2010年10月17日

◆ ホメオパシーはトンデモか 4

 ホメオパシーはトンデモとして批判されるべきか? そうでないとしたら、ホメオパシーとトンデモとは、どう違うのか? ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-10-19 です。)

 
 ホメオパシーを「トンデモだ」と批判する人々がいる。(トンデモマニア)
 一方、彼らはホメオパシーの信者を「医療ネグレクトだ」と批判する
  → ホメオパシーは医療ネグレクトか?

 このことは、不思議ではない。「ホメオパシーはトンデモだ」という主張が正しいとしたら、彼らがホメオパシーの信者を「医療ネグレクトだ」と批判するのは正しい。
 なぜか? トンデモというのは、それを信じる者が悪いからだ。

 ──

 一般に、トンデモというものは、主張者は悪くはなくて、信じる方が悪い(愚かだ)。
 たとえば、次のような例がある。
 「アインシュタインの相対性理論は間違っていた」
 「ナチスがUFOを造っていた」
 「超ノストラダムズ平成大予言」

 
 このような主張は、荒唐無稽であるが、主張すること自体は、別に悪くはない。本人が笑いものになるだけだ。子供が幼稚な学説を出して威張るのと同様で、呆れて笑ってやればいい。

 一方、こういうトンデモな主張を信じるとしたら、信じる人は悪い。主張する人は悪くはないが、信じる人は悪い。性格的に悪いというよりは、頭が悪い。(そのせいで一種の自損行為をしている。自殺が悪いのと同様だ。)

 では、トンデモについての対策は? 
 信じる人を一人ずつ感化して矯正してやればいい。特別に頭が悪いのだから、教えてあげるわけだ。
 一方、主張者を取り締まる必要はない。主張すること自体は、何も悪くはないからだ。日本には表現の自由がある。(北朝鮮や中国とは違う。)

 以上が、トンデモにおける基本原理だ。

 ──

 ここで、ホメオパシーの問題に移る。
 ホメオパシーはトンデモか? もしそうだとしたら、トンデモである以上、上記の基本原理が成立する。つまり、主張する人は悪くなく、信じる人が悪い。
 そして、その場合は、主張する人を取り締まる必要はなく、信じる人を一人一人感化して矯正してやればいい。特別に頭が悪いのだから、教えてあげるわけだ。
 しかし現実には、そんなふうに一人一人感化して矯正することはできない。なぜなら、その人は特別に頭が悪いわけではないからだ。ごく普通の人だからだ。
 その一方で、主張する人の方は、取り締まるべきだ。なぜなら、嘘八百を並べ立てて、金を巻き上げているからだ。つまり、詐欺をしているからだ。(詐欺は犯罪である。仮に犯罪でないとしても、悪であることは間違いない。)

 ──

 ここまで見れば、結論は明らかだろう。
 ホメオパシーはトンデモではない。「主張する人は悪くはない。信じる人が悪い」という、トンデモの基本原理が成立しないからだ。

 ではホメオパシーでは、トンデモの基本原理のかわりに、どんな基本原理が成立するか? それは、詐欺の原理だ。つまり、
 「だます方が悪くて、だまされる方は悪くはない」

 ということだ。
( ※ だまされる方は、全然悪くはないとは言わないが、だます人の方がずっと悪い。)

 ──

 結局、こう言える。
 ホメオパシーの問題を「トンデモ」というふうに理解するべきではない。「詐欺」というふうに理解するべきだ。そうすれば、「信じる方が悪い」というふうに被害者を批判するかわりに、「だます方が悪い」というふうに加害者の方を批判するようになるだろう。

 やたらと「トンデモだ、トンデモだ」と騒ぐと、トンデモでないものをトンデモと見なすようになる。一種の冤罪だ。村木局長の冤罪事件と同じで、ありもしない罪をでっち上げるのに等しい。

 繰り返す。ホメオパシーは、トンデモではない。ホメオパシーを信じている人は、トンデモ信者ではない。ま、そういう面が、少しはあるとは言えるが、それは本質ではない。
 ホメオパシーの本質は、詐欺だ。だまされる方が悪いのではなく、だます方が悪い。金と命を失う方が悪いのではなく、(他人をだまして)金を巻き上げる方が悪い。錯誤ゆえに死ぬ方が悪いのではなく、錯誤させて死なせる方が悪い。
 単純に言えば、悪魔が人をだまして死なせるときには、悪魔が悪いのであって、だまされて死ぬ人が悪いのではない。また、だまされて家族を死なせる人がいるとしたら、その人も少しは悪いが、決定的に悪いのは悪魔の方だ。

