2010年09月03日

◆ コレステロールの嘘

 「コレステロール値は高い方が危険である」というのが常識とされていたが、その常識を覆す結果が出た。 ──

 「コレステロール値は高い方が危険である」というのは、常識とされている。たとえば、Wikipedia だ。
 コレステロールは、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞等)の危険因子である。
 高コレステロール血症が循環器疾患を引き起こす危険因子であるので、血中コレステロール値の大小で寿命が影響を受けると考えられてきた。それ故、寿命とコレステロールの関係については注目されてきており、すでに米国で大規模な疫学調査MRFIT (multi risk factor intervention) が実施されている。
 コレステロール値は高すぎても、低すぎても寿命を短縮するというものである。MRFITの解析結果によると、血中総コレステロールが200mg/dL以上では冠動脈疾患による死亡率が急速に増大し、180mg/dL以下では冠動脈疾患による死亡率は低減せずほぼ一定になることが判明している。一方、血中総コレステロールが180mg /dL以下では冠動脈疾患以外による死亡率が増えるため、結果として血中総コレステロールが180--200mg/dLが最も死亡率が低下することが判明した。
( → Wikipedia
 ──

 一方、今回、それとは逆方向の結果が出た。
 「コレステロール値は高い方が長生きできる」
 という意味の結果だ。
  新たなガイドラインでは延べ17万人の病気などの死亡率を、総コレステロール値が「160〜200未満」の人とそれ以外の人とで比較。「160未満」の人は男性が 1.6倍、女性は 1. 4倍と高かった。「200以上」は女性に差がないが、男性は低かった。
 また、悪玉と呼ばれるLDLコレステロール値でも、原因別の死亡率について分析。心疾患では、値の高い男性が低い男性に比べて死亡する率が約2倍となったものの、心疾患以外では逆に値が高い方が死亡率が下がる結果が出た。女性は、心疾患でも死亡との関係が見られなかった。
( → 中日新聞 )(cf. 北海道新聞
 ──

 この二つは、どう違うか? 次のようになる。
  ・ 動脈硬化などの循環器疾患では、コレステロールは高い方が危険。
  ・ それ以外の全疾患では、コレステロールは高い方が安全。


 つまり、特定の病気(循環器疾患)だけに着目するなら、コレステロールは危険だが、あらゆる病気全般を考えて、単に寿命を伸ばしたいだけなら、コレステロールは危険ではないのだ。

 これまでの疫学的な調査は、科学的なように見えて、実は、あまり科学的でなかったことになる。
 比喩的に言えば、次のジョークに似ている。
 「どんなひどい癌になっても、この薬を飲めば、絶対に癌で死にません」
 「本当ですか?」
 「本当です。これは青酸カリですから、この薬を飲めば、毒死します。癌では死にません」 

 冗談みたいだが、次の話も同じである。
 「コレステロールを下げる薬を飲みなさい。そうすれば、動脈硬化で死ぬ危険が下がります」
 「本当ですか? どのくらい長生きできるようになりますか?」
 「いや、寿命はかえって縮まります。死因が動脈硬化でなくなるだけです」 

 つまり、昨日までの現代科学は、ジョーク同然だったわけだ。   (^^);

 ────────────

 このような「現代科学の限界」については、前にも述べたことがある。再掲しよう。
 現代科学はまだまだ非力である。なかんずく、現代医療は、まったく発展途上だ。百年後の医療に比べれば、ほとんど原始的な医療と言えるだろう。このように遅れた現代医学を、「すばらしいもの」と思うべきではない。「役立つこともあるが、役立たずのこともある」と冷めた目で見るべきだ。
( → http://openblog.meblog.biz/article/3220860.html
 これは、ホメオパシーを「非科学だ」と批判する科学者の自惚れを批判した言葉だ。
 ともあれ、科学者は、謙虚であるべきだし、自惚れ屋になるべきではない。「トンデモだ、トンデモだ」と批判することに生きがいを感じるトンデモマニアは、謙虚さを失い、真実を見失いがちだ。その一例が、ホメオパシーを「トンデモだ」と批判することだ。
  → ホメオパシーはトンデモか?

