2010年09月27日

◆ キジ類の祖先

 前項では、「キジ類がカモ類よりも先だ」と示した。このことから重大な結論が得られる。ダチョウ類の兄弟である未知鳥類がどんなものであるか、ということだ。 前項では、「キジ類がカモ類よりも先だ」と示した。このことから重大な結論が得られる。ダチョウ類の兄弟である未知鳥類がどんなものであるか、ということだ。

 ──
 
 前項では、「キジ類がカモ類よりも先だ」と示した。この結論は問題がある。この結論は、分子的な系統図と、必ずしも合致しないからだ。(矛盾というほどではないが。)

 前項では、「キジ類が先だ」となる。一方、分子的な系統図では、キジ類とカモ類は対等である。
 それぞれを図示すれば、次のようになる。


 
 《 前項 》

              ┏━━━━━━ カモ類
              ┃
              ┃  ┏━━━ キジ類(小型・現生)
              ┃  ┃
   ━ キジ類の祖先種 ━┻━━┻━━━ 祖先種直系 (大型・絶滅)



 《 分子的な系統図 》


                ┏━━━━ カモ類
   ━━━━━━━━━━━━━┫
                ┗━━━━ キジ類


 前者を簡略表示すれば、後者になる。とはいえ、ここには、問題が残る。次のことだ。
 「どうして、分子的な系統図では、カモ類とキジ類が対等に見えるのか? 本来ならば、他の鳥類は、カモ類から分岐しているように見えるはずなのに、なぜそうならないのか?」

 これは問題だ。

 ──

 仮に、分子的な系統図だけで解釈するなら、次のようになる。
 「キジ類とカモ類には、共通祖先は存在しなかった。はるかに古い祖先から、共通祖先を省略して、一挙にキジ類とカモ類が生じた」

 しかし、これはありえない。比喩的に言うなら、こうだ。
 「魚類から、両生類や有羊膜類という途中段階を飛ばして、一挙に爬虫類や哺乳類が生じた」
 このように「中間をすっ飛ばす」という進化は、ありえない。

 同様に、キジ類とカモ類には、共通祖先がしなかったということは、ありえない。つまり、キジ類とカモ類の共通祖先が存在したはずだ。(前に「未知鳥類」と称したもの。 → 前出項目

 では、そのような共通祖先がいたとして、なぜキジ類とカモ類が対等に見えるのか?

 ──
 
 この問題に対する理論的な解答は、ただ一つしかありえない。次のことだ。
 「キジ類の祖先種に近い種は、すべて絶滅した。キジ類のうち、何度も分岐したものだけが生き残った」

 
 図示すれば、前出の図のようになる。(再掲しよう。)


              ┏━━━━━━ カモ類
              ┃
              ┃  ┏━━━ キジ類(小型・現生)
              ┃  ┃
   ━ キジ類の祖先種 ━┻━━┻━━━ 祖先種直系 (大型・絶滅)


 ここでは、「祖先種直系」というものがあった。それはかなり大きな一群であった。しかしそのすべてはほとんどが滅びてしまい、生き残ったのは祖先種から大きく隔たったものだけであった。それは、小形化して、翼がいくらか発達して、飛翔力がかなり高まったものだった。

 比喩的に言うと、カモの仲間で生き残ったのが小型のマガンだけで、中型のマガンや大型のハクチョウ(いずれも古い種)は すべて滅びてしまった、というような状況だ。
 同様のことがキジ類にも起こったはずだ。大型で飛翔力の乏しい祖先種の一群は、すべて滅びてしまった。かわりに、何度も分岐して生じた、小型のキジ類だけが生き残った。

 このように考えれば、現生のキジ類が、キジ類の祖先種から、かなり大きく隔たっていることが理解される。そして、この場合には、現生のキジ類と現生のカモ類とが、ほぼ対等であるように見えるわけだ。(キジ類の古い大型種が見えなくなってしまったので。)

