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太陽電池パネルは、真っ黒だ。そのせいで熱を吸収する。これは、夏の冷房の発電エネルギーを上回るデメリットをもたらしかねない。
エネルギーの収支計算で、次のようになりそうだ。(単位面積は適当。)
・ 太陽光エネルギー 100W
・ 発電エネルギー 15W (効率 15%)
・ 反射エネルギー 10W
・ 熱吸収エネルギー 75W
この場合は、熱吸収エネルギーは 75W だが、発電エネルギーによる利得(外部電力を減らす分)が 15Wだ。差し引きすると、熱となる分は、
75W − 15W = 60W
( ※ ただし、エアコンはヒートポンプ式なので、発電の電力の3倍ぐらいの効率がある。とはいえ、真夏になると、冷房の効率は落ちる。となると、真夏では、効率は3倍でなく2倍ぐらいか。なお、倍率がどうであれ、室内で気温が下がった分、室外では気温が上がる。これはヒートポンプ式の宿命だ。)一方、「屋根を白いペンキで塗る」という案もある。( → 陸地温暖化への対策 )
この場合は、エネルギーの収支計算で、次のようになりそうだ。
・ 太陽光エネルギー 100W
・ 反射エネルギー 70W
・ 熱吸収エネルギー 30W
この場合は、太陽光の 70%は空に反射され、 30% だけが吸収される。太陽光が 30% に弱まったのと同様だ。その部分(屋根)に関する限りは、そこでは晴れでなく曇りになったのと同様だ。その分、地上を冷却する効果がある。
以上を比較すれば、熱吸収エネルギー(地上を温めるエネルギー)は、
60W > 30W
となる。とすれば、夏の地上を冷却するためには、太陽光発電よりも、屋根を白くする方が、はるかに有効だろう。
つまり、太陽光発電でシコシコと 15W を稼いで得意になるよりも、屋根を白くすることで一挙に熱吸収エネルギーを大幅減にした方が、よほど省エネになるわけだ。
[ 付記1 ]
本項のポイントは、次のことだ。
「太陽電池は、太陽光発電をするが、同時に、真っ黒なパネルで熱吸収をする」
太陽光発電の推進者は、発電のことばかりを考えていて、熱吸収のことを考えていない。熱吸収のことまで考えれば、「太陽光発電を」と語るより、「屋根を白ペンキで塗る」というほうを選ぶべきなのだが。
[ 付記2 ]
といっても、目的は違うが。
・ 太陽光発電は、室内を冷やすため。
・ 白い屋根は、室外を冷やすため。
ただし太陽光発電は、「室内にいる自分が冷えるために、周囲をものすごく暑くする」という効果がある。(ヒートポンプの分と、真っ黒なパネルの分。)
これは「自分だけ良ければいい」という発想だ。「自分が省エネをするために、室外を高熱にする」という立場。
それに対して、「白い屋根を」とか「緑の植物を」とかの、環境保護的な発想があるわけだ。
「白い屋根」や「緑の植物」は、真のエコだが、「太陽光発電を」というのは、エコというよりは、「炭酸ガス教」という宗教の一種だろう。これも広い意味の「エコ教」か。エコにならない方針を、「エコ」だと信じて行なうわけ。エコキャップと同様。
( ※ エコキャップと同様だが、太陽光発電なんか、やるよりもやらない方が、よほどエコになるわけだ。太陽電池パネルを設置すればするほど、地上はどんどん暑くなる。それよりは、火力発電の方がまだマシだ。火力発電所による炭酸ガスの気温上昇効果など、たかが知れている。その一方、太陽電池による気温上昇は、かなり大きい。)
[ 付記3 ]
なお、正確に言えば、本項のことが当てはまるのは、「暑くて仕方のないとき」だけだ。つまり、5月下旬から9月中旬までだ。
それ以外の時期には、「熱吸収」のデメリットはないから、「太陽光発電のメリット」だけが生き残る。
とはいえ、5月下旬から9月中旬までというと、かなり長い時期だ。4カ月だから、1年の3分の1にあたる。これだけの期間で、太陽光発電のメリットは失われる。
太陽光発電のコスト計算をするときには、この効果も考えるべきだろう。
単純に言えば、太陽光発電のコスト計算の際には、都市緑化(前項)の費用も込みにするべきだ。なぜなら、その分、陸地温暖化の効果があるからだ。
