2010年08月09日

◆ 屋上の保水建材

 屋上緑化のかわりに、セラミック系の建材で保水力をもたせることができる。ただし…… ──
 
 屋上緑化については、前に述べた。
  → 太陽電池と緑化
  ( 太陽電池よりも、緑化の方が、低コストで好ましい。)
  → 屋上農園
  ( 屋上緑化といっても、セダムみたいなサボテンより、葉っぱものがよい。)
  → サントリーの屋上緑化
  ( 木質ウレタン系の新素材で、緑化のかわりに保水材とする。)

 ──

 朝日の夕刊( 2010-08-19 )に、新たに記事が出た。セラミック系の建材(多孔質)で、保水力をもたせることができるという。真夏の気温で、18度の気温低下の効果があったという。
 参考のため、ネットで常用を探すと、次のようなものがある。
  → INAX
  → 積水化学工業
 一方、土のかわりとなるものを用意して、そこに芝を生やす、という方式もある。
  → ハセベ

 以上は、情報。

 ──

 私の評価を示そう。

 セラミック系の建材(多孔質)というのは、普通の建材よりは、保水力の面で好ましいと言える。また、設置が簡単だというメリットもある。サボテンやセダムみたいな保水力の小さな植物よりは、まともだと言えるだろう。

 その一方で、難点もある。真夏で 18度の温度低下というと、55度が 37度に下がるぐらいだから、効果は十分ではない。葉っぱものの植物ならば、55度が27度ぐらいまで下がる。それよりは大幅に劣る。また、樹木と違って、木陰ができないという難点もある。さらに、設置は簡単だとしても、劣化しやすい多孔質を、あとで付け替えるのには、かなりコストがかかる。置物として設置するだけならばいいが、屋上にぴったり接着するような形だと、撤去費用が大変だ。
 
 だから、屋上に設置するならば、「人工土 & 植物」のような形の方がマシだと思う。これなら撤去も簡単だ。また、植物として芝生にしてもいいが、それでも表面積が大きいから、セラミック材よりは効果が大きい。

 セラミック系の建材(多孔質)は、屋上に設置するよりは、むしろ、屋上以外の場所に設置する方がいい。ビルの側面のベランダみたいなところとか。そういうところならば、他のものでは代替が困難だから、用途がある。

 また、超高層ビルでは、屋上に出ることが大変そうだから、セラミック系の建材も役立つかもしれない。しかし、超高層ビルだと、ものすごい体積から莫大な熱量を発生する。それが屋上で少しだけ放熱しても、あまり意味はない。都会では、超高層ビルそのものを撤去する方が、よほど利口だ。あるいは、超高層ビルの周辺の地面を緑化する方が、よほど利口だ。(たとえば、二階建てのプロムナードを造って、そこに街路樹を生やす。)
 
 私としては、屋上緑化よりは、街路樹をもっと増やしてほしいと思いますね。そっちの方がよほど効果がある。真夏の歩道を歩きながら、街路樹があると、ほっとする。特に、交差点の信号待ちの際、手前に街路樹があると、とても助かる。
 こっちの方を考えてほしいものだ。
( ※ なお、街路樹は、都心である必要はない。人のためでなく、場所のためであるから、人口密度の高い場所を優先する必要はない。地価の高い銀座や新宿の表通りでやる必要はなく、場末や裏通りでやるのでも十分。)
posted by 管理人 at 19:49 | Comment(1) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
多孔質焼き物で保水効果をもたせ冷却するという朝日の記事の写真は
手すりのようなものが写っていました。

多孔質に汚れがこびり付き汚くならないか、そんな感想を持ちました。
屋上、歩道などに芝生のような丈の高くない植物が植わっている
だけで、風が吹いたときのさわやかさは違います。メリットは
都心ばかりではありません。

いや、都心よりも田舎の再開発地の方が悲惨です。アスファルトと
コンクリートだけで、全く植栽がありません。熱風しか吹きません。
お盆の帰省で老母の家に向かうとき、駅の近所から田んぼが広がり
用水路に水がいつも流れている姿が懐かしくなりました。同じ場所を
歩いていて、体中をドライヤーに煽られているような気持ちになり
短時間で汗まみれ。

コンクリートから人へ、が消滅したこの夏はアスファルトから緑へが
いいなぁ。ただし彼の国で聞くペンキの緑はお断りです。
Posted by kks at 2010年08月19日 21:45
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