (^^);
 
 とにかく、日産が世界の電気自動車でトップを走っていられるのは、日産が優れていたからではなく、トヨタが愚かだったからである。

 経済学の分野では、「市場原理によって競争することで全体は向上する」というふうに説明される。しかし、あにはからんや、競争関係にある会社の一方がとんでもないポカをして、相手を大幅に利することで、かえって全体が向上する……という皮肉な現象も起こるのだ。
 世の中、複雑ですね。ひょうたんから駒、みたいだ。  (^^);
   


 [ 付記 ]
 日産が電気自動車で突っ走っているのは、先見の明があった……と褒め称えたいところだが、残念でした。先見の明があったのは、日産ではなくて、私である。  (^^); 
 数年前には、トヨタや日産やホンダやGMなどは、「燃料電池こそ次世代の自動車だ」と宣伝していた。朝日もそうだった。
 そこで私は「小泉の波立ち」のころから、「燃料電池なんて駄目だ、電気自動車こそ次世代自動車だ」と主張していた。「燃料電池なんてさっさと諦めよ。実用化ははるかに遠い将来だ。それよりも電気自動車こそ実用間近だ」と。
 こんなことを言っても、数年前には誰も耳を貸さなかった(「トンデモだ」と思っている人もいたようだ  (^^); )。だが、それから数年たって、今となってみれば、私の予言がまさしく的中したことになる。
 
  → 参考記事 「電気自動車



 【 関連サイト 】

 → 朝日 globe 電気自動車特集
posted by 管理人 at 21:22| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