 ──

 「コレステロールは危険ではない」
 と誰かが言うと、トンデモマニアが「トンデモだ、トンデモだ」と騒ぎそうだが、「コレステロールは危険ではない」という一見トンデモの説の方が、実際には正しかったことになる。



 [ 付記1 ]
 この問題は、実は、ホメオパシーと同じで、業界の利益が話の根源にあるらしい。Wikipedia から引用すると、こうだ。
 日本では一般にコレステロール値が高いと言うのは総コレステロール値が220以上の場合を指す。
 1980年代まではこの基準が250から240になっていたが、これは95%の人がこの基準値以下で健康であったためである。1987年に日本動脈硬化学会が「コンセンサス・カンファレンス」で基準値を220としたためこれ以降は220が使われている。220が科学的な妥当性を欠いているという意見は決定以降も多数あり、6年間・5万人を対象に行なわれた「日本脂質介入試験」の結果も240を境に有意に心臓の冠動脈疾患のリスク上昇を示していたが、結果として2007年現在も220が基準とされている。一度は1999年に240への改定の直前まで行ったが、日本動脈硬化学会内の改定反対派の主張する「220がすでに定着しており、変更すれば医療現場に混乱が起きる」という意見が通り見送られた。240を採用すると患者数が半減するため、病院経営の危機を招くとしての判断が働いたのではないかとする見方がある。
 要するに、「コレステロールが高いと危険である」というのは、動脈硬化症を扱う病院が、患者を増やすための方便だったことになる。お金のために、やらなくてもいい治療を、強引にやらせていたことになる。
 「この薬を飲まないと、動脈硬化症で死にますよ」
 と嘘をついて(上のジョークみたいなことを言って)、患者から金を巻き上げていたわけだ。

 ホメオパシーの業者を笑えないな。

 特に、ホメオパシーを批判していたトンデモマニアのうちには、内科医もけっこういるらしいから、
 「この薬を飲まないと、動脈硬化症で死にますよ」
 と嘘をついて、レメディーみたいなものを処方していたことになる。(レメディーには少なくともプラシーボ効果があるが、コレステロールを下げる薬は、むしろ寿命を縮める効果があるかも。)

 ──

 ……と思ったのだが、事実はさらに怪奇だ。
 実は、コレステロール値を下げる薬は、寿命を延ばす効果があるのだ! つまり、今回の報告とは逆の結果になる。
 「飲んだ人と飲まなかった人に分けて死亡率を比べると、飲んだ人のほうが2〜3割がた死亡率が下がった」
 ( → HMG-CoA還元酵素阻害薬の効果

 つまり、コレステロール値が高い人に限っては、その人は心臓疾患で死ぬ可能性がかなりあるから、コレステロール値を下げる薬がけっこう有効だったことになる。(ただしこれは、動脈硬化で死ぬ人の多い欧米の調査だから、日本にそのまま当てはまるかどうかは不明。)

 ──

 というわけで、コレステロール値が高い方がいいのか、低い方がいいのか、どうとも不明な状況だ。  (^^);
 低い人よりは、高い人の方が、寿命が長いらしいのだが、高い人は、コレステロール値を下げる薬を飲むと、さらに寿命が長くなるらしい。ううむ。複雑ですね。

 [ 付記2 ]
 なお、コレステロール値を下げる薬といっても、病院で処方される薬に限る。これはきちんと効果がある。
 一方、市販薬は、ほとんど効果がない。さんざん宣伝しているが、ろくに効き目はなく、ビタミン剤みたいなものだという。
  → コレステロールを下げる市販薬
  
 つまり、レメディみたいなものですね。  (^^);
 で、普通の製薬会社も、レメディみたいな薬を、大量に売っているわけだ。(この薬だけじゃありません。効果不明な昔の薬が、依然として大量に売られている。)

