2010年07月29日

◆ プラごみ発電

 プラスチックは、分別回収したあと、リサイクルしてプラスチックに戻すより、燃やして発電エネルギーとして回収する方が、効率的だ。その情報を示す。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-07-24 です。)

  
 ペットボトルのキャップなどを、リサイクルするという偽善的な運動が流行っている。( → エコキャップ )
 しかしプラスチックは、分別回収とリサイクルをしてプラスチックに戻すより、燃やして発電エネルギーとして回収する方が、効率的だ。この件は、先に示した。
  → サーマル・リサイクル
  
 このたび、朝日新聞の記事で、同趣旨の話が詳しく掲載された。専門家の意見を聞くインタビュー。(朝日・朝刊・特集 2010-07-24 )
 有益な話があるので、記事を抜粋しよう。(専門家は、中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会長 田中勝 )
  • プラスチックを燃やして得られる蒸気で発電し、エネルギー回収をする。
  • ダイオキシンの発生量は世界で最も厳しい排出基準が適用されている。
  • リサイクルがエネルギーや資源の保全に役立っているのかは疑問。回収や、選別・保管や、破砕・洗浄のため、多くのエネルギーと資源が消費される。
  • リサイクルと焼却発電のどちらがいいか? 私の調査では、焼却発電が2割上回っている。プラスチック処理促進協会によると、リサイクルの方が環境負荷で2割上回っている。(どちらともはっきりしないのは、試算の前提となる条件が異なるため。)
  • 特に問題なのは、効率的には焼却発電と大差がないのに、リサイクルには膨大な金がかけられていること。
  • リサイクルコストの平均は焼却発電の 3.5倍。リサイクルで二酸化炭素を削減するコストは、1トンあたり10万円近く。(二酸化炭素の排出枠の取引ではトンあたり 1500円程度。)
  • ペットボトルやトレーのようにきれいで単一素材で出来ているものは効率的に集められるが、他のプラスチック容器包装は食物の汚れが付いている。選別の家庭で、半分がゴミになる。リサイクル以前に、選別のために、事業者は毎年 400億円をかけ、自治体も収集と選別・保管に数百億円をかけている。その点、焼却発電なら可燃ゴミといっしょに運ぶから効率がいい。
  • 日本では焼却施設が多く、発電している施設は小さい。しかも大半が小規模なので、エネルギーの利用効率は 11% しかなく、低い。
  • 効率の高い焼却発電のために、日本も政府が推進するべきだ。
 なお、記者の追記によると、環境省は、高効率の焼却発電を自治体に推奨する一方で、リサイクルをさらに推進しようとしている。現状では、容器・包装以外のプラスチックごみは、自治体のプラスチックごみ回収の対象外だが、これを対象内にすることで、いっそうのリサイクルを進めようとしているという。
 同じプラスチックに対して、二つの方向を同時に進めようとしているわけ。二律背反ふうというか、矛盾というか。

 ────────────
 
 さて。このあと、私なりに見解を示そう。
 上記の専門家の見解には、大事な点が抜けている。おそらく、お上が怖くて、言えなかったのだろうが、私がここで明かそう。

 そもそも、上記の話には、「事業者は毎年 400億円をかけ」という点がある。事業者はどうして、こんなに大金を払うことを、あえてやっているのか? 焼却発電にすれば、事業者はこの金を払わずに済むのだ。なのに、何でまた、焼却発電をしないで、あえてリサイクルをして、毎年 400億円を払うことに熱中しているのか? 事業者はそれほどにもリサイクル趣味があって、そのために莫大な金を浪費しているのか?

 ここまで考えれば、理由がわかる。それは、「役人の天下り」である。天下り団体に 400億円を支払わせる。そのための奉加帳が業界に回る。そうなると、業界各社は、それぞれ大金を払わざるを得ない。(暴力団のみかじめ料と同様の原理。)
 この件は、「容器包装リサイクル法」を典拠として、公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会が担当している。その役員名簿には、こう記述してある。
 「代表理事理事長を含め、常勤以外は全て無報酬」

 この文章を読むと、奇怪に見える。代表理事理事長は無報酬なのに、他の常勤理事は報酬を得ているのだ。いわば、社長が無報酬なのに、専務は多額の給与を得ている。話が逆だろう。
 これはどういうことかというと、代表理事理事長は、山村硝子株式会社の社長(CEO)で、民間人だからだ。他の理事も民間人(多くは別の公益法人の理事長など)である。一方、日本容器包装リサイクル協会の常任理事は、違う。……これらは、天下りと見なしていいはずだ。

 要するに、事業者が毎年 400億円を払っているのは、環境省の天下りを養うためなのだ。そのために、容器包装リサイクル法があり、容器包装リサイクル協会がある。そして、これを維持するために、焼却発電よりも、リサイクルに熱心になるわけだ。
( ※ 焼却発電は、自治体レベルでなされるので、環境省の統制が及ばない。従って、環境省の天下りを、押し込めない。)



