2010年08月11日

◆ ホメオパシーとエコ

 ホメオパシーとエコ運動は、よく似ている。その意味で、「ホメオパシーは非科学的だ」という批判は、社会問題としては、ナンセンスである。 ──

 「ホメオパシーは非科学的だ」という批判がある。だが、その批判は、社会問題としては、ナンセンスである。
 なぜか? 社会問題として考えれば、ホメオパシーとエコ運動はよく似ているが、エコ運動の方が圧倒的に影響力が大きいからだ。
 非常に多くの人々(国民の9割以上?)がエコ運動をしている。たとえば、プラごみの分別という愚行をしている。また、太陽光発電を支持している。だが、それらの人々が「非科学的だ」と批判されることはほとんどない。なのに、ホメオパシーばかりを「非科学的だ」と批判する人々(トンデモ・マニア)は、頭のバランスが崩れている。大悪を見過ごし、小悪かりに目くじらを立てるからだ。
 
 ──
 
 エコ運動の問題を、具体的に例を示そう。福岡伸一が朝日新聞紙上で、1面を費やして、大々的に持論を述べている。(インタビューの形)
 ここでは、次のように述べている。
 江戸時代、私たちは風土に根ざした暮らしを送ってきた。旬のものを食べ、地産地消だった。薬草や添加物など平衡を乱すものは避けていた。足りているものをそれ以上取らなかった。歴史に学ぶべきです。
 ──
  
 これは、「エコ」という思想に毒された発想であり、ホメオパシーと同様に(いや、それ以上に)社会を毒する発想だ。
 問題点を、具体的に説明しよう。
  • 江戸時代、私たちは風土に根ざした暮らしを送ってきた。 → 「風土に根ざす」という発想で、自然重視という「エコ」の原理を述べている。「エコ自体が正しい」と頭ごなしに原理を主張する。
  • 「旬のものを食べ、地産地消だった。」  → 冷蔵庫や保存剤などがなかった、というだけのことだ。それは素晴らしいことではなかった。食品はすぐに腐り、食中毒で死ぬ人が大量にいた。( ※ 実は、ほんの 30〜40年ぐらい前まで、パンなどはすぐにカビてしまった。それは素晴らしいことではなかった。)
  • 薬草や添加物など平衡を乱すものは避けていた。  → 漢方医学における漢方薬は、平衡を乱すものではなく、平衡を取り戻すためのものである。話が逆だ。添加物は、そもそも、酸化防止剤などは開発されていなかった。あったのは、「塩漬け」ぐらいだ。しかし、塩を大量に摂取していたため、高血圧で死ぬ人がとてもたくさんいた。実際は添加物の取りすぎだったのだ。
  • 足りているものをそれ以上取らなかった。  → 栄養的に足りているものなどはなかった。江戸時代の体型は現在の人よりもずっと貧弱で、小柄だった。「取らなかった」のではなく「取れなかった」のだ。あまりにも貧しかったのだ。
  • 歴史に学ぶべきです。  → あんたのことでしょ。
 福岡伸一は、「福岡伸一 トンデモ」という語で検索すると、たくさんのサイトがヒットする。それほどにも科学的にはデタラメな主張が多い。彼の主張の多くは、「科学」というよりは、「こじつけ」にすぎない。
 にもかかわらず、多くの人々が彼を信じるし、信奉する。では、なぜか? 

 ──

 上記引用部にある思想は、「エコ」の思想だが、これはホメオパシーの発想とほとんど共通する。(自然崇拝と近代否定)
 こういう発想を、朝日のような大新聞が報道して、(ホメオパシーの信者だけでなく)多くの一般人を洗脳していく。
 このように、「エコ」信仰と、「ホメオパシー」信仰とは、非常によく似ているのだ。

 「近代の科学信奉は間違っているんですよ。それはエコじゃないし、非倫理的です。むしろ、科学とは別の、自然回帰の方法を取りましょう」(エコ教)
 こういう発想で、近代的な生活を否定しようとする。

 ただし、である。それは、必ずしも間違いとは言えない。それが部分的に正しいこともある。たとえば、次の例がある。
 「エアコンをやたらとブンブン稼働させないで、なるべくエアコンなしに過ごそう」

 
 こういう発想をする人は多いし、私だってそういう発想を取る。これは「エコ」だ。
 なお、その逆は、「エネルギー浪費」だ。
 「ちょっと暑くなったら、すぐにエアコンをガンガン効かせよう」

