2010年08月08日

◆ リチウム電池とハイブリッド

 リチウム電池の分野で、韓国が急激に追い上げている。このままだと日本勢は敗北する可能性がある。 ──

 韓国政府が今月末にもボリビアと、リチウムの開発・技術協力に関する基本合意書を締結することが確実となったそうだ。
 → サーチナ
 記事によると、「日本の電機メーカーは、これまでリチウム電池の市場で、圧倒的な強さを誇っていた。しかし、最近ではサムスンSDIやLG化学など韓国メーカーが台頭しており、韓国内では数年以内に、国別シェアでも日本を抜き去るとみられている」とのことだ。

 ──

 そこで関連情報を見たところ、次のような記事がある。
  → リチウムイオン電池、韓国企業が一気に台頭 (朝日新聞)
  → リチウム電池、韓国勢攻勢 日本、牙城陥落の懸念再び (IZA)
  → 車載用リチウムイオン2次電池で今、何が起こっているのか (日経)

 サンヨーはパナソニックに吸収されたが、他に、ソニーや、NEC & 日産もある。プレーヤーが多すぎる。
 その一方、技術の見通しははっきりしない。NEC & 日産は、生産量ではトップを進んでいるが、まだ真の実用水準には達していない。このあと、大逆転される可能性は、十分にある。
 そうなると、巨大な生産設備が、すべてスクラップとなり、日産は倒産するかもしれない。先頭ランナーで進んでいるということは、マラソンで最初のあたりを独走しているということだが、そのうち息切れして、ゴールしたときには大幅に順位を下げている可能性がある。
 NEC & 日産は、危険を避けるためにも、他社と協力した方がいいですね。少なくともソニーや三菱とは協力した方がいい。下手をすると、倒産しますよ。




 話かわって、ハイブリッド。


 ホンダがフィット・ハイブリッドを出すということだが、あまり見通しは良くない。価格はインサイトよりも 30万円安い(159万円)ということだが、それではあまり商品力はないだろう。ガソリン車に比べて高い分を、省エネの分で回収できるかどうか、ギリギリだ。特にハイブリッドを買うメリットはない。
 その点、トヨタのプリウスならば、ハイブリッドを買うメリットがある。試算によると、現金価格は 205万円だが、10万キロを走った時点での省エネによる価格メリットを考慮すると、145万円でガソリン車を買うのと同等だという。それだけ大きな省エネ効果があるわけだ。( → ベストカー最新号 )
 おまけに、プリウスは、「低速走行のときには電気自動車である」というメリットがある。つまり、モーター運転なので、V8 のセルシオよりも(機械音は)静かだ。つまり、超高級車。圧倒的な高品質だ。
 それでいて、プリウスは、コスト的にはホンダのハイブリッドよりも安くなる。というのは、変速機(トランスミッション)がないからだ。トルコンや CVT もないし、複雑で高コストな歯車機構もない。その分、大幅にコストが低くなっている。
( ※ なんでそういうことができるのかというと、モーターはそれ自体が変速機の機能をもつからだ。低速のときにはトルクが大きく、高速のときには低トルクで高回転する。)
 プリウスは、「ガソリン車と電気自動車の合いの子」というよりは、「ガソリンエンジンを補助動力とした電気自動車」ということになる。かなり電気自動車に近い。
 それに比べると、ホンダのハイブリッドは、「基本はガソリン車で、それに電気自動車の機構を補助的に付けたもの」にすぎない。かなり古臭い方式だ。これでは、原理的に、トヨタの方式に勝てない。(トヨタも、ホンダのような方式を検討したことがあったが、時間がたつにつれて、現行方式に一本化して、ホンダのような方式を廃棄した。)
 ついでに言うと、日産の方式も、ホンダの方式に近い。ホンダの方式よりは、いくらかはマシだが、基本的にはガソリン車であり、それにモーターを追加したものだ。基本が電気自動車であるトヨタのハイブリッドとは、根本的に異なる。当然、価格は高く、性能は悪く、売れる見込みはまったくない。最初だけは物珍しさで売れるだろうが、半年もたてば、フーガ・ハイブリッドは、月産 30台程度(日産1台程度)になるだろうと見込まれている。つまり、大幅赤字だ。ただの赤字の垂れ流し。生産中止にする方がよほどマシだ。

