日産は電気自動車でトップを走っている。「日産は昔から電気自動車を開発していたから、昔から日産がトップだったのだろう」と思う人も多いだろうが、さにあらず。
電気自動車の心臓であるリチウム電池は、日産の自社開発のものではなくて、NEC が主体となって開発したものだ。(ラミネート形。ボンカレーみたいなタイプ。)
NEC の相手となる共同事業者は、日産ではなく、富士重工だった。NEC は日産と付き合っていたのだが、共同で電池会社を作るとき、日産が誘いを断ったので、NEC は富士通と電池会社を作った。( NEC は、恋人の日産が結婚してくれないので、お見合い相手の富士通と結婚したようなものだ。)
ところが、富士通はトヨタの傘下に入った。トヨタは(電気自動車の電池で)パナソニックと提携していた。NEC ははじき出されることになった。そこで、昔の恋人とよりを戻す形で、NEC と日産は共同事業を始めた。
こうして、日産は NEC の最先端の技術を得て、電気自動車でトップを走ることになった。日産が優れていたからではなくて、トヨタ・富士通に捨てられた NEC が優れていたからだが。逆に言えば、トヨタが馬鹿だったからだが。 (^^);
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という話が、次のページで紹介されている。連載もので、かなり長い。
→ 前編
→ 中編
→ 後編
特に興味深い部分を、一部抜粋しよう。企業文化がまったく異なる日産との共同作業で、NEC の社員はひどい苦しみに苛まれる。
(両者の協同作業では)混乱も大きい。
「我々がこんなに苦しくなったのは、どうしてですか。この責任は誰にあるのでしょう」
若いエンジニアたちが白方に、不満を訴え出ることもある。
「責任論はよせ。意味はないから。確かにしんどい。だが、ドタバタの中でも、俺たちはやっているじゃないか。辛いのは日産も同じだ」
「しかし…」
「よく考えろ。いまやっていることは、産業革命に近い。EVが普及すれば、急速充電設備の整備など社会インフラそのものが変わる。もちろん、産業革命以降、温暖化が進んでしまった地球を冷やすことにも貢献できる。産業史の転換点に、小さな俺たちはいま、立ち会っているんだぞ」
「……」
「こんな幸運な巡り合わせは、そうザラにはない。辛くとも、何だってできるだろう。やり抜くんだ。前に進め。人がやらない難しいこと、先のことをやるから、NECじゃないか。いや、日産といまは組んでいるから、日本のものづくりと言うべきだろう」
詰め寄った技術者たちは沈黙する。みなのモチベーションは、上がった様子だった。が、後ろにいた1人がボソッと言った。「でも、やっぱり日産は性急だと思います」
( → 出典 )
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まとめ。
日産は電気自動車で(現時点では)世界最先端を走っているが、それは日産が優れているからではなくて、トヨタが NEC を袖にしたという愚行をなしたからだ。もしトヨタが NEC を袖にしなければ、日産リーフは今ごろはトヨタ製として発売されていた可能性が高い。 (^^);
とはいえ、日産も昔から結構頑張っていたから、NEC とトヨタがくっついていたとしたら、電気自動車が世界的に発売されるのは、数年間遅れていただろう。テスラ・モータースが世界を席巻して、日本勢は大幅に出遅れていたかもしれない。
とすれば、トヨタが NEC を袖にして、日産に与えてしまったのは、日本全体としてみれば、好ましい結果だったと言える。トヨタはあえて愚行をして、日産と日本を救ってくれたことになる。 (^^);
禍転じて福となす……というのとは違うな。 (^^);
とにかく、日産が世界の電気自動車でトップを走っていられるのは、日産が優れていたからではなく、トヨタが愚かだったからである。
経済学の分野では、「市場原理によって競争することで全体は向上する」というふうに説明される。しかし、あにはからんや、競争関係にある会社の一方がとんでもないポカをして、相手を大幅に利することで、かえって全体が向上する……という皮肉な現象も起こるのだ。
世の中、複雑ですね。ひょうたんから駒、みたいだ。 (^^);
[ 付記 ]
日産が電気自動車で突っ走っているのは、先見の明があった……と褒め称えたいところだが、残念でした。先見の明があったのは、日産ではなくて、私である。 (^^);
数年前には、トヨタや日産やホンダやGMなどは、「燃料電池こそ次世代の自動車だ」と宣伝していた。朝日もそうだった。
そこで私は「小泉の波立ち」のころから、「燃料電池なんて駄目だ、電気自動車こそ次世代自動車だ」と主張していた。「燃料電池なんてさっさと諦めよ。実用化ははるかに遠い将来だ。それよりも電気自動車こそ実用間近だ」と。
こんなことを言っても、数年前には誰も耳を貸さなかった(「トンデモだ」と思っている人もいたようだ (^^); )。だが、それから数年たって、今となってみれば、私の予言がまさしく的中したことになる。
→ 参考記事 「電気自動車」
【 関連サイト 】
→ 朝日 globe 電気自動車特集
