2010年09月14日

◆ 恐鳥類と走鳥類

 恐竜から鳥類への進化で、恐鳥類と走鳥類を途中に位置づけることができる。
     恐竜 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 鳥類

 ここで、恐鳥類とは何かを示しておこう。 ──

 先に「走鳥類から鳥類へ」という進化を示した。
   → 走鳥類の進化
   → 鳥類の進化

 そのいずれにおいても、次のように示した。
   恐竜 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 新鳥類

 ( ※ ここで、恐竜とは、鳥型恐竜のことで、オビラプトルの仲間である。)

 ──

 以上の話では、「恐鳥類とは何か」を示していなかった。そこで、本項で簡単に説明しておこう。
 
 恐鳥類とは、恐竜絶滅後の繁栄した、大型の鳥類である。その形質は、次の諸点。
  ・ 大型の肉体
  ・ 翼をもたない (前肢がない)
  ・ クチバシがある


 単純に言えば、「恐竜に似た姿の走鳥類」である。
 Wikipedia から図を拝借しよう。

 《 想像図 》 (復元)


kyoucho1.jpg
  [ パラフィソルニス ]


 《 大きさの比較 》 (いくつかの種類)


kyoucho2.jpg

 ──

 Wikipedia によると、ディアトリマという恐鳥は、次の通り。
 体高2mに達し、体重は200kg以上、最大で500kg程になったと推定される。巨大な頭部が特徴で、頭骨の長さは40cm以上。鉤型に曲がった強力なくちばしがあった。
 別のサイトでは、次の説明もある。
  ディアトリマ (Diatryma) は、新生代の暁新世から始新世(約6,550万年前から約3,800万年前年前)にかけて繁栄した恐鳥類の一種。地上走行性の巨大な肉食鳥で、史上最強の鳥としても知られているんだ。
 体高は2メートル以上にも達し、推定体重175kg、巨大な頭部が特徴で、頭骨は45cmほどもあり、首は比較的短く太く全体の作りもたくましかったそうなんだ。鉤型に曲がった強力なくちばしを持ち、翼は退化して飛ぶことはできなかったが4本の指を備えた後肢は頑丈で、かなりのスピードで走ることができたんだそうだ。

( → 該当サイト。 このサイトでは、想像図もたくさんあり、なかなか画像を楽しめる。)
 ──

 すぐ上のサイトには、次の記述もある。
 姿は現生の大型走行鳥であるダチョウに良く似ているけれども、ダチョウは植物食または雑食であり、頭部は小さくくちばしも鋭くないことから、ダチョウとの関連性はまだよくわかっていないんだそうだ。
 しかし、私としては、先に述べたように、
   恐竜 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 新鳥類

 という関係を示したい。
 姿や形からして、この順序ならば、まったく不自然でない。

 一方、次のことは成立しないはずだ。
   恐竜 → 新鳥類 → 恐鳥類 ・ 走鳥類

 姿や形からして、この順序は、不自然である。恐鳥類や走鳥類は、恐竜のような姿形をしているが、そのような「先祖返り」みたいなことが起こるとは考えにくい。
 たとえば、トサカがそうだ。「恐竜 → 恐鳥類 → 走鳥類」という過程では、トサカがあったが、新鳥類では、トサカがあるのは、最も原始的なキジ類だけだ。
   → トサカは何のため 
 
 ともあれ、恐鳥類について知れば知るほど、
   「恐鳥類は、恐竜と走鳥類の中間に位置する」
 という認識が妥当だと思えてくるだろう。

 特に、恐鳥類(ディアトリマやパラフィソルニス)と走鳥類の間に、次の巨鳥類を置くと、変化がなだらかになる。
  ・ エピオルニス
  ・ モア

 つまり、次の順序だ。
 恐鳥類(ディアトリマ,パラフィソルニス) →  巨鳥類(エピオルニス ,モア) →  走鳥類(ダチョウ)



 《 注記 》

 本項のあと、関連する話題が続きます。
 本項を読んで、「変だな」と感じた人は、本項に続く項目を読んでください。特に、鳥類の系統樹を読んでください。飛べる鳥からダチョウ類が進化したのではなく、ダチョウ類(のあたり)から飛べる鳥が進化したのだ、ということが、分子生物学の遺伝子解析から判明しています。




 [ 付記1 ]
 空を飛ぶ鳥類(一般の鳥類)は、恐竜絶滅前に、すでに存在していたようだ。(カモ類。)
 このことも、すぐ上に述べた「並行的な、系統ごとの形態進化」を前提とすれば、納得できる。
 仮に、
    恐鳥類 → 走鳥類 → 一般の鳥類

 という進化が(大枠レベルで)逐次的に起こったとすれば、恐竜絶滅前に一般の鳥類がいて、恐竜絶滅後に恐鳥が繁栄したのは、納得しがたい。
 しかし、これらの全体を「鳥類」と見なして、鳥類のそれぞれの系統ごとに、
    恐鳥類 → 走鳥類 → 一般の鳥類