 [ 付記 ]
 真相は上記で説明された。
 とはいえ、「リサイクルよりも、焼却発電の方が好ましい」という記事の方向性は、全面的に正しい。朝日が調べたというよりは、ただのインタビューだが、真相を記事にするのは、良いことだ。これでやっと、朝日も私に追いついたことになる。
 ひるがえって、これまで、朝日はやたらと「リサイクルをしましょう」という記事を掲載していた。「エコキャップ運動は素晴らしい」という記事も、少なくとも3度は掲載した。こういう虚偽を宣伝するかわりに、真相を記事にするのは、良いことだ。
 ついでに、過去の記事の嘘について詫びれば、もっといいが、ま、朝日も人の子だし、自分自身について反省するのは難しいのだろう。(仕方ない。ガキなんだから。)



 【 関連項目 】

 本サイトの過去の記事は、下記。
  → サーマル・リサイクル



 [ 余談 ]
 余談だが、朝日は 23日(22日?)の記事で、「風力発電を推進せよ」という記事を掲載していた。まったく困りものだ。趣旨は下記。
  ・ 欧州では風力発電が多い。(だから日本も推進せよ)
  ・ 風力発電の発電コストは低い。

 どちらも間違いだ。正しくは:
  ・ 欧州では風力発電を多くできる。台風がないから。
   (日本では無理。台風で壊れる。)
  ・ 風力発電の発電コストは、全日で見れば低いが、それは
   需要のない夜間にもせっせと発電しているから。無駄発電。
   (昼間の発電だけを見れば、コストはかなり高い。)

 なお、欧州は、緯度が高いので、太陽光発電には向いていない。そのせいで、風力発電に熱中している、という事情もある。(晴天日数の多いスペインを除く。)
 日本ならば、どうせなら、風力よりは、太陽光発電の方がマシだろう。風力発電の設備は、大部分が台風で壊れてしまっているのだから。また、日本には適地が少ないという問題もある。
   → 風力発電(地理・気候)
   → スペインの風力・太陽光発電

 朝日の風力・太陽光の記事は、デタラメが多い。どうせなら、次の記事の方が有益だ。
  → 「国際競争力低下招く」 再生エネ買い取り制度 産業界が負担軽減要求

 つまり、国民や企業に負担をかけて、風力や太陽光の電力を高値で買い取れば、日本全体の経済力が弱体化してしまう、ということ。
 これを報道しているのは、産経だけであるようだ。困ったことだ。
 
 ──

 とにかく、エコのために大切なのは、風力発電でもなく、太陽光発電でもない。焼却発電のために投資することだ。これが最もエコになる。
 一方、最悪なのは、プラスチックゴミのリサイクルである。やたらと金ばかり食って、天下りを養うだけだからだ。
 ただし、このシステムを利用して、天下り連中にかわって金儲けを企む悪賢い人々もいる。それが「エコキャップ」を推進する人々だ。それにだまされるのが、善良無垢な子供たち。で、子供たちがだまされるように仕向けるのが、朝日新聞などのマスコミ。
 一番悪いのは、誰でしょう? 
 ( …… 私じゃないですよね。  (^^); )
posted by 管理人 at 00:39| Comment(3) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
摂南大学のM教授のダイオキシン大騒ぎとテレ朝の報道以降、
焼却炉の運用が難しくなっています。ダイオキシンの発生が500-
600℃程度で最も多いと言われているので、発生の少ない1000℃
以上を保つためにも焼却炉の連続運転と燃料となる
廃プラスティック類の焼却が必要になっています。

某放送局では「明日のエコでは止められない」とまこと
しやかなイメージで訴えていますが、本質には何もつながって
いません。ちょっと考えればすぐ分かることです。明日はいつまでも
明日であり、今日はまだいいや、まだ間に合うと必要とは逆の
メッセージを伝えかねません。

新たなシステムを作るときに全力を尽くすことは当然ですが、
ある程度の経過をもって見なおしや新たな知見を加えてより
よいシステム・より目的のために永続するための改善を加える
必要があるのは火を見るより明らかです。

どうも日本の多くのシステム(政治・経済・経営・マスコミ)は見なおし
よりも継続を重視してその寿命を短くしている傾向が強いと感じています。

システムを構築し直すよりも前者に従う方が遙かに楽だからでしょうか。
Posted by kks at 2010年07月24日 21:22
焼却発電よりもゴミ焼却炉で燃えにくい生ゴミなどの補助燃料として燃やすのがベストと思っています

こんな事を大まじめに宣伝しているのを見るとあきれ果てます
http://www.youtube.com/watch?v=AI9EJaI_lWY
Posted by iichiko at 2010年07月25日 12:50
横浜市と東京都のサーマルリサイクル。
  → http://hamarepo.com/story.php?story_id=322

 横浜市は分別で、東京都はゴミ発電。
 横浜市は分別しているが、家庭ゴミにプラゴミが混じっているおかげで、燃料の投入をしないで済んでいるそうだ。
Posted by 管理人 at 2012年07月11日 19:14
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