 このように知ることが、真実を知るということだ。そして、そのためには、真実を隠蔽するような言葉を使ってはならない。そして、その「隠蔽するための言葉」が、「トンデモ」という言葉だ。
 トンデモではないこと(詐欺)について、「トンデモだ」と呼ぶのは、危険な青酸カリを、「まずい食品」と呼ぶようなものだ。危険性を隠蔽してしまうし、物事の本質を隠蔽してしまう。

 ──

 ホメオパシーの本質は、詐欺だ。だます方が悪いのであって、だまされる方が悪いのではない。
 ここで、「その宣伝文句(効能)は嘘だ」と批判するのであれば、その批判は正しい。主張そのものを批判するのであれば、その批判は正しい。(この意味ではトンデモマニアにも功績はある。)
 しかしながら、ホメオパシーの信者を「トンデモだ」と批判するのは、行き過ぎた行為だ。たとえば、スズメバチで家族を死なせかけた信者がいたとしたら、「そんなことはトンデモだ」と本人を批判するよりは、「こんな嘘を信じさせている連中を取り締まれ」と語るべきだ。
(特に、スズメバチのレメディなんて、それこそとんでもない。こんなのを販売する人を批判するべきだ。トンデモマニアの攻撃の矛先は、全然狂っている。)
 
 ま、その意味で、薬事法による規制が行なわれたのは、良かった。日本の行政が少なくともトンデモマニアではなかったことは、幸いだ。もし政府や自治体がトンデモマニアであったなら、ホメオパシー業者を取り締まるかわりに、信じる人々の方をいちいち指導していただろう。そのせいで、業者は野放しにされ、いつまでも被害が続出しただろう。
 


 [ 余談 ]
 「主張そのものを批判するのであれば、その批判は正しい。(この意味ではトンデモマニアにも功績はある。)」
 とすぐ上で述べた。しかし、ホメオパシーの主張そのものを批判するとき、「トンデモだ」「ニセ科学だ」と批判するのは、あまりにも見当違いだ。なぜなら、詐欺師の口車というものは、もともと口からデマカセに決まっているからだ。
 比喩的に言えば、次のような文句がある。
 結構毛だらけ、猫灰だらけ。黒い黒いは何見て分かる。色が黒くて貰い手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり。ねぇ。色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった。どう? まかった数字がこれだけ。どう? 一声千円といきたいな。おい、ダメか? おら八百、六百、ようし、腹切ったつもりで五百両、と。持ってけ。
 これはテキ屋(フーテンの寅さん)の口上だ。これを「非科学的」とか「ニセ科学だ」とか批判するのは、馬鹿げている。
 同様に、次の文章もある。
 ベンベニスト博士は、2度ノーベル賞にもノミネートされたきわめて優秀なフランス人科学者でした。
 イタリア(ミラノ)とカナダ(トロント)とイスラエル(テルアビブ)にある3つの研究所でベンベニスト博士の実験結果が再現されています。
 ホメオパシーは、ヨーロッパでは200年の歴史がある伝統ある学問(医学)であり、ドイツ、フランス、ベルギー、ギリシャ、イタリア、スイス、イスラエル、インドをはじめ多くの国で正式に医学として認めらており、医科大学のカリキュラムに組み込まれています。
 もちろん、数え切れないほどの治癒実績があります。治療効果があるはずないというのはホメオパシー療法に対する根拠のない偏見であり、間違った認識です。
 水の記憶(水がかつて存在した物質情報を保持している)に関しては証明されています。」( → 出典
 腹を抱えて笑いたくなるのが普通だろう。これをまともに科学的に批判する小児科医もいるが。( → 前出
 
 ともあれ、詐欺師のデマカセを、「トンデモだ」「非科学だ」「ニセ科学だ」と主張するのは、馬鹿げている。それはいわば、結婚を申し込んだ男が「僕はきみを必ず幸せにします。決して浮気をしません」と語るのを「トンデモだ!」と非難するようなものだ。たとえそれが守ることのできない嘘であるとしても、それはただの口からデマカセなのだから、いちいち「非科学的だ」などと非難しても仕方ないのだ。(よほどの暇人ならともかく。)
 詐欺師が何かデマカセを語ったら、単に「詐欺師の口車」として受け止めればいい。いちいちまともに受け取って批判するのは、あまりにも野暮というものだ。
( ※ いちいち科学的に批判する必要もないほど、嘘八百なのは自明であろう。「ただ水を飲めば、水の記憶で、病気が治ります」なんていうのは、明白なデタラメだとわかる。それを信じるのは、無知な阿呆ではなくて、「エコや自然はすべて素晴らしい」と思い込んでいる狂信者だけだ。)
  


 【 関連項目 】

  → ホメオパシーはトンデモか?
  → ホメオパシーはトンデモか 2
  → ホメオパシーはトンデモか 3
posted by 管理人 at 19:01| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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