 という形態的な進化が並行的に起こったのだとすれば、鳥類の種類ごとに、形態の進化の差があったとしても、不思議ではない。(並行的ではあるが、ぴったり同時的ではない、ということ。時間差があるということ。ある系統ではいまだ走鳥類レベルであり、ある系統ではすでに翼があり、ある系統ではすでに空を飛べる、ということ。)

 この発想からすれば、ダチョウ類は、「いまだ翼をもつ種が誕生していない系統」ということになる。今後、数千万年がたてば、ダチョウ類から、翼をもつ種が誕生しても、不思議ではない。その新しい種は、普通の鳥類とは同格のものとして扱われるだろう。
 同様に、他の鳥類でも、その祖先種には、ダチョウのような形態をした種が存在したはずだ。ただし、そのような祖先種は、ほとんどの場合、見つかっていない。(たぶん、陸上性であるために、死んだあとの骨を食べられてしまったせいだろう。骨は犬のような哺乳類にとって大好物だからだ。人間だって、鶏ガラ・スープが大好きだ。)

 [ 付記2 ]
 「翼の退化」についても、説明しておこう。
 従来の説では、「翼の退化」が起こったことになる。(「飛ぶ鳥類 → 飛ばない鳥類」という順の進化。)
 だが、「翼の退化」というのは、論理的に起こりにくい。なぜなら、飛ばないときには、翼はもともと折り畳まれているから、邪魔にならない。とすれば、特に退化する必要はないからだ。
 また、化石で見ても、「翼が縮小していった」という化石の例は、見られない。種レベルで言えば、ニワトリなどのキジ類の翼は小さくて、飛ぶ能力が弱いが、キジ類は、発達した鳥類ではなくて、原始的な鳥類である。(つまり順序が逆だ。)

 一方、本項目の順序に従えば、問題はない。
 恐鳥類には翼がないのは、翼が退化したからではなくて、前肢が退化したからだ。これは論理的に十分に考えられる。(小さすぎる前肢は役立たずだから、退化しても不思議ではない。)
 また、鳥型恐竜において、「前肢がどんどん小さくなる」という傾向は、化石においてはっきりと見られる。つまり、化石レベルでも、問題ない。
 
 結局、「翼が縮小して退化した」という説は、論理的にも化石的にも認められないが、「前肢が縮小して退化した」という説は、論理的にも化石的にも認められる。
( ※ そして、いったん前肢が消滅したあとで、前肢の遺伝子を利用して、翼が生じたわけだ。このことは、「偽遺伝子」という言葉で、先に説明した。 → 鳥類の進化
( ※ この件は、次項や次々項でも論じる。)
 
 [ 付記3 ]
 Wikipedia 英語版の「 Moa 」には、次の記述がある。
   Moa are members of the order Struthioniformes (or ratites) .
   lacking even the vestigial wings which all other ratites have.

 つまり、モアはダチョウ類よりも古い。しかも、ダチョウ類には痕跡化した翼(の形跡)があるのに、モアにはそれがない。

 これはどういうことか? もし
  「ダチョウ類では(飛ぶ鳥から)翼が退化した」 …… (*
 と考えるならば、矛盾が生じる。ダチョウに痕跡化した翼があるなら、ダチョウよりも古いモアでは、明白な翼があるはずだからだ。
 また、モアには痕跡化した翼がないのだから、この点では、ダチョウよりも進化していることになる。とすれば、モアはダチョウよりも新しい種であることになる。これもおかしい。

 要するに、上記の (*) は、間違いだ。
 正しくは? 先に述べたとおりだ。つまり、
  「ダチョウ類から、飛ぶ鳥が進化した」
  「翼をもたない鳥類から、翼をもつ鳥類が進化した」
 そして、そうとすれば、ダチョウのもつ「痕跡化した翼」とは、実は、「ふたたび出現した前肢の痕跡」であることになる。一種の先祖返りだ。
 その痕跡は、確かに痕跡であるが、翼の痕跡ではなく、前肢の痕跡である。それは、いったん恐鳥類や巨鳥類の段階では失われたが、ふたたび出現した。ただし、まだ翼にはなっていない。
 失われた前肢の痕跡がよみがえったあとで、それが翼に変化するのは、もっとあとの時代のことだ。詳しくは下記。
  → 走鳥類の位置づけ[再修正]



