太陽光発電への補助金について、朝日新聞・社説は、かねて賛成論を唱えていた。「莫大な補助金を投じよ」という方針。
私はこれを批判して、「巨額の補助金は駄目」と述べていた。
このたび( 2010-07-31 )、朝日・社説は、方針を転じて、「巨額の補助金は駄目(だから慎重にせよ)」というふうに述べた。
以上の経緯を、以下で紹介する。
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(1) 朝日の主張 2008-07-27
もともとの主張は、「太陽光発電に、多額の補助金を」というもの。
詳しくは、下記で紹介している。
→ 太陽光発電と補助金2
ここでは、私の批判も述べている。
(2) 朝日の主張 2010-07-31
上記の私の批判に合致する形で、朝日は新たに下記の主張をした。朝日の社説から一部引用しよう。
菅政権は、太陽光や風力、地熱などの再生エネルギーでつくった電力をすべて買い取ることを電力会社に義務づける「全量買い取り制度」を導入する。つまりは、賛成論から慎重論へと転じた。(反対論というほどではないが。)
自然エネルギーの発電コストは、火力や原子力による発電の原価に比べて今はかなり割高だ。政策による支援なしには、なかなか普及が進まない。そこで、高めの価格で電力会社に買い取らせ、割高分を電気料金に上乗せする。つまり利用者負担で、自然エネルギーによる発電に一種の大胆な「補助金」を投入する制度である。
ただ、この制度には悩ましさもある。電力会社の買い取り価格を高くすれば、もうけを期待して参入は増える。増えすぎれば、利用者に転嫁される上乗せ電気料金が過大なものになりかねない。
国内市場を無理に拡大したり、持続可能でない制度にしたりすれば長い目ではマイナスだ。
欧州諸国は「電気料金への転嫁額が大きすぎる」と批判を浴び、買い取り価格の大幅引き下げを迫られている。欧州の価格水準を参考にしている経産省案では、標準的な家庭で電気料金への上乗せ負担が年約2400円、大工場では年2千万円にのぼる。
( → 朝日・社説 2010-07-31 )
なお、赤色文字からもわかるように、欧州の見解を聞いて、その真似をしたのかもね。欧州が右向きゃ、自分も右。欧州が左向きゃ、自分も左。それが朝日主義。日和見主義だが、その原理は太陽かも。 (^^);
なお、社説の最後では、次のように述べている。
すべて合わせると、どれほどの負担となるのか。そこが分からないままでは、賛成しにくい人も多いだろう。その点なら、朝日が先の社説 (1) で示したはずだ。
「国民の負担はごくわずかだが、補助金は多額に支出される」
という、無から有を生み出すような、奇術みたいなデータを。(嘘八百。)
──
朝日は、「データをきちんと出せ」と述べているが、その前に、自己検証をするべきだ。
・ これまではデータもなしに、一方的に賛成論を述べていた。
・ 使っていたデータは、嘘八百が見え見えのデータだった。
・ 方針を転じたことを、正直に語らない。
・ 方針を転じた理由を、データがなかったことだと責任転嫁ている。
データなんてものは、昔からあった。だから私が何度も、データを示しながら、朝日の方針は駄目だと批判してきたのだ。(サイト内検索をするといい。)
なかったのは、データではなくて、データを分析する論理力だ。それも、中学生でもわかるレベルの論理力だ。
教訓。
科学的論理力もなしに、直感だけで「エコは素敵だ」と推進しても、あとでそのためにかかる費用に気がついて、大あわてするハメになる。
エコに浮かれず、現実の費用を見るべし。
( ※ エコキャップと同じだな。まったく。朝日は本当にひどい。エコ信者。)
【 関連項目 】
→ 太陽光発電の嘘(Wikipedia)
→ カテゴリ 「太陽光発電 ・風力」