 仮に、キジ類の古い大型種が現存していれば、その場合の「キジ類」というのは、かなり古い系統になるので、次の順の系統が見えるはずだ。

    キジ類 → カモ類 → 他の鳥類


 しかしながら、キジ類の古い大型種が絶滅してしまったので、キジ類とカモ類がほぼ対等に見えてしまうのだ。
 図示的に示すと、次のようになる。

  カモ類:         ━━━━
  キジ類:      ━━━━━

 本当は、キジ類はカモ類よりもずっと早くから生じていた。しかし、その初期の種は、灰色の時期には存在したものの、早々と絶滅してしまった。一方、キジ類のうち、途中から分岐した種は、今日まで存続した。そのせいで、現生する種だけを見ると、キジ類とカモ類がほとんど対等に見える。
( ※ 灰色があれば、灰色から青が分岐したことがわかるが、灰色がないと、赤と青が並存しているように見える。灰色から青へのつながりが見えないからだ。)

 ──
 
 理論的には、以上のように説明できる。
 では、このことは、実証されるか? ある程度、実証可能だ。それには、分子的な系統図を見ればいい。
  → 分子的な系統図(時間込み)

 この図は、前出の「鳥類の系統図」と同等のものだが、時間も込みになっている。そこを見るとわかるが、キジ類の各種は、カモ類の各種に比べて、分岐の時期がはるかに新しいものばかりだ。
 つまり、キジ類のうち、カモ類と同じぐらい古い時期に分岐したもの(初期の種)は、この系統図にはほとんどない。
( ※ ホウカンチョウが例外だが、ホウカンチョウは1種しか残っていないから、この種もまた、比較的新しく分岐してできたものだと推定できる。ホウカンチョウ類のうち、古いものはみんな絶滅してしまったのだろう。)
( ※ なお、七面鳥はこの系統図にはないが、七面鳥はキジ科に含まれるから、七面鳥が古い大型の種に相当するということはない。)


 ──

 こうして、重大な結論を得ることができた。こうだ。
 「キジ類のうち、古い大型の種は、みな絶滅してしまった。残っているのは、何度も分岐して、小形化して飛翔力をもつものだけだ。」


 逆に言えば、こう言える。
 「キジ類のうち、初期のものは、大型で、翼が発達不足で、飛翔力が不十分だった。そのような種は、今日では残っていないが、存在していたはずだ」

 このことが強く推定される。理論的には必然的だとも言える。

 ──

 そして、ここまで言えば、次のように明言してもいいだろう。
 「(前出の)未知鳥類とは、(広義の)キジ類そのものである。ただし、現生のキジ類には、未知鳥類に相当するものは生き残っていない。その未知鳥類は、キジ目に分類される種だが、現生のキジ類のどの属にも属さない。遺伝子的には現生のキジ類に近縁であっても、形態的には現生のキジ類とかなり異なる。というのは、現生のキジ類は、何度も分岐して、祖先種から大きく隔たってしまったからだ。」


 ここで、(未知鳥類が)「形態的には現生のキジ類とかなり異なる」というのは、次のことを意味する。
  ・ 大型である
  ・ 首が長い
  ・ 頭部は、ハゲているか、トサカがある
  ・ 足が発達している(後肢が長く、腿の筋肉が大きい)
  ・ 翼が発達不足で、風切り羽も発達不足
  ・ 竜骨突起も発達不足
  ・ 飛翔力が不足
  ・ 捕食されやすく、絶滅しやすい


( ※ 全体的には、七面鳥に似た感じがあるが、もっと大きく、首が長く、足が大きい。)

 ──

 このようなキジ類が、先の「未知鳥類」である。これを「原始キジ類」と呼ぼう。
 走鳥類は、「ダチョウ類と原始キジ類」とからなる。共通祖先から、ダチョウ類と原始キジ類が分岐した。


 その後、原始キジ類では、直系の子孫が絶滅した。
 ただし、比較的古く分岐した種から、カモ類が出現した。そのカモ類は、「大型である/首が長い」という原始キジ類の形質を受け継いだ、大型のカモ類であった。(ハクチョウのようなもの。)
 他方、原始キジ類がしばらく続いたあとで、そこから分岐したキジ類もあった。それは、小形化して、首を短くして、翼をいくらか発達させ、飛翔力をいくらかもつようになったものだ。
 これらの新しいキジ類は、十分な飛翔力をもつには至らなかったが、数メートルの高さまで飛ぶ飛翔力はあったので、捕食者である獣から逃れる能力はあった。それゆえ、捕食されずに、生き延びることができた。かくて、現在まで、その系統(新しい小型のキジ類)は続いた。
 
