2010年09月15日

◆ 走鳥類の羽毛と足

 走鳥類(翼のない鳥)は、翼のある鳥よりも先に出現した。
 このことを明白に証明することが可能だ。それには、羽毛と足を見ればいい。 ── 
  
 走鳥類は、翼をなくしたのではなく、翼をまだ生やしていないだけだ。このことは、前項でも述べた。
  → 走鳥類とドードー

 そこでは「竜骨突起の有無」に着目したが、もっと明白な証拠がある。それは、羽毛と足だ。

 走鳥類の羽毛

 現存する走鳥類であるダチョウ類を見ると、その羽毛は、普通の鳥の風切り羽ではない。獣毛みたいにふんわりと体を温めるタイプの羽毛だ。というのも、羽毛に軸がないからだ。( → Wikipedia
 そのような羽毛は、画像で確認できる。
  → ダチョウエミューレアキウイ (画像)

 写真だけでは、風切り羽かどうかわかりにくいが、ダチョウの羽毛は、一応風切り羽である。
   → ダチョウの羽毛(拡大)

 一方、ドードーは、もともとは飛ぶ鳥(ハト)だったので、風切り羽が(表面に沿って)寝ている。
   → 走鳥類とドードー

 なのに、たいていのダチョウ類では、羽毛は毛羽立っており、獣毛のように生えている。このことは、羽毛が保温のためだけにあることを示す。

 また、特に頭部や首のあたりに着目すれば、風切り羽はまったくなく、獣毛状の細長い羽毛があるだけだ。
   → ダチョウの頭部の羽毛 (画像)

 こういう獣毛のような羽毛は、羽毛として未発達な段階であることを意味する。

feather.png

  《 羽毛の発達史 》( Wikipedia から。)
    cf. 鳥の翼と羽毛

 羽毛にはこのような進化の段階があったということは、ニワトリの誕生時のヒヨコが、獣毛状の羽毛をもつことからもわかる。(ヒヨコが成長して成体になると、羽毛が風切り羽になる。つまり、進化の歴史をたどる。)
  → ヒヨコの羽毛
 
 ──
 
 以上からわかるだろう。
 羽毛というものは、獣毛状に立っている羽毛から、寝て生える風切り羽に、進化していく。鳥類が「飛ぶ鳥」になったとき、そういう進化をたどる。
 そして、その進化は、逆行しない。だから、飛ぶ鳥が地上を歩くようになったドードーでは、「寝て生える風切り羽」という形質を失わずに保持している。「寝て生える風切り羽から、獣毛状の羽毛」へという、進化の逆行は起こらないのだ。(絶対に起こらないとは言えないが、非常に起こりにくい。)

 さて。ダチョウはどれもこれも、「獣毛状の羽毛」をもつ。
 ここで、
 「ダチョウ類は、翼をもつ鳥から進化した」
 と仮定すれば、
 「ダチョウでは、羽毛について進化の逆行が起こった」
 ということになる。このことは、ダチョウ類のうちの特定の1種だけでなら、例外的に起こるかもしれない。しかし、ダチョウ類のどの種でも必ずそういうことが起こったとはおよそありえない。

 というわけで、こう結論できる。
 「羽毛の進化と照らし合わせると、ダチョウ類の羽毛は進化的に未発達で、翼のある鳥類の羽毛は進化的に発達している。ゆえに、ダチョウ類の方が、進化の程度は少ないと考えられる」
 つまり、進化の順序については、
  「ダチョウ類 → 一般の鳥類」
 つまり、
  「翼のない鳥 → 翼のある鳥」
 という順序が成立するのだ。
 要するに、
 「ダチョウ類では、翼をなくしたのではなく、翼がまだ生えていないだけだ」

 と言える。そのことが、羽毛の進化史と照らし合わせることで、わかるわけだ。

( ※ 分子生物学的にも、順序については、同じ結論が得られる。下記を参照。
    → 鳥類の系統樹
 

 走鳥類の足

 走鳥類と恐竜の歩き方を比較しよう。歩き方には、次の2タイプがある。
  (1) 腿部は水平のままあまり動かさず、下脚部だけを前後にスウィングさせる
  (2) 腿部を前後に動かして、後肢全体を回転させるように動かす


 この2タイプの違いは、動画も使って詳しく説明しているサイトがある。
   → 走鳥類と恐竜の歩き方

 前者は、現存する走鳥類であるダチョウ類の歩き方だ。後者は、ティラノサウルスのような(普通の)恐竜の歩き方だ。
 ところが、オビラプトル類のうちの古い種であるカウディプテリクスを見ると、ダチョウ類の歩き方と同様だという。(上記サイトに説明されている。)
 
 このことから、
   オビラプトル類 → 走鳥類

 という直接的な進化の過程が想定される。

 実際、オビラプトル類を見ると、「大きなニワトリ」という印象がある。
   → オビラプトルの画像大型オビラプトルの画像
 どうしてかというと、体のほぼ中心に近い位置に後肢があるからだ。その点、胴体の後部に後姿があり、バランスを取るためには大きなシッポをもっているティラノサウルスとは、対称的だ。

 というわけで、ダチョウ類の祖先はオビラプトル類だと考えられる。(他にも理由はあるが。)
 とにかく、そう考えれば、何ら矛盾なく、次の順序が取れる。
   オビラプトル類 → 走鳥類 → 翼のある鳥類


 ところが、「走鳥類は、もともと翼をもっていたのに、あとで翼をなくした」と考えると、次の順序になる。
   オビラプトル類 → 翼のある鳥類 → 走鳥類

 これでは、オビラプトル類と走鳥類が類似していることが、説明されない。むしろ「先祖返り」みたいな進化があったことになるので、「進化の逆行」が起こったことになる。
 比喩的に言えば、「猿人 → 原人 → 現代人」という進化のかわりに、「猿人 → 現代人 → 原人」という進化があった、と主張するようなものだ。その発想では、「現代人 → 原人」という進化の逆行があったことになる。そして、それと同じことが、走鳥類にも当てはまることになってしまう。
  
 というわけで、「走鳥類は、もともと翼をもっていたのに、あとで翼をなくした」ということは、ありえないのだ。オビラプトル類と走鳥類の類似性ゆえに。
 


 まとめ。
 「翼のある鳥が、翼をなくして、走鳥類になった」
 という説は、成立しない。その理由は、羽毛と足だ。
 羽毛を見ても、足の構造を見ても、そのことが判明する。
 走鳥類(特にダチョウ類)は、オビラプトル類とカモ・キジ類との間に位置するのだ。



 【 関連ページ 】

  → 恐竜と鳥の系統図
posted by 管理人 at 20:33| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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