2010年09月24日

◆ 真鳥類と新鳥類

 真鳥類のうちで古いものは、イクチオルニスやヘスペロルニスなどがある。これらは、現生鳥類を意味する新鳥類とは異なる。 ──

 鳥類の分類は、次のようになる。( → Wikipedia
 
    § 鳥類 Aves
    
      * 古鳥類 Archaeornithes  (始祖鳥など)
      * 真鳥類 Pygostylia

         o Confuciusornithidae (孔子鳥など)
         o Ornithothoraces
            + Enantiornithes (シノルニスなど)
            + Ornithuromorpha
               # Hesperornithes (ヘスペロルニスなど)
               # Carinatae
                  ・ イクチオルニス
                  ・ 新鳥類 Neornithes (現生鳥類など)

 このうち、一番上の古鳥類は、絶滅した。一番下の新鳥類は、現存する。では、その中間は? 古鳥類と新鳥類の間は、どうなっているのか? それが問題だ。これを本項の課題とする。

 ──

 新鳥類以外のものは、(古鳥類でなく)真鳥類であっても、すでに絶滅した。また、その子孫も、現存しない。どうしてかというと、すべて白亜紀末までに絶滅したからだ。(イクチオルニスなど。)
 それでも、これらは翼をもつ鳥であり、その多くは空を飛ぶことも可能であったので、真の鳥であると見なされる。(だから「真鳥類」という和訳も与えられる。)
 そしてまた、この分類に従えば、新鳥類以外(イクチオルニスなど)は、新鳥類に先立つ祖先の位置にあると見なされる。(進化論的には。形態的な理由で。)

 しかし、ここで矛盾が生じる。
  ・ 進化論的には …… 新鳥類以外は、新鳥類に先立つ祖先だ
  ・ 系統的には  …… 真鳥類の系統に新鳥類があるわけではない


 たとえば、イクチオルニスの仲間はすべて絶滅した。ヘスペロルニスの仲間もすべて絶滅した。シノルニスの仲間もすべて絶滅した。孔子鳥の仲間もすべて絶滅した。これらの仲間はすべて絶滅したのだ。現在でも生き延びているのは、新鳥類という系統ただ一つである。(系統的には、イクチオルニスなどの系統に現生鳥類があるわけではない。)
 そして、その理由は、「イクチオルニスなどの古い真鳥類は、白亜紀末の気温低下で絶滅した」からだ。

 ここまで考えると、古い真鳥類(新鳥類以外のイクチオルニスなど)は、とうてい新鳥類と同類とは見なしえない。なぜなら、恒温性をもたなかったと推定されるからだ。

 とすれば、新鳥類の系統を、真鳥類から分離して、新たに一系統として立てるといい。古い真鳥類のみを「真鳥類」と呼び、そこには新鳥類を含めなければいい。つまり、次のように分類する方がいい。

    § 鳥類 Aves
    
      * 古鳥類 Archaeornithes  (始祖鳥など)
      * 真鳥類 Pygostylia

         o Confuciusornithidae (孔子鳥など)
         o Ornithothoraces
            + Enantiornithes (シノルニスなど)
            + Ornithuromorpha
               # Hesperornithes (ヘスペロルニスなど)
               # Carinatae
                  ・ イクチオルニス

      * 新鳥類 Neornithes  (現生鳥類など)

 この分類では、新鳥類は、真鳥類の一部門ではなく、古鳥類や真鳥類に並ぶものだ。どちらかと言えば、古鳥類と真鳥類を合わせて「旧鳥類」と呼び、これを「新鳥類」に対比させたい。
 この場合、旧鳥類は、恐竜の一部門であり、恒温性をもたない。それゆえ、白亜紀末にすべて絶滅した。
 一方、新鳥類は、古鳥類や真鳥類を経由せずに、恐竜のオビラプトル類から直接進化した。新鳥類のうち、初期のものは、翼をもたず、恐鳥類・走鳥類に属する。しかし、翼の有無にかかわらず、新鳥類は新鳥類である。(恐鳥類・走鳥類は「古顎類」に分類され、キジ・カモ科以降は「新顎類」に分類される。)

 以上のように分類すれば、きれいに分類される。
 なお、真鳥類の祖先は、後期のオビラプトル類ではなく、古鳥類の始祖鳥であっただろう。こうして古鳥類を起源として、恒温性はもたなくとも、飛ぶ能力だけは十分に備えた、真鳥類が出現した。
 
 このように推定できる化石的な根拠はある。それは、真鳥類が出現した時期がかなり古いことだ。ガンスス・ユメネンシス は、1億1000万年前に出現した。Hesperornis は 9500万年前に出現した。Ichthyornis は 9350万年前に出現した。Hesperornis は 8900万年前に出現した。
 一方、ドロマエオサウルス類ヴェロキラプトル (翼の原型をもつ恐竜)は、8300万年前に出現した。
 この双方を比較しよう。もし「真鳥類の祖先はヴェロキラプトルだ」とすれば、「真鳥類の祖先よりも先に、真鳥類が生じていた」ということになる。つまり、「先祖よりも先に子孫が生まれた」ことになる。そういう矛盾が生じる。