 この発想を否定して、エアコンをあまり使わない、という発想を取ることは、実は好ましい。

 しかし、一方では、「どんな場合にも、ほとんどエアコンを使わない」というエコ教の発想を取って、熱中症で死ぬ高齢者が増えている。そういう問題もある。

 ──

 こうしてわかるだろう。「エコ重視」という発想と、「近代性の否定」という発想は、かなり近いところにある。境界線を明確に引くことは難しい。

 そして、多くの人々がそういう発想に染まって、「エコ重視」という発想を過剰に取るのだとすれば、それは、ホメオパシーの信者の場合と、大差ないのである。

 ホメオパシーの批判者は、ホメオパシーのことばかりを批判するが、実は、エコ信者である大多数の人々もまた、ホメオパシーの信者と大差ないのだ。
( ※ たとえば「エコキャップ」の信者がそうだ。)

 《 関連項目 》
 非科学的なエコ主義については、下記を参照。
  → ホメオパシーはエコ主義だ




 ここまで考えると、ホメオパシーの信者への対処の方法もわかってくる。
 「ホメオパシーは非科学的なトンデモだ」
 といくら批判しても、ホメオパシーの信者を転向させることはできない。なぜか? 通常、ホメオパシーの信者は、何も悪いことをしていないからだ。
 助産婦のように医療行為に携わる人は別として、普通のホメオパシー信者は、自分で自分に処方するだけだ。他人に処方するわけではない。
とすれば、ホメオパシーの被害者は、自分自身なのである。なのに、被害者に向かって、「おまえは間違いだ、おまえは悪だ」と批判しても、それは、交通事故の被害者に向かって、「おまえは間違いだ、おまえは悪だ」と批判するようなものだ。批判する相手を間違えている。

 ホメオパシーの信者は、悪をなしているというよりは、被害者なのである。詐欺の被害者なのだ。とすれば、「洗脳された」「だまされた」という被害に対して、「おまえは馬鹿だからだまされたのだ」と批判しても、被害者としてはちっとも嬉しくない。むしろ、自分を攻撃してくると信じて、頑なになるだろう。
( ※ これに似たことをする医者は、とても多い。患者のために優しくするどころか、患者を叱りつけることで、患者を萎縮させる。自分は正しいことを述べているつもりでいるが、攻撃された患者としては、治療効果がかえって低下してしまうだろう。科学ばかりを信奉して、優しさを失った医者ほど、始末に負えないものはない。)

 ──

 ホメオパシーの信者は、だまされた被害者だ。だとすれば、彼らに対しては、「おまえは間違っている」と攻撃するよりは、むしろ、「あなたの気持ちは間違っていません」と優しく支持しながら、最終的には被害者の救済をするべきだ。つまり、肉体的にも精神的にも救済するべきだ。
 ホメオパシーのレメディそれ自体は、何の悪い作用もない。ならば、それを摂取することは、ちっとも悪くはないのだから、そのことをもって批判するべきではないのだ。だから、「レメディーを摂取してもいいですよ」と語るべきなのだ。
 ただし、レメディーを購入することは、詐欺師にだまされることになるから、「レメディーを(購入せずに)無料で自作しましょう」と語ればいいのだ。
 そしてまた、正規の医療を忌避することは、健康に有害だから、「ホメオパシーをやった上で、きちんと正規の医療を受けましょう」と勧告すればいいのだ。
  → 無料 ホメオパシー

 ひるがえって、「ホメオパシーはトンデモだ」といくら主張しても、それは、信者の発生を予防する効果はあっても、すでに信者になった人を救う効果はない。実際、彼らがいかに「ホメオパシーはトンデモだ」といくら主張しても、信者はろくに減っていない。

 ──

 実を言うと、ホメオパシーの信者は、慢性病などで、近代医学の効果を享受できない人々が多い。「近代医学は万能だ」というのは、虚構だ。もちろん、「正規の医療を受ければ必ず治ります」というのも、虚構だ。「正規の医療を受けても、治らない」という例は、非常に多くある。それらは通常、「慢性病」という言葉で呼ばれる。
( ※ いちいち例を挙げないが、アトピーなどはその代表だろう。)

 ホメオパシーの信者は、近代医学の網からはこぼれてしまった、かわいそうな人々が多い。彼らは、救いを求めているが、近代医学は、救いを与えられない。そこで、ホメオパシーにすがりつく弱者が登場する。
 こういう弱者に対して、「トンデモだ」とか「トンデモを信じる阿呆だ」とかいうふうに攻撃する人々は、「心の優しさ」というものを、まったくもっていないと言える。こういう人が医者になると、患者に優しくするどころか、患者を攻撃する。(正常な細胞を攻撃するウイルスか病原菌のような存在だ。)

