2010年09月26日

◆ 樹上性/地上性(飛ぶ前)

 鳥の祖先は、飛ぶ能力を十分にもつ前は、どうしていたか? 樹上で暮らしたか、地上で暮らしたか? 
 
       ▲ ▲ x   樹上
       ▲ ▲ 
       ┃ ┃ £  地上

 ── 

 鳥(鳥型恐竜を含む)は、空をうまく飛ぶ前は、どうしていたか? 空をうまく飛ぶ前には、うまく飛べなかった。飛ぶ能力が不完全であった。その場合について、二通りの解釈がある。
   ・ 樹上性 …… 樹上で生活しながら、ムササビのように滑空する。
   ・ 地上性 …… 地上で生活しながら、だんだんと飛翔能力をもつ。


 そのどちらが正しいか、という議論は、昔からなされてきた。初期には、樹上説が優勢だった。だが、地上生活をする羽毛恐竜がたくさん見つかるにつれて、地上説が優勢になった。
  → 解説サイト
 今のところ、きちんとした結論は出ていないようだ。

 ──
 
 そこで、私がきちんとした結論を出してみよう。まずは、先の系統図を見てほしい。
   → 恐竜と鳥の系統図

 これに対して、次の結論を出す。
   ・ 飛べない …… ヴェロキラプトル/オビラプトル/恐鳥類・走鳥類
   ・ 樹上性 ……… ミクロラプトル・グイ/古鳥類
   ・ 地上性 ……… 新鳥類

 つまり、系統ごとに異なる。全部まとめてひとくくりにしない。

 (1) 飛べない

 ヴェロキラプトル/オビラプトル/恐鳥類・走鳥類は、すべて、全然飛べない。しいて言えば、地上性だが、もともと飛べないのだから、樹上性でも地上性でもない。

 (2) 樹上性

 樹上性と言えるのは、ミクロラプトル・グイ/古鳥類だ。
 これらはいずれも、ムササビぐらいの大きさの、小型生物だ。小型であるがゆえに、空中生活は可能であったろう。初期の翼は未発達だから、滑空する形で飛んでいたのだろう。
 これは十分に考えられるストーリーだ。というのは、樹上には虫がいっぱいいるから、虫を食べる生活をしながら、一つの樹木から別の樹木へと、滑空することが便利だからだ。
 この場合、大事なのは木登り能力である。そのあとは、ちょっとジャンプして滑空するだけでいい。長い距離を飛ぶ必要はない。枝から枝へと渡る能力だけがあればいい。そして、その能力があれば、十分に有利なので、樹上でうまく生活していける。(足はあまり発達していなかったようだ。)

 (3) 地上性

 地上性と言えるのは、新鳥類だ。
 最初は、恐鳥類や走鳥類として、地上生活をした。この段階ではまだ、飛ぶ能力がない。体も大型だ。
 その後、体が小形化して、ニワトリぐらいの小さな翼をもつようになった。ニワトリを見ればわかるように、地上高3メートルぐらいまで飛翔する能力があるが、長く飛ぶことはできない。未発達な翼をもち、未発達な飛翔能力がある。
 こういう段階を経て、徐々に空を飛ぶようになったと思える。(ニワトリなどは足が発達している。)

 ──
 
 以上のように、二つのタイプがあったと考えられる。
 このようなタイプ分けは、体のサイズと関係がある。

 樹上性の方は、昔の恐竜や古鳥類などだ。こちらは、体の小形化が先にあったのだろう。体を小形化した羽毛恐竜が、樹上に上って、虫を食べるようになった。そして、羽毛が風切り羽に進化した種では、滑空する能力をもつようになったので、風切り羽が発達して、翼をもち、滑空する能力をどんどん発達させた。
 最初は、同じ木の枝から枝へ、猿のようにジャンプするだけだっただろう。しかしやがて、隣の木の枝に移れるほど、滑空する能力を高めたのだろう。

 地上性の方は、新鳥類だ。こちらは初期には走鳥類だったので、体の大きさはかなり大きかった。また、発達した足をもっていた。地上生活をする原則である。そのうち、前肢が生えて、風切り羽を持ち、翼をもつようになると、ちょっとジャンプする能力を備えたわけだ。(たぶん捕食する哺乳類から逃れるためだっただろう。その能力をもつと、生存に有利となる。)……そのあと、翼をさらに発達させて、カモのような十分な翼を備えるようになったのだろう。

