そういうこと(倉庫内で商品を探し回ること)をやるのは、これまでは人間だった。Amazon では多数の労働者が低賃金をさせられていて、「非人間的な扱い」と見なされていたこともあった。
そこで、その「非人間的な扱い」を、すべてロボット化してしまったという。
その衝撃の動画は、下記にある。
cf. 解説記事
→ http://d.hatena.ne.jp/arc_at_dmz/20101108/automated_warehouse
→ http://wiredvision.jp/news/200903/2009031122.html
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この動画の倉庫の会社はどの会社かは知らないが、これと同じことを最も上手にやっている会社が Diapers という名前の会社。
この会社があまりにもすごいので、Amazon は高額で買収したという。ノウハウを買うかわりに、ノウハウをもつ会社を買収したわけだ。
→ http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/11/diapers430-d0de.html
Amazon は「全商品送料無料」というふうにしたが、その前に、この会社が「全商品送料無料」を可能とする(コストダウンを可能にする)ロボットシステムを使っていたわけだ。
そこで、対抗上、Amazon も「全商品送料無料」にしたわけだが、そのことが日本の Amazon にも波及した。
それでも現状ではまだまだ人件費のコストがかなりかかっていた。そこで、ロボット化によってコストを一挙に削減しようとしたわけだ。そのノウハウを手に入れるために、会社を丸ごと買収するわけだ。
なお、ロボットそのものは、MIT卒業生たちが設立した Kiva Systems というベンチャーが開発したものだ。 Diapers はそれを最適化する技術が傑出していたそうだ。
ま、そうですね。ロボットがどう働くかは、制御ソフトしだい。つまり、ロボットの頭脳しだい。
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ここで、面白いことに気づく。
大規模ロボットシステムにおいては、ロボットの「頭脳」は、ロボットには搭載されていない。集中的に制御する中央コンピュータがあって、それがロボット全体の頭脳となっている。
アトム型のロボットは、1台に1つの頭脳があるが、大規模ロボットシステムは、多数のボディがあっても、ロボット内の頭脳が抜けていて、頭脳はボディから離れたところに1つだけあるのだ。
これと似た発想は、私も前に述べたことがある。「多数の無人戦闘機による防空システム」という発想だ。
→ 無人戦闘機システム
これを考えたときは、空想的なものだったが、いつのまにか、それに似たものが現実化されている。SF が現実化されたような感じだ。
[ 付記1 ]
この分だと、自動車が自動制御されて、人間が運転しなくなる日も、そう遠くはないようだ。「自動車がたがいに連絡しあって衝突を回避する」というのが、従来考えられていた方式だが、むしろ、多数の自動車を中央コンピュータで一挙に制御する方がいいだろう。そうすれば、自動車の運行が最適化されて、渋滞もなくなる。
そのことを、ここで提案しておこう。(もう提案されているかな? アメリカでは。……日本は例によって遅れているのだろうが。)
[ 付記2 ]
自動車が一台ずつバラバラに自立的に判断して、たがいにぶつからないようにする(自動車が群れる鳥のようにふるまう)……ということを実行できるように、モデル的なロボットが作られた。日産の自立走行ロボット。
下記に動画がある。
→ http://youtu.be/MPFCqph-Vz0
解説記事は、下記のリンクから。
→ 検査結果
[ 付記3 ]
現実レベルでは、日産自動車がクルーズコントロールで、フーガを一定測度で長距離を走らせたそうだ。(インチキっぽい燃費データを出すために。)
→ フーガ・ハイブリッド 2 (コメント欄の11月23日 の箇所)
[ 余談 ]
あまり関連ない話題。
本を宅配便で送ると、裁断機でバラバラにした後、スキャンしてPDFデータなどに変換してくれるサービスを、1冊あたり 100円で提供する会社。
→ gigazine
Amazon から直送も可。
こんなところでも新しい産業が出ている。
ただし……
「それじゃ自分もやろう」と思う人もいるかもしれないが、この事業には将来性はない。利用者に iPad の利用者が多いことからもわかるように、ビューアーで見る電子書籍としての利用がなされている。とすれば、将来、電子書籍を直接ダウンロードできるようになると、スキャンの必要がないから、この事業は消えてしまうだろう。
ま、1〜2年は大丈夫だろうが、企業としては、逃げ足を速くして、いつでも撤退できるようにしておくことが必要だろう。
教訓。
他人の真似をしない独自の事業者は、開拓者として儲かる。他人の真似をすると、たいていは損をする。「成功者の真似をすれば、成功できる」と思う人は、金儲けの才能がないので、やめた方がいいだろう。何事であれ、人真似は駄目だ。猿じゃないんだから。
↓
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> 大きな病院に行くと院内の天井にレールがあり50センチ四方の箱の様な物が移動しています。
http://bit.ly/hZErnE
http://bit.ly/fh8wgZ
誰がいつどこへ行ったか記録できるので反対されると思いますよ。
それに予想不能な世界で走る車を何百台も同時にしかもリアルタイムにコントロールするほど処理速度は速くないですし、無線の信頼性も高くないです。
中央コンピュータで一挙に制御する、って発想は自然だしもちろん考えられているでしょう。ただ、(制御外の車の侵入などの)イレギュラー事態まで想定すると車自体での衝突回避機能は必須だし、それ以外にもある程度の自己判断機能がないと安全性は担保しきれない気がします。
中央制御がない状態でも自動走行が可能なレベルの機能を車に持たせた上で、中央コンピュータが司令官となって指示を出す、って方法が現実的ですね。
なお、数百台程度のリアルタイム制御は今のコンピュータなら能力的にはさして難しくないと思いますよ。ただ、別の問題から違ったイメージの制御になるはずです。
リモート制御によるディレイとか通信が途絶えたときの担保とかを考えると、完全な中央制御を実現するには、分身を車に植え込むような制御方法が現実的で、これは、車自体に自律的な自動運転機能を持たせることと等価です(制御プログラムだけが中央から送られるイメージです)。
この方式であれば、無線による信頼度もさして問題とならないはず。無線の信頼度も、皆さんがイメージされよりはずいぶん上がっていて、いまや企業の基幹業務で使われるレベルですし。
高速道路などの限定的場所に限定するのであれば、車の自動運転化は技術的にはかなり現実的なところにきている、ということについては、管理人さんと同意見。ただ、紹介された工場での制御よりはもう少し難しい要素が入ってきそうです。まぁ、環境の作り方も含めたソフトウェアの問題なので、(個人的な意見として)天才的な人が一人いれば、実現できちゃうと思います。