 ──

 結局、こうだ。
 ホメオパシーの問題も、エコの問題も、どちらも現代人の魂の病を示す。大多数の人々が「エコ」信者になって、非科学的なエコ運動をするように、一部の慢性病患者は、非科学的なホメオパシーの信者になる。
 これらに対して、事実関係を明らかにすることは、大切だ。しかし、信者を攻撃することは、あってはならない。信者は、被害者なのだから。
 こういう信者に対しては、その弱い心を理解しながら、少しずつ真実を教えて上げればいい。エコやホメオパシーで儲けようとしている業者を攻撃することは正当だが、エコやホメオパシーを信じている被害者を攻撃するべきではない。当然ながら、「トンデモだ」というような攻撃的な言葉を使うべきではない。なすべきことは、攻撃ではなくて、救済なのだ。



 [ 付記1 ]
 なお、攻撃するべき相手がいるとしたら、ホメオパシーで儲けようとしている業者や、誤ったエコ原理で読者を洗脳しようとしている朝日新聞社だ。(たとえばエコキャップの推進。)
 攻撃するべき相手を間違えてはならない。ここを間違えると、自分自身が、ホメオパシー業者や朝日新聞社と同類の、ひどい悪党になってしまう。
 
 [ 付記2 ]
 ホメオパシー業者を「トンデモだ」と主張する人々は、あまりにもピンボケ過ぎる。
 ホメオパシー業者の目的は、インチキ理論を普及することではなくて、金儲けである。金儲けするために、あれやこれやと嘘をつくが、そのあとで、嘘が法律違反にならないように、あちこち取りつくろう。そのせいで法律的には「曖昧な言葉のせいでグレーゾーン」になってしまうことが多い。
 ホメオパシー業者はあくまで責任逃れをして言質を取られまいとする。彼らの目的は、自説の主張ではないのだ。つまり、彼らはトンデモではないのだ。彼らの目的は、あくまで金儲けなのである。
  → ホメオパシーはトンデモか?
 ここを誤解して、「トンデモだ、トンデモだ」とトンデモマニアが批判するから、ホメオパシー業者はこの世にはびこる。
 彼らをつぶすには、議論でつぶそうとしても、仕方ない。彼らは議論の場では、ウナギのように、のらりくらりと逃げるだけだ。だから、正面から理屈でつぶそうとしてはならない。(逃げられてしまう。)
 彼らをつぶすには、彼らの収入源を断つべきだ。彼らの目的は(不正な)金儲けなのだから、その(不正な)金儲け自体をつぶすべきだ。そのための方法は、すでに示したとおり。
  
  → 無料 ホメオパシー
posted by 管理人 at 19:34| Comment(2) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「「どんな場合にも、ほとんどエアコンを使わない」というエコ教の発想を取って、熱中症で死ぬ高齢者が増えている。」

> マジっすか!?

という質問にお答えします。

ぐぐれ。「エアコン 熱中症 高齢者」
ただし、ニュース検索。
Posted by 管理人 at 2010年08月12日 21:04
福岡伸一はすでに(はてなで)批判されている、というふうにコメントしてくれた人がいるが、本項の趣旨は、福岡伸一を批判することではない。彼の発想の根源にある「エコ重視」「自然重視」という発想だ。それは彼一人のものではなくて、現代の日本全体で共有されている発想だ。
 
 この発想を批判しているのが、本項だ。(次項もそうだ。)
 私の主張の目的は、福岡伸一を批判することではない。本項でも、福岡伸一個人を問題視しているというより、それを大々的に取り上げて宣伝している朝日新聞の方を問題視している。(朝日が大々的に取り上げなければ、いちいちあげつらうつもりはない。)
 誰か特定の相手を攻撃してそれでよしとする、トンデモマニアと、私とを、混同しないでほしい。私は誰かをいじめて喜ぶ、スネ夫みたいなトンデモマニアとは違う。

 私の取り組んでいる相手は、文明とか文化とか、そういう大きなものだ。(不満神経症の)トンデモマニアが誰かを攻撃して喜んでいるからといって、私も彼らと同類だとは思わないでほしい。
Posted by 管理人 at 2010年08月13日 12:22
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