 ──

 結論。

 恐竜や鳥が飛ぶ能力をもつようになった過程は、地上性と樹上性の二つの経路がともにあった。新鳥類は、地上性。その他の恐竜や古鳥類は、樹上性。別の経路で、翼をもつ生物が誕生した。(どちらか一つだけがあったわけではない。)



 [ 付記1 ]
 以上では、異鳥類・真鳥類についての話は除外されている。
 異鳥類・真鳥類は、もはや十分に飛べる。その祖先が樹上性であるか、地上性であるかがは、よくわからない。そもそも、異鳥類・真鳥類は、祖先が何かもよくわかっていない。
 ただ、私の推定では、体が小形化しているし、足も未発達なので、たぶん、異鳥類・真鳥類は樹上性だったと思える。たぶん。
( ※ とはいえ、現生の小型鳥類も同様だから、あまりはっきりとしたことは言えない。)
 
 [ 付記2 ]
 ヴェロキラプトルはどうか? 発達した足と風切り羽をもっていた。このことから、
 「地上を高速で駆けながら、翼で飛ぶための準備をしていた」
 という説(地上説)が生じた。しかし、「翼で飛ぶことの準備」のために高速で駆け回る馬鹿はいない。千年後の子孫のために現在駆け回る馬鹿はいない。
 ヴェロキラプトルの翼は、「いつか翼で飛ぶことの準備」のためにあったのではなく、その時点ではっきりとした有用性があったはずだ。とはいえ、実際に飛ぶためには、体は大きすぎて、翼は小さすぎる。そこで、次の説が出る。
 「体を浮かせる感じで軽くしながら、高速で駆け回った」
 詳しくは別項。
  → ヴェロキラプトルと鳥類
 
 ついでだが、ミクロラプトル・グイの前に、シノルニトサウルス(中華竜鳥)もいる。これも不完全な翼をもつ。その点では、ヴェロキラプトルと同様だ。
  
 [ 余談 ]
 「鳥の祖先はどちら? 樹上性? 地上性?」という質問には、どう答えるか? (ここでは主語は「鳥」に限定されている。恐竜は含まない。)
 「鳥」を新鳥類とすれば、「地上性」が解答だ。
 しかし、新鳥類に限らず、古鳥類・異鳥類・真鳥類も含めた「鳥」を考えるなら、「地上性」「樹上性」の双方が解答となるだろう。
 とはいえ、「古鳥類〜真鳥類」は鳥類でなく爬虫類であると考えるなら、主語の「鳥」は新鳥類だけなので、「地上性」が正解だと言えるだろう。

 


 【 追記1 】
 放し飼いにされたニワトリは、高さ5メートル以上の樹木にも飛び上がれるそうだ。犬などに襲われたときに、樹上に逃げるという。
( → 検索
 このことから、次のように結論できる。
 「地上性のキジ類が翼をもったとき、翼は遠くへ飛ぶためというより、樹上に逃げるためであった。草原で水平距離を稼ぐためではなく、森林で捕食者から逃れるためであった」
 こう考えれば、中途半端な飛翔力が有利であった理由がわかる。水平距離をたどることが大事なのではなく、上方へ逃げることが大事だったのだ。
( ※ キジは原則として地上で過ごす。厚く茂る草に隠れたり、樹木の間にひそんだりする。外敵が多いので、姿をさらさない場所を好む。たまに数十メートルを飛ぶこともある。)
  
 【 追記2 】
 地上性の鳥は高速で駆けることで、地上を離脱して飛翔した……という説があるが、それは成立しないことがわかる。
 高速で駆けるとしたら、ダチョウのように発達した筋肉をもつ後肢が必要だが、それでは筋肉が付きすぎて、重くなりすぎる。飛べなくなる。

 では、正しくは? 
 上記で説明したニワトリと同様だ。小さな翼を羽ばたかせて、垂直に数メートルのジャンプをしただけだ。あるいは、水平に数十メートル。
 いずれにせよ、飛行機みたいに「走って飛ぶ」わけじゃない。鳥は飛行機じゃないんだから、飛行機の真似をする必要はない。
( ※ ただし例外的に、大型の鳥類では、少し助走をすることがある。たとえば、オオハクチョウ や、アホウドリがそうだ。→ アホウドリの離陸(動画)オオハクチョウの離陸(動画)
 


 【 関連項目 】

  → 鳥型生物の2系統

 上記の2系統は、「樹上性/地上性」とおおむね一致する。
posted by 管理人 at 21:52| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