白熱電球はエコじゃないから、蛍光灯式の電球にしよう……という風潮が以前はあった。これについては、かつて何度も批判した。
その際、こうも予測した。
「将来的には、蛍光灯式の電球よりも、LED 式の電球になるだろう」
そして今、まさしく LED 式の電球が普及しかけている。
しかしながら、
「現時点で、LED 電球は白熱灯よりも素晴らしい」
という世評があるが、これは嘘である。
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このことは、朝日新聞( 2010-10-31 朝刊)にうまくまとめられてあるので、要約しよう。
- 球体の半分しか光らないので、片方向しか光が行かない。
( この図で言えば、上方向にしか光が行かない。電球の下半分は金属で覆われている。)
- ゆえに、スタンドのように全方向を照らす照明器具には不適。
- 「40ワット相当」などの測定は、片方向の側だけの測定だから、全体の照度は不足する。同じ数字なら、白熱電灯よりも暗い。測定方式そのものが不適切。
- 天井に埋め込むダウンライトでは、天井裏に断熱材があると、熱がこもり、使えない。無理に使うと、熱で回路が壊れる。
- 天井裏に断熱材があると、照明器具の傘の部分に、(S)というマーク(丸記号。直系2センチぐらい。JIL 5002 という記述つき)がある。それを見る。それがあれば、LED 電球は不適。
照明の方向の偏りをなくすなら、何らかの解決方法はある。半透明の反射鏡を電球の外側に置くとか、電球の内部に光の通路(トンネル)を作るとか。……いろいろと解決策はあるが、その解決策を採るには至っていない。
LED 電球は、原理的には優れているが、まだまだ開発途上の技術だ。「すばらしい」と称賛するほどではない。あまり世評にだまされない方がいいだろう。
参考として、画像を見たければ、下記リンクから。
【 追記 】
LED 電球は、色も良くない。いちおう白色の光となっているが、三原色があるわけではない。青色と黄色の合成である。(青色 LED で発色したあとで、蛍光色の黄色を加えている。) 当然だが、赤みは欠けている。赤色系統はきれいに出ないはずだ。
また、暖色 LED 電球(上記の Amazon )を買った人も、「色はただの黄色だ」と述べており、色に不満を覚えている。
というわけで、とうてい白熱電球のかわりにはならない。電球形蛍光灯のかわりにもならない。単に光がある、というだけのことだ。
それでも、コストとの対比で考えれば、電球形蛍光灯よりはいくらかマシかもしれない。……と思ったが、そうでもないようだ。電球形蛍光灯は、いつのまにか価格が大幅に低下している。寿命と価格の比較ならば、電球形蛍光灯もコスト的に太刀打ちできる。
→ 電球形蛍光灯(Amazon)
( ※ 電気代を考えれば LED 電球の方がコストは低いが、LED 電球は色が悪すぎるのが難だ。)
[ 付記 ]
LED の照明で、現段階で優れていると言えるのは、普通の照明ではなく、下記のものだ。前に別項で紹介したとおり。
→ LED 懐中電灯
懐中電灯は、白熱電灯がいいとは言えない。白熱電灯だとやたらと電池代がかさむからだ。LED 懐中電灯は、初期コストはかかるが、長く使えば、電池代で回収できる。