 ──

 以上からわかるように、ハイブリッドの世界は「一人勝ち」だ。最優秀の一社が圧勝し、他社は完敗する。ここでは、ホンダや日産は、トヨタとは異なる方式を採るべきではなかった。そんなことをすれば、トヨタの捨てたゴミのなかから、ゴミあさりをすることになる。やればやるほど、赤字が増えるし、シェアを落とす。(自社の方式がトヨタの方式よりも圧倒的に劣る、ということに気づかないのだから、あまたが悪すぎる、とも言える。)
 その点、トヨタのハイブリッドを技術導入する(特許料を払う)という方針を取ったマツダの方が、はるかに正解だ。最優秀の技術をリスクなしで導入できるのだから。

 ──

 リチウム電池でも、似たことが当てはまると思う。今のところは日産が突っ走っているが、だからといってハイブリッドで独走したトヨタのようになれる保証はまったくない。別の会社がトヨタのようになるかもしれない。その場合には、日産は惨敗して、あっさり倒産することになる。
 では、どうすればいいか? 先の見通しは立たないのだから、保険をかけておくのが最善だ。つまり、日本の各社は、共同して、技術開発をするべきだ。各社がバラバラにやるのでは、投資効率も悪い。(重複研究も多くなる。)
 現状のままだと、サムスンに完敗する可能性は、かなりある。というのは、サムスンの企業規模(特に利益額)は、日本の各社を束ねたよりも、もっと大きいからだ。日本の会社が三本の矢を合わせても、サムスンという鉄の槍に勝てるかどうかは、はっきりしない。まして、三本の矢を合わせなければ、敗北する可能性は、かなりある。
 リチウム電池の世界でも、「ケータイ電話のガラパゴス化」と同様の現象が起こるかもしれない。日本の各社が市場を食い合っているうちに、いつのまにか韓国の巨人が日本の各社を踏みつぶしてしまうのだ。(……ちょうど、液晶のシャープが、踏みつぶされつつあるように。)
 
 そうなる可能性は、十分にある。その象徴が、ハイブリッド車で惨敗しつつあるホンダと、まったく売れそうにないハイブリッド車を新発売する日産だ。
 


 [ 付記1 ]
 トヨタがハイブリッドでなぜ圧倒的に優勢かというと、最初に大量生産をしたからではなくて、(最善である)トヨタ方式の、基本特許と周辺特許を取ったからだ。一番おいしいところを独り占めしたからだ。他社は、残りの屑から、ごみあさりをするしかなかった。
 一方、リチウム電池では、日産はおいしいところを独り占めしているわけではない。この状況で、先行しても、あまり意味はない。どんどん進んでいっても、後発組の方が、おいしい宝の山を見つけるかもしれない。そうなったら、道筋が変わる。先行していた日産は、正しい流れからはずれて、一人で見当違いのコースを進むことになる。そうなったら、「着外」つまり「ペケ」となる。そうなる可能性は、かなりある。何しろこの分野は、先の見通しがないんだから。
  
 [ 付記2 ]
 上記のホンダ批判は、「今になって後出しジャンケンをしている」といわれると心外なので、以前から批判していた証拠を出しておこう。過去記事の紹介。

 (1) 2006年11月10日
 現状では、ハイブリッドといっても、トヨタのハイブリッドは優れているが、ホンダのハイブリッドは効率が悪いようだ。燃費向上の効果がないという悪評が多い。(ネット検索で見つかる。)
 なぜホンダのハイブリッドは駄目か? 細かい技術が劣っているというよりも、根本的な方式が狂っているせいだ、と私は思いますがね。ホンダはどう思っているのかな? 「負けを認めない」という方針かな?  (^^);
( → 出典

 (2) 2008年07月17日
 ホンダでは、「うちの次期ハイブリッドはすごく安価だぞ」と大々的に自慢している。しかし、ホンダと日産の自慢は、たいていアテにならない。どちらもホラ吹き。ホンダが「すばらしいハイブリッド」と称したインサイトは、今では生産中止の憂き目に遭っている。日産のハイブリッドと来たら、一般人には存在すらも知られていないほどだ。
( → 出典
 ──
 
 ホンダのハイブリッドが駄目だということは、2006年の時点ですでに指摘している。私は今になって急に言い出したわけじゃない。
 日産のハイブリッドは、まだ発売されていないが、発売前のこの時点で、私としては「駄目だ」とペケ出しをしておこう。
(ベストカーという雑誌でも、駄目だという評価。本項の記事では、上記の評価を、強く参考にした。同趣旨 or 引用となる箇所もある。販売の見通しの点。)
(なお、日産のハイブリッドの方式が、根本的に駄目な機構だという点は、私なりの判断である。)
posted by 管理人 at 21:38| Comment(0) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
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