 以上のように考えることで、すべては説明がつく。



 [ 付記 ]
 原始キジ類が生存したのは、いつごろか? 
 カモ類の化石は 6800万年前ごろの地層から見つかっている。そこのカモは、すでに首がいくらか短縮している。とすると、(首の長い)初期のカモが出現したのは 7100万年前ごろ。
 原始キジ類はそれよりも前に出現していたはずだから、7400万年前ごろか。おおざっぱに言って、7500万年前に出現して、7000万年前にカモ類を出現させ、6500万年前の恐竜絶滅期を迎えたのだろう。
 
 小型のキジ類がいつ頃生じたか? それは、分子系統樹に従うといいだろう。非常におおざっぱだが、4000万年前 〜 2000万年前ごろか。
 たとえば、ホウカンチョウ目が分岐したのは 6000万年前ごろだろうが、その大型の子孫は大部分が絶滅したはずだ。何度か分岐したあとの最後のころに分岐した小型の1種類のもの(ホウカンチョウ科の数種)のみが、今日まで残った。そのホウカンチョウ科の分岐は、2000万年前ごろか。(かなりあやふや。)
 
 [ 余談 ]
 原始キジ類は、いつごろに滅びたか? もちろん、はっきりしない。あやふやなまま推測すれば、……
 有袋類が多い間は、まだ生き延びることもできたかもしれないが、有胎盤類が多くなると、とても生き延びることはできなかっただろう。有胎盤類は、賢くて、敏捷だから、モタモタしがちな大型のキジ類を補食することは容易だっただろう。
( ※ 原始キジ類は、恐鳥類よりは脳が発達していたはずで、その分、恐鳥類よりは、敏捷であっただろう。だから、恐鳥類に補食されることは、あまりなかっただろう。)
 



 【 追記1 】
 原始キジ類は、体が大きくて、翼が小さいから、飛翔力はほとんどなかったはずだ。なのに、そのような中途半端な形質をもっていたのは、なぜか? 特に有利とも思えない形質を、あえて持っていたのは、なぜか? これは問題だ。
 私の想像では、次の (1)(2) となる。
  •  (1) 子供の時期には、まだ体が大きくなかったので、不完全な翼であっても、少しは飛ぶことができた。ゆえに、捕食される率が少なかった。不完全な翼であっても、翼をまったくもたない仲間よりは、生存率が少し高かった。その結果、子供の時期に、翼が少しずつ発達していった。
  •  (2) やがて、大人になっても、子供の体格のまま体を成長を止めた個体が、生じるようになった。つまり、成体のときに小形化している個体が、生じるようになった。
  (2) では、「成長を止める」という形の進化(一種のネオテニー)がある。これは比較的容易に起こる。そのせいで、原始キジ類から、カモ類や中型キジ類への進化は、かなり急速に進んだと思える。つまり、飛べない原始キジ類から、飛べるカモ類・キジ類への進化は、かなり急速だったと思える。そのせいで、原始キジ類の化石は、まったく見つからないのだろう。(水鳥でなく陸鳥であったことも, 化石が残りにくい理由だが。)

 ちなみに、ダチョウの子供(赤ちゃん)は、こんな感じ。
   →  画像ページ(子供)画像ページ(赤ちゃん)
  
 赤ちゃんの方は、ちょっとカモに似ている。カモが(祖先種から)幼形成熟の形で進化したのは、たぶん間違いないだろう。
  


 【 追記2 】
 レア( Rhea )という鳥類がいる。これは、ダチョウに似ている。ただし、ダチョウよりも小型で、翼をもつ。……とすると、これは、上記の「原始キジ類」にかなり似ていることになる。
 
 レアは翼をもつ。それはなぜか? 走るのに不便そうに思えるが、実は、走るのに有利だという。走りながら帆のように動かすそうだ。そのせいで高速に走れるという。
  → Wikipedia

