そのことは、前にも本ブログで指摘したが、そろそろ具体化しつつある。 ──
太陽光発電が増えれば、かえって炭酸ガスは増える。出力変動を補完するための火力発電が増えるからだ。そのことが具体化しつつある。
地球温暖化対策として導入が進められている太陽光発電などは、気候によって出力が変動します。このため、東京ガスと大阪ガスは、都市ガスを組み合わせて、安定的に電気と熱を供給する実証実験を今月から共同で始めることになりました。実験では、東京・荒川区の東京ガスの事業所に、太陽光発電の装置や太陽の熱を使った冷暖房と給湯のシステムを設置します。雨など天候の悪い日には、都市ガスで電気と熱を作り、安定した動作を目指します。また、大阪府や滋賀県などに設置した太陽光発電と都市ガスを使った発電設備を通信網で結び、太陽光発電の出力の変動に合わせて、電力を融通する方法を検証することにしています。最後には「 30パーセント以上の二酸化炭素が削減できる」と記しているが、もちろん、嘘っぱちだ。既存の火力発電が減るわけではなく、新たに都市ガスの火力発電が増えるからだ。
東京ガスと大阪ガスでは、こうした太陽光発電などと都市ガスを組み合わせた次世代のエネルギー網を確立できれば、30パーセント以上の二酸化炭素が削減できるとして、2015年度をめどに実用化を目指すことにしています。
( → NHKニュース 2010-05-17 )
上記の記事で言っているのは、「全部を火力発電にするよりは、太陽光発電と都市ガスの組み合わせの方が 30パーセント以上の削減」ということだ。しかし、現実には、それは比較対象にならない。なぜなら、火力発電所の増設計画は、存在しないからだ。なのに、上記のように「火力発電所の増設に比べれば、 30パーセント以上の削減」と述べても、意味はない。
どうせなら、「原子力発電所の増設に比べれば、 70パーセント程度の炭酸ガス増加」と述べるべきだ。なぜなら、現実にあるのは、原子力発電所の増設だからだ。
結局、比較対象を変えることによって、炭酸ガスの増加を、炭酸ガスの減少に見せかける。ペテン。
はっきり言っておく。太陽光発電が増えれば増えるほど、炭酸ガスは増える。この件は、前にも述べたとおり。(下記。)
【 関連項目 】
→ 太陽光発電のコスト計算
※ タイトルが少しズレているが、バックアップとしての火力発電が必要だ、
という趣旨で示している。多大なコストがかかるとも示している。
→ 風力発電で炭酸ガス増加 (私の意見でなく、他の人の意見の引用。)
※ これは風力発電を話題としているが、太陽光発電にも当てはまる。
記してある通り。
上の項目からもわかるように、太陽光発電で炭酸ガスを減らすには、火力発電所の出力を落とすしかない。今回の報道のように、都市ガスで出力変動を補完するのでは、炭酸ガスを減らす効果はろくにない。
ただし、太陽光発電の出力変動は大きいので、火力発電所では、即応ができにくい。その点、小規模の都市ガス発電ならば、変動への即応がしやすい。その意味の有効性はある。
実際の需要に比べて、火力発電所の発電量は、5%〜10%ほど、高めになっている。その余剰の分は、無駄に捨てられている。逆に言えば、余剰の電力を発生させるために、大量の石油が無駄に捨てられている。太陽光発電の量が増えれば増えるほど、出力変動に対応するため、捨てられる電力や、無駄にになる石油が増える。都市ガスの場合は、その無駄が少なくて済む。(即応しやすいので。)
ただし、都市ガスは、発電コストが高い。その意味の難点がある。都市ガスを使えば問題が解決するというわけでもない。
どっちみち、火力発電に頼るようでは、駄目なのだ。その点、火力発電に補完してもらうことが不可欠のもの(太陽光発電・風力発電)は、しょせんは駄目なのだ。(よほど効率が向上しない限りは。)
世に云う省エネ、省CO2等 殆どが良いとこだけを取り上げ「省」だと云っている。
リサイクルも同様(レジ袋やエコキャップ)。
民間の怪しげな団体・個人はさておき、
政府機関・マスコミ達はトータルで「省」に成る事を検証すべきだ。
管理人の云う通り、太陽電池や風力発電には火力発電が不可欠。
日本全国をスマートグリッドでカバーできれば前提条件が変わってくるのだが、いつになるか解らない事を前提には出来ない。
CO2削減のためには、まず電力消費を減らすこと。企業でも家庭でも。
その上で必要な電気は作らないといけない。そこで太陽光により発電する分を火力の出力を下げられるので、CO2削減になるのです。
電力需要が増えなければ、火力を新設する必要なし。
まぁ、効率が悪く大量にCO2を出す火力発電所を休止して、高効率火力を作ったりはしていますが。
あと太陽光の出力変動ですが、家庭に置かれる(配電網につながる)太陽光については、日本の優秀な気象観測のおかげで、天気による太陽光の変動は予測でき、十分水力や火力で追随運転できます。追随できない分は太陽光のパワコンが出力調整して、電圧上昇や周波数変動を抑えて送電網への逆潮を防ぎます。
送電網につながるメガソーラーは影響が大きいのですが、ある程度の余裕を持たせた運転なので電力系統で吸収できています。
風力の場合はだいたい送電網につながっているのでちょっとやっかいです。短時間変動はどうしようもないので、電力からみたら迷惑そのもの。NaS電池などを併設してきれいな電気にしてほしいでしょう。長時間変動は、気象予測などで予測し、水力・火力で調整します。
まぁ、一番良いのは原子力比率を上げることですけど。いろいろアレルギーのある方がおられるようで。
太陽光を入れたから火力を増設しなけりゃというのはどう見ても、本末転倒の論理を作ってますね。