パラリンピックのための募金を扱う NPO である「日本パラリンピック支援機構」が、不明朗な会計をして、多額の金を自分たちで使っていたことが判明した。
04〜08年度の募金収入計約6080万円のうち約6割(各年度では5〜8割)を募金の経費やチャリティー事業の経費に充てていた──
募金の経費だけでも一律3割を取っていたことや、経費の使途を明らかにしていなかったこと
募金など機構の各事業ごとの決算報告・公表を行わなかった
( → 朝日新聞・朝刊 2010-08-30 )
要するに、不明朗な会計のもとで、募金収入の大半を経費にあてていたわけだ。
そして、記事では記していないが、「経費」のうちの多くは「人件費」という名目で関係者の懐に入っていたはずだ。
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以上は、今回発覚した分だが、これとよく似ているのが「エコキャップ」だ。
・ 寄付金の宛先が、「世界の子どもにワクチンを 日本委員会 (JCV)」
という関連団体であり、金の流れが不鮮明。
・ 最終的にどれだけがワクチンになっているか不明。
・ 多額の経費を取っている
・ 収支報告が不明
胡散臭(うさんくさ)さ満載である。その点では、パラリンピック詐欺と同様のエコキャップ詐欺と見なせる。
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エコキャップ推進協会は、最近では「経費は3分の1です」と称しているが、それがどこまで本当かは、収支報告書を出していないので、はっきりしない。
一方、過去の時点では、収支報告書を出していたことがある。私が 2008年に見たときには、「経費は7割」(3分の2)と記してあったし、その趣旨で項目を書いた。だが、その時点では魚拓を取っていなかったので、データが手元に残っていない。
ただし、別途、 2008年の時点で、「世界の子どもにワクチンを 日本委員会 JCV」 についてデータを記録していた人がいる。
JCVって、寄付金収入 179,286,895円のうち、ワクチン供与活動費は 45,529,516円しか使われていないんですね。25%かあ、その他は人件費とか活動費に使われるんですね。うーん。2010年には60%にする計画だとはサイトには書いていたけど・・・念のため、現時点で JCV のサイトに行くと、次の通り。 (単位:千円)
( → 該当ブログ )
収入合計 301,035
ワクチン供与活動費 157,073
何だかんだと余分な経費や人件費のせいで、ワクチンになるお金は半分でしかない。
ま、それでも、(ごく簡単な)収支報告書を出している分だけ、マシだと言える。何も出さないエコキャップ推進協会よりは、かなりマシだ。
とはいえ、そのうち、かなりの部分が、リベートやら、関係者への利権やら、多くにこぼれていることは、推定できる。
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結論。
一般大衆から「善」を名目として金を集める NPO は、多くが詐欺同然である。
本質的には「合法的な詐欺」と言える。ただし、全額を自分の懐に入れるのではなく、一部だけを自分の懐に入れる。善意とまぎらわしい詐欺。
わかりやすく言えば、金持ちから金を盗んだ泥棒が、そのうちの一部を庶民にばらまくことで、自分を善人に見せかける。(鼠小僧)
こういう馬鹿げた運動をするくらいなら、直接、ユニセフなどに寄付しよう。そうすれば、詐欺的な団体にピンハネされることがない。
なお、エコキャップの場合、キャップ 800個を集めて、運賃込みで 1000円を払っても、そのうち有効なのは 20円分でしかない。その 20円 からエコキャップ協会が半分近くを取り、さらに JCV が半分を取る。残りは 5〜6円でしかない。
つまり、1000円払って5円のワクチン。効率は 0.5% だ。残りの 99.5%は、ワクチン以外のものに消えてしまう。あまりにも無駄だ。
[ 付記 ]
「それでも 0.5% は有効だ。この分は世界の子供を救う!」
と思っている人もいるようだが、それは疑わしい。
まず、JCV がワクチンを贈っている相手国は、ミャンマー、ラオス、ブータンに限られる。
→ http://www.jcv-jp.org/international/
一方、世界統計によると、ポリオの発生国は、ミャンマー、ラオス、ブータンではなくて、他の国々だ。特にミャンマーの場合、2008年のポリオ発生数はゼロである。
→ Google 検索
それにもかかわらず、2009年には、金の大半をミャンマーに投じている。
→ http://www.jcv-jp.org/international/supply/
このことからかんがみるに、エコキャップ協会や JCV は、ポリオワクチンをミャンマーで無駄に捨てているだけだろう。というか、ミャンマーの軍事独裁政権を援助しているだけかもしれない。その国の厚生費を援助することで、その国の軍事費を増やす、という形で、軍事独裁政権を援助しているのだろう。
エコキャップを推進すれば推進するほど、軍事独裁政権を助けるだけの結果となる。
「エコキャップを推進することで、ポリオになる子供たちを救う」
と思い込んでいる人が多いようだが、それは大いなる幻想である。その金でポリオワクチンをばらまいている国は、ポリオ発生数がゼロの国なのだ。
どうせやるなら、ポリオの患者のいるところでワクチンを投与するべきなのだが、日本の人々の集めたキャップは、そのためには使われないのである。
【 関連項目 】
→ リサイクル詐欺(エコキャップ)
→ エコと偽善
販売しないという記述が見当らない限りはあり得なくもない話、ワクチンにはなっているので規約に違反していない、投与先は子供も含まれているので問題は無い、寄贈となっているのは1人でもワクチンを無償で与えたら寄贈した事になるし、販売なら「お金を貰ったのでワクチンを寄贈した」とすれば苦し紛れに誤魔化す事もできる。こんな具合に調整すれば嘘にならず辻褄を合わせられる。
0.5%のワクチンが費用ならワクチン販売することで0.5%の損益から数%の利益になる。
しかも「その金でポリオワクチンをばらまいている国は、ポリオ発生数がゼロの国なのだ。」のがとても怪しい。
上記は推測だけど調べる必要も有ると考えます。
ポリオワクチンをばらまいているから、
ポリオの発生数がゼロになっている可能性もありますよ。
それに、ポリオの発生数が(基本的に)ゼロであっても、ワクチンは必要です。
日本でポリオはほとんど聞きませんが、ポリオはほぼ全員に接種されています。
予防接種による副作用の方が問題にされるんですけどね。
ミャンマーにおける2008年のポリオ発生数が0ということですが、
これは、単に報告が上がっていないだけ、という可能性もありますね。
「0」という報告が上がっているわけではなくて、単に報告がないだけなのでは?
リンク先の資料では、最新報告日が2007年になっています。
また、日本ではポリオのような症例は「報告があがって当たり前」ですが、
ミャンマーのような途上国では、症例があっても報告されないというケースも
十分に考えられますね。
いや、医者がいないと誰も診断できないっしょ。
もっとも、エコキャップに無駄が多いのは激しく同意します。
「患者のいないところよりは患者のいるところで」
という相対的な順序が、本項の話題です。誤読しないでくださいね。
つまり現地でもうワンクッション必要で、日本側の二つのNPOと現地で活動する人でごっそり間接費取られて、患者に届く前にほぼ全て消えるわけですね。