( ※ 逆に言えば、太陽電池の普及を阻止することで、都市緑化の費用をかなり削減できる。)
[ 付記4 ]
実を言うと、物事を建設的に考えると、妙案がある。次のことだ。
「太陽電池パネルの上と下を、水の冷却パネルで覆って、太陽熱温水器を兼用させる。」
この場合、熱エネルギーは、家庭の湯沸かしのために使われる。また、太陽電池パネルは、高熱にならないので、高温による発電効率の低下を免れる。一石二鳥。
これなら、問題はない。逆に言えば、これでないのなら、問題がある。
【 関連項目 】
→ 太陽電池と緑化
(本項とほぼ同趣旨)
→ 陸地温暖化への対策
「黒屋根税」という税金をかけてしまいたい、と述べている。
その場合、太陽電池パネルを設置した家庭には、増税となる。 (^^);
それこそ昨今の時流のことで、
クライメート事件に関わらず、
ちゃんと真贋見極めて
消費者として最善の道を探すしかないわけで。
家庭菜園とか自家発電(エセエコ廃絶)とか。
最初に書いたときは暑さでボケていたらしい。 (^^);
付記4はとても合理的だと思います。
黒色であるが為の冬季の放射冷却効果での問題などはありませんか?
付記4はいいですね。
黒い日傘でも涼しいのと同じ理屈です。
施工方法によっては熱的に有利になるケースも多いと思われます。
ただ、その地域の総熱吸収は増やすので、おっしゃるとおり都市圏で設置密度によってはヒートアイランド現象を悪化させる可能性があるとは思います。
地球レベルでは少なくとも吸収率の問題はないと思います。砂漠の吸収率75%や地球全域吸収率70%、陸地全域吸収率77%(高反射率の極地含む)は、太陽電池吸熱(反射率10%、効率15%で75%)と大差ありません。
太陽熱温水器化は登場して欲しいと思います。
(ほんとは太陽光発電より最新の太陽熱温水器に補助出すべきだろと思ったりしますが・・・)
商品として、太陽光+太陽熱温水器システムはありますが、一体ではなく並んで設置してるだけです。
太陽電池を冷やすには必然的に冷やす目標の温度より低温のお湯しか得られないことになります。
追い焚きが必要になるでしょうね。
ぬるま湯タンクに蓄えて、必要時瞬間湯沸器で追い焚きするのがいいんだろうと思います。
ヒートアイランド防止なら、裏側から散水蒸散冷却するのも手かなと思っています。
森林(90%)より低い吸収率+蒸散冷却となります。
> 森林(90%)より低い吸収率+蒸散冷却となります。
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植林ならば、ごく低い初期投資のほかは、コストがほとんどゼロです。一方、蒸散冷却なんかやったら、発電収入と同じぐらいかかるかもしれません。
ところで、夏の暑いときには、街路樹がとてもいいですね。そこに来ると、ひんやりとします。コストのかからない天然クーラー。太陽光発電は、金食い虫で、かつ、夏には暖房機になる。
白い屋根もどうかと思います。
最近出ている真っ黒なパネルは一般のソーラーパネルで起こる反射の対策になっています。
既存のパネルですと現に苦情が出ているようです。
それを考えると白屋根は住宅街や街中など家が密集しているところでやると眩しいって苦情が来るかと。
しかも鏡の様な反射ではないので広範囲に影響が出ます。
>白い屋根は、室外を冷やすため。
それだけなら良いですが、他の人に迷惑をかけてしまうのであれば…良い方法とは思えません。
代案は無いので申し訳ないのですが、思った事を書かせて頂きましたm(_ _)m
一方、傾斜のある(傾斜の急な)屋根だと、屋根が見えるかもしれませんね。それだと「まぶしい」と感じることもありそうです。
傾斜しだいですね。
→ http://j.mp/ZzEino
> 白い屋根で日光を反射すると、太陽光による地表の加熱を防ぎ冷房の稼働率も抑えることができることから、ノーベル物理学賞受賞者のスティーブン・チュー氏は「温暖化をくいとめるには世界中の屋根を白く塗りつぶすべき」と唱えています。
→ https://gigazine.net/news/20210416-whitest-paint/
本項の提案と同じ。