 [ 付記3 ]
 余談だが、次の話もある。
 私の知人84歳は,コレステロール,332有ります。薬も全く飲みません。これだけあっても何の問題ありません。
 少な過ぎの方が危険です。私の様に質問者様より10cm身長高く体重45kgで,コレステロールー90で病気ばかりしているのは,コレステロールが少な過ぎの方が早死します。
( → 教えて goo




 【 補説 】
 いろいろ考えると、次のように指針を示せそうだ。(コレステロール値ごとに)

  ・ 200 以下  …… コレステロールの問題なし。(別の問題あり。)
  ・ 200 〜 210 …… 健康。コレステロールを下げる薬は不要。
  ・ 210 〜 220 …… 薬よりは、生活習慣の改善でメタボ防止。
  ・ 220 〜 240 …… 中間状態。薬の要・不要はケースバイケース。
  ・ 240 以上  …… 心疾患になる可能性が高く、薬を飲んだ方がいい。

 以上が一応の指針だ。とはいえ、私は医者ではないから、責任は持てない。
 だからといって、医者にかかればいいというわけでもない。医者だって、責任は持てない。標準療法が成立していないからだ。
 ま、とりあえずは、上記の方針を参考にしてほしい。
 
( ※ 動脈硬化の問題は、血圧とも関連するから、コレステロール値だけを見ても、正確な診断は下せないと思う。)

 《 補足 》

 上記では 240 という値を出したが、240 ではなく 260(男性)または 280(女性)という値もある。下記のように。
 「中高年の場合、男性は260台、女性では280台とすることが妥当」
 ( → 出典



 【 参考文書 】

  → コレステロール嘘とプロパガンダ ( Amazon )
 
 ※ コレステロールが危険でないということは 2000年ごろから指摘されていたそうだ。

  この書籍の書評に、次のことが書いてある。
  結論はコレステロールと心筋梗塞または心疾患は全く関係がない。
 1行目の「高コレステロール血症は心筋梗塞の危険因子である」
 は「心筋梗塞になる人はコレステロールが高いことが多いがそれは原因ではなく結果にしか過ぎない」ということらしい。
 
 つまり喩えて言うならば、交通事故に会った車には傷が有る。ボディーが凹んでいたりバンパーがゆがんでいたり。じゃあボディーの修理をしてバンパーを正しく付け直していつも車をピカピカに保っておけば交通事故は減るのか??
 否。そんなことはないはずだ。車の傷は事故の原因ではないからだ。結果だけ繕っても事象は減らない。

 2行目の「高コレステロール血症患者のコレステロールを下げると心筋梗塞が減少する」
これに関しては全くの嘘だったらしい。騙されていた。
( → 出典
posted by 管理人 at 21:52| Comment(5) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後に 【 補説 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2010年09月03日 22:44
今話題ですね。
TVCM
ttp://www.youtube.com/watch?v=-pGMhe6DeiA
Posted by カイ at 2010年09月04日 02:21
煙草も似た面があるような気がしますね。

特定の病気(肺疾患など)だけに着目するなら危険だが、病気全般を考えて寿命を伸ばしたいのなら、(リラックス効果はあるし)危険ではないと。喫煙と平均寿命との相関を示すまともなデータもないようですし。

マナーはきちんと守るとして、何事も××し過ぎは良くない、ということでしょうか。
Posted by 光と影の研究所 at 2010年09月07日 22:05
煙草は本人が死ぬのは別に構わないんです。まわりの人が副流煙で死ぬのが問題。特に、妻や子供。

 まわりの人は不快になるばかりですから、リラックス効果とは逆。

 なお、タールで真っ黒になった肺を見ると、煙草の有害性というものははっきりしますよ。
 また、リラックス効果というのは、単に中毒者の禁断症状が緩和されるだけです。普通の人が煙草を吸っても、リラックスはできません。むしろ逆効果。
Posted by 管理人 at 2010年09月07日 22:35
すっごく詳しくて勉強になりました。
ありがとうございました。
Posted by リコ at 2010年09月20日 10:23
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