 この矛盾を回避するには、次のように考えるしかない。(ここで、真鳥類とは、古い真鳥類のことで、新鳥類を含めない。)
  • 真鳥類は、白亜紀後期のヴェロキラプトルの子孫ではない。
  • 真鳥類は、白亜紀後期のオビラプトル類の子孫でもない。
  • 真鳥類は、ジュラ紀後期(1億5000万年前)の始祖鳥から生じた。
  • 新鳥類は、白亜紀後期のオビラプトル類の子孫である。
  • 真鳥類は、新鳥類の祖先ではない。(白亜紀末に絶滅した。)
 こう考えれば、時間的な矛盾は解消する。また、ジュラ紀の始祖鳥ほど古くはないが、白亜紀中期から鳥の形態を取っていた謎も、解消する。なお、「始祖鳥は鳥類の祖先ではない」と言われるが、それは、「新鳥類の祖先ではない」という意味であり、「真鳥類の祖先ではない」という意味ではない。

 単純に言えば、真鳥類は、(始祖鳥のような古鳥類に由来する)「第2の古鳥類」なのだ。その形姿は、いかにも現生の鳥類に似ているのだが、翼や羽毛というものはしょせんは本質的なことではない。( → 鳥の翼と羽毛
 それゆえ、真鳥類は、「鳥」とは見なされないのだ。(仮に、翼と羽毛をもって「鳥」と規定するのであれば、現生のダチョウ類は「鳥」ではなくなる。ニワトリだって、まともな翼がないから、「半分だけの鳥」と見なされてしまう。それでは変だ。)

 鳥類というものは、「翼」というような形質で分類されるものではなく、系統によって分類されるものだ。(鯨やコウモリが哺乳類であるのと同じ。)
 それゆえ、古鳥類や真鳥類は、爬虫類の一種(翼をもつ爬虫類)であって、鳥類ではないのだ。また、翼をもたなくとも、ダチョウやペンギンは鳥類であるのだ。



 [ 付記1 ]
 真鳥類は、古鳥類の子孫だろう。(私の考えでは。)
 ただし、ドロマエオサウルス科の子孫である可能性も、否定できない。その可能性もなくはない。ドロマエオサウルス科は、白亜紀前期から生じているからだ。特に、ミクロラプトル・グイは有力な候補だ。
 ただし、ドロマエオサウルス科(ミクロラプトル・グイ)から真鳥類へ、一挙に進化したとは思えない。ミクロラプトル・グイは、鳥に似た形だとはいえ、鳥とはかなり違うし、いまだ恐竜に分類される種だ。始祖鳥よりも、はるかに原始的だ。
 真鳥類の祖先は、やはり、ドロマエオサウルス科ではなく、古鳥類であろう。それが私の見解だ。

 [ 付記2 ]
 新鳥類の祖先は、ディアトリマのような恐鳥類だろうか? 私の推定では、こうなる。
 「白亜紀末には、すでにカモ・キジ類が生じていたはずだし、その少し前には、恐鳥類や走鳥類が誕生していたはずだ。ただし、化石が見つかっていないだけだ」
 このことは、「化石がないので弱い」と思われている。しかし実は、近年になって、画期的な化石が発見された。白亜紀末にはすでにカモ類が生じていた、と示す化石。
  → カモの化石( 6800〜6600 万年前)Nature

 白亜紀末は、恐竜の繁栄した時期だし、真鳥類も繁栄した時期だ。そこにあっては、陸上の恐鳥類や走鳥類は、恐竜に駆逐されて、ひっそりと生きるだけだっただろう。また、恐鳥類や走鳥類から進化したカモ・キジ類は、すでに繁栄している真鳥類(イクチオルニスなど)のもとで、生きることはうまくなかっただろう。カモ・キジ類は、恒温性はあったものの、飛翔能力は高くなかったからだ。
 というわけで、恐鳥類や走鳥類やカモ・キジ類という新鳥類は、白亜紀末は劣勢で、数が少なく、化石を残せなかったのだと思う。
 しかし、巨大隕石が落ちて、地球は一挙に寒冷化した。陸上の王者である恐竜も、空の王者である真鳥類も、一挙に絶滅した。そこで、それまでは劣勢だった新鳥類(恐鳥類や走鳥類やカモ・キジ類)が、それまでの真鳥類にかわって、陸上と空を支配したのである。(哺乳類が地上で発達するのは、そのずっと後のことだ。)
  


  
 ※ 本項は、次項に続きます。本項では説明しきれない情報を、次項で補足します。
 
   → 次項 [ 古い真鳥類(イクチオルニス・他)
posted by 管理人 at 19:52| Comment(1) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
真鳥類(イクチオルニスなど)が古鳥類の子孫であることは、化石的に証明可能だとも思う。それを証明するには、次のことを調べればいい。
 「真鳥類の指は、どの指が残っているか? 恐竜型(1,2,3)か、鳥類型(2,3,4)か?」
 → http://openblog.meblog.biz/article/1812652.html

 私の推定では、恐竜型であるはずだ。このことにより、真鳥類は現生鳥類の祖先ではないことを結論できると思う。(推定)

 現実には、このことを調べた研究はないようだ。

 ──

 なお、私の考えに従えば、鳥類が恐竜型と異なるのは、鳥類ではいったん前肢が消失して、恐鳥類・走鳥類になったからだ。

 なお、恐竜はほぼすべてが恐竜型だが、一部に例外がある。(リムサウルス。)
Posted by 管理人 at 2010年09月25日 09:54
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