2010年08月31日

◆ プリウスのモーター音

 トヨタはプリウスに、疑似エンジン音として、モーター音の発生装置を搭載するそうだ。しかし、これは妥当ではない。 ──

 記事を引用しよう。
 国土交通省が定めたガイドラインに即し、3代目のプリウスに販売店で取り付け可能な「車両接近通報装置」を同年8月30日から発売すると発表した。
  「車両接近通報装置」とはエンジン回転が停止した状態で、モーターのみで走行する「EV走行」が可能なハイブリッド車・電気自動車などの静音性に対応し安全性を高めるためのもの。周囲の歩行者などが自動車の接近を音で確認できるよう、自動車の発進から時速25キロメールくらいまでの速度域において、自動でモーター音を模した音を発する(ボリュームは一般のガソリンエンジン車と同程度の55デシベル)。
 周囲の歩行者などが自動車の接近を音で確認できるよう、自動車の発進から時速25キロメールくらいまでの速度域において、自動でモーター音を模した音を発する(ボリュームは一般のガソリンエンジン車と同程度の55デシベル)。
  車両の走行状態を思い起こさせるような音であると共に、騒音にもならないような配慮の結果、「モーター音のような音」にした。さらに自動車の速度が上がるにつれて周波数を高めることで、速度の変化も表わしている。
( → サーチナ

 技術統括部の松尾芳明主査は「ドライバーや歩行者以外の人にはうるさくないように開発した。プリウスの未来的なイメージを大事にするため、エンジン音でなくモーター音を採用した」と説明した。
( → iza
 ──

 しかし、モーター音というのは、問題がある。なぜか?
 人が音に気がつくのは、音の大小によるのではない。(この点を関係者は完璧に誤解している。)
 夜間の自転車の前照灯でもそうだが、人が気がつくのは、光の強さだけではない。断続する光には、強く反応する。一方、定常的な光には、感覚がマヒする。それを越えるためには、オートバイの前照灯のように、ものすごく強い光を相手の正面から浴びせる必要がある。
 音でも同様だ。エンジン音のように、強弱を繰り返す音ならば、人はすぐに気がつく。しかし、モーター音のような、のっぺらぼうな定常的な音では、人はなかなかなか気がつきにくい。
( ※ たとえば、扇風機が顔に当たると、耳にはかなり大きな音が聞こえるが、その音は定常的だから、ほとんど気にならない。バスや電車の音も、かなり大きな音だが、ほぼ定常的だから、慣れてしまって、あまり気にならない。感覚がマヒしてしまうわけだ。)

 だから、どうしてもモーター音にするのであれば、強弱を繰り返す周期的 or 断続的な音にするべきだ。「それでは気に障りすぎる」というのであれば、音を 55デシベルよりもはるかに大きな音にするべきだ。
 いずれにせよ、トヨタの今回の装置のような、定常的なモーター音では、快適感があるだけで、警告の能力が落ちてしまう。これは「商売が目的で安全を無視」というトヨタの体質によるのだろうが、とんでもないことだ。
 「自分が静かであるのを優先する。ただし、非難されたくないから、一応、音だけは出す。しかし、その音は無効であるから、歩行者は気づかない。つまり、歩行者を殺しても構わない。だけど、免責はされたい」
 という自分勝手な立場だ。
 
 こういうふうに「プリウスの未来的なイメージを大事にするため」ということばかりを重視して、結果的に「人命軽視」「歩行者殺し」となる車を売る会社は、社会的に糾弾されても仕方ないだろう。
 また、国土交通省としては、このような装置を認可するべきではない。「定常音の場合には、音量を 10デシベルぐらい上げること」というガイドラインを示すべきだ。というか、「定常音は駄目」というガイドラインを示すべきだ。

 繰り返すが、自転車の前照灯と比べてほしい。人が気づくのは、断続的な刺激だ。定常的な刺激は、警告としてはほぼ無効なのである。
 



 [ モデル ]  



     ひらめき     ぴかぴか(新しい)



posted by 管理人 at 19:09| Comment(3) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日産の電気自動車「リーフ」には、断続音を搭載することを期待したい。そうすれば、販売上も有利だろう。

 「プリウスは定常音なので、歩行者に気づいてもらえません。一方、リーフならば断続音なので、歩行者に気づいてもらえます。道路上で道をふさがれたまま、イライラすることがなくなります」

 こう宣伝すれば、客は、「じゃ、プリウスをやめて、リーフにしよう」と思うでしょう。 (^^)v
Posted by 管理人 at 2010年08月26日 21:14
「プリウスの未来的なイメージを大事にするため、エンジン音でなくモーター音を採用した」
 というのは、たぶん、(半分の)嘘。

 本当は「コストを下げるため」だろう。エンジン音は低周波音なので、スピーカーが大きくなる。モーター音は高周波音なので、スピーカーが小さくて済む。
 トヨタは常にコスト主義。それを別の美名でゴマ化す。
Posted by 管理人 at 2010年08月26日 22:22
> 自動車の速度が上がるにつれて周波数を高める

 というのは、実は、不十分だ。

 「加速するときには音が大きくなる」
 ということが必要だ。エンジン車はそういうふうになっている。(走行速度ではなくてエンジン回転数に依拠する。)

 たとえば、交差点で発進するときには、加速するので、エンジン音は大きくなりがちだ。その分、歩行者は気をつける。
Posted by 管理人 at 2010年08月26日 22:25
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