 これはわかる。人間が走るときに、左右の腕を、左右の足とは反対方向に動かすのと同じだ。体のバランスを取っているわけだ。
 ただし、あまり走らない エミュー や キウイ では、翼は退化している。(これはまさしく退化である。鳥類の系統図を見れば、エミュー や キウイ は レアの子孫にあたるとわかる。)
 おそらくレアは、原始キジ類の形質をよく残しているのだろう。

 原始キジ類との共通祖先から、次の三通りが生じた。
  ・ 原始キジ類 → キジ類・カモ類(未熟な翼を発達させたもの)
  ・ レア   (未熟な翼をそのまま残したもの)
  ・ ダチョウ(未熟な翼を退化させたもの)

 
 ダチョウが翼を退化させたのは、大型になるにつれて未熟な翼は邪魔になったからだろう。ダチョウにおいては、未熟な翼よりも、体の大型化の方が重要だったわけだ。(乾燥地帯では水もろくに飲めないことが多いので、体の大型化が役立ったのだろう。小型だと体重あたりの水分蒸発量が多くなるからだ。)
 原始キジ類の方は、逆に、進化のすえに、小形化して、飛翔力を高めていったのだろう。そのうち、森林の内部に移動したものがキジ類で、水辺に移ったものがカモ類だ。
 レアは、前肢に関しては元のままの姿をだいたい残したのだろうが、個体数を増やせなかったのだろう。

 《 注 》

 レアと原始キジ類とは、同じではないだろう。これらはたぶん共通祖先を持つ。
 共通祖先は、未発達な前肢を持ったはずだ。その未発達な前肢(未発達な翼?)を退化させたのが、ダチョウだ。(体の大型化にともなって。)
 レアと原始キジ類は、どちらもその未発達な前肢(未発達な翼?)を発達させた。ただし、系統は別々だろう。系統樹でも大きく隔たっているからだ。つまり、次の順序は成立しない。
   レア → 原始キジ類
 レアと原始キジ類は、どちらも翼をもつようになったが、それは共通祖先が未発達な前肢(未発達な翼?)をもっていたからだ。レアの翼は、よく走るためであり、キジ類の翼は、よく飛ぶためだ。両者はまったく別の系統で進化したと思える。
 レアの翼は、翼というよりは、羽毛のある前肢と呼んだ方がいいかもしれない。もっとも、形状自体は、豊かな羽毛があるせいで、翼のように見えるが。(その羽毛は、風を起こすというよりは、走りながら風になびくだけであるようだ。)

 《 参考 画像 》

 不鮮明な画像だが、とりあえず示す。
   → レアの翼1
   → レアの翼2

 《 参考 動画 》

   → レアの走行
   → レアの喧嘩



 【 追記3 】
 原始キジ類の化石は、なぜ見つからないのか?
 それは、次の三つの理由によるはずだ。
  ・ カモ類よりも古いので、あまりにも時期が古い。(それだけ見つかりにくい。)
  ・ カモ類のように水辺にはいないので、化石が残りにくい。
  ・ 飛翔能力がないので、カモ類のように各地に分散できなかった。


 逆に言えば、カモ類は、化石が見つかりやすい状況にあった。
  ・ 原始キジ類よりも新しいので、それだけ化石が見つかりやすい。
  ・ 水辺にいるので、遺骸の骨が化石になりやすい。
  ・ 飛翔能力があるいので、各地に分散できた。(特に南極。)

 このように、カモ類は化石が見つかりやすい状況が整っていた。それでいながら、初期のカモ類の化石は、最近まで一つも見つからなかった。

 つまり、ずっと見つかりやすいカモ類の化石でさえ、非常に見つかりにくいのだ。となると、原始キジ類の化石が見つかる可能性はほとんどない、と言えるだろう。
( ※ もし賭けるのならば、「あと百年間は見つからない」という方に、私は賭ける。百年後なら、ひょっとして、何か特別な感知方法が見つかるかもしれないが。)
   
posted by 管理人 at 23:47| Comment(3) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2010年10月08日 20:01
最後に  【 追記2 】 を加筆しました。翼をもつ走鳥類(レア)の話。

 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2010年10月12日 00:22
最後に 【 追記3 】 を加筆しました。
  タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2011年08月26日 12:15
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