 【 補説1 】 (間違いなので取り消し。正しくは、次々項。)
 系統関係は、簡単ではなく、かなり入り組んだ事情になるだろう。
 つまり、
   恐竜 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 新鳥類
 という順序になるとしても、右向きの → は < のように拡散して分岐するのではなく、 ─ のように直線的に継承されるだろう。(ただし、「恐竜 → 恐鳥類」の箇所でのみ、拡散して分岐する。それ以外は直線的。)
 ということは、系統的には、鳥類の分岐は、恐鳥類以前の段階で起こった、ということだ。
 そしてまた、「 恐鳥類 → 走鳥類 」という形態上の変化は、同時並行的に(いくつもの種で並行的に)発生しただろう、ということだ。

 具体的に例を挙げよう。Wikipedia によると、
  
   kyoucho1.jpg      noganmo.jpg
     パラフィソルニス(恐鳥)    →     ノガンモドキ

 という進化があったらしい。これは同じ系統で起こった。
 これらは、走鳥類(ダチョウ類)とはまったく別系統で起こった進化だ。したがって、
   パラフィソルニス → ダチョウ

 という進化は、まったくありえない。
 これはどういうことかというと、次の二つの進化が同時並行的に起こったことになる。 
    パラフィソルニス  → ???(未知の走鳥類) → ノガンモドキ
    ???(別の恐鳥) → ダチョウ

 この二つの進化では、いずれも、祖先種は恐鳥であり、子孫種は「飛べない鳥」である。
 ここでは、「走鳥類」というのは、「ダチョウ類」のことではなく、「翼のない鳥」を意味することになる。

 なお、ノガンモドキは、すでに翼が生えている。
 パラフィソルニスと、ノガンモドキとの間に、(未知の)中間種が存在するはずであるが、それはおそらく、ダチョウのような形態をしていたはずだ。それは「走鳥類」と呼ぶに値するだろう。(まだ翼を備えていない鳥類。)

 以上のように考えると、「走鳥類」というのは、「爬虫類」や「哺乳類」のような大枠をなしていないことになる。「恐鳥 → 走鳥類 → 一般の鳥類」という全体が「鳥類」という一つの大枠をなしており、そのなかで、形態の進化の段階として、「恐鳥 / 走鳥類 / 一般の鳥類」という区別があったことになる。つまり、その区別は、あくまで肉体的な形態レベルの進化段階を示すものである。(類人猿の進化のなかで、足の短い類人猿から、足の長い類人猿[= 人類]が生じたようなものだ。)そして、それは、それぞれの系統ごとに起こったはずであり、「爬虫類」や「哺乳類」のような大枠をなしていない。

 つまり、
    恐鳥類 → 走鳥類 → 一般の鳥類

 という進化は確かにあったはずだが、それは、生物種(というか種よりも大きなレベル)での区別を意味する進化を示すのではなくて、形態上の進化を示すだけだ、ということになる。
 そのような形態上の進化は、同時並行的に、さまざまな鳥類の系統で起こったはずだ。そのうちの一つが、ノガンモドキの系統の進化だ。
 それと同時に、他の鳥類の系統(あれやこれや)でも、同じような形態上の進化が起こったはずだ。
 ということは、それぞれの鳥類には、いずれも、古くは走鳥類や恐鳥類の形態を持つ祖先種がいたはずだ、ということになる。
 ノガンモドキ科の場合には、走鳥類レベルの化石は見つかっていないが、恐鳥レベルの化石は見つかっていることになる。



 【 追記 】
 「パラフィソルニスの子孫はノガンモドキだ」
 というふうに例示した。( Wikipedia の記述による。)
 しかし、これは間違っていると思う。
 「パラフィソルニスのような恐鳥類は、すべて、ダチョウ目やシギダチョウ目とほぼ同等の位置にある」
 というのが正しいはずだ。
 現代の鳥では最も原始的なのは、ダチョウ目やシギダチョウ目だが、それよりももっと原始的なのが恐鳥類だ。パラフィソルニスはそこに含まれるはずだ。
 したがって、パラフィソルニスをノガンモドキと同系統と見なすのは誤りだ、ということになる。(形態ばかりに着目すると、分子生物学的な系統からはずれてしまう、という見本。)

 この件は、次項の最後にも、追記した。




 【 関連サイト 】

  → さまざまな恐鳥類(画像あり)

  → アンダルガロルニス (ニュース)

  → フォルスラコス ( Wikipedia )

  → モア ( Wikipedia )
posted by 管理人 at 18:56| Comment(2) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「分子生物学的にはどうか?」という見解が寄せられたので、説明しておく。

 本項の説明は、あらゆる意味で、分子生物学的な進化の順序に合致する。

 一方、標準的な説は、分子生物学的な進化の順序に合致しない。最大の難点は、翼のない古顎類を、「翼のある種から進化した種」と見なすことだ。
 この件は、次項や次々項で説明している。

 また、恐鳥や古顎類が多系統であることも、本項の説明に合致する。
( ※ ただしこの点は、本サイトの古い説[修正前の説]には、合致しない。)
Posted by 管理人 at 2010年09月15日 19:48
[ 付記3 ]  を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2010年10月02日 14:34
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