2010年05月07日

◆ 異種間の交雑

 異なる種同士の交雑は可能か? (例。ネアンデルタール人とホモ・サピエンス。)
 生物学的に言えば、「可能性は非常に低い」と言える。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-05-09 です。)

 
 「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの混血」という話題については、前項で述べた。
  → ネアンデルタール人との混血

 この件で、最後に私見を示したが、そこでは、このような混血は生物学的にありえそうにないと述べた。── そもそも、子供が生まれにくい。また、生まれたとしても、生殖能力をもたなかったり、病弱であったりで、生き延びることは困難だろう、と。

 この件は、いちいち説明しなかったが、本項でもうちょっと詳しく説明しよう。簡単に言えば、こうだ。
 「異種間の交雑は、絶対にありえないとは言えないが、起こる可能性は非常に低い」

 (1) ハエの例

 異種間の交雑は、起こることもある。たとえば、次の報告がある。
  → 進化:動物でも種間交雑で新種が生まれる
 これは、興味深い報告だが、ハエという例だ。ハエというのは、脊椎動物ですらない、低レベルの生物である。このくらいの生物ならば、そういうことが起こっても、不思議ではないだろう。(ハエでは奇妙なキメラ生物も容易に誕生するが、そういうことは高度な生物ではありえない。)
 というわけで、低レベルの動物では、「異種間の交雑が起こることもあるぞ」と主張することはできるが、だからといって、それを高レベルの生物(脊椎動物)にまで当てはめることはできない。

 (2) 哺乳類の例

 高レベルの生物である哺乳類になると、交雑は起こりにくい。遺伝子が複雑化しているので、容易に他の動物と交雑しにくいのだ。ここで、交雑しにくいという言葉には、二つの意味がある。
  ・ 交尾を嫌がる (気持ち悪がる)  
  ・ 生まれた子供が生物的に弱い (生殖能力・健康)

 この二つの点については、次の説明があるので、引用しよう。
 近年アメリカでは小型種で異種交配が盛んに行なわれています。ベンガル、サーバル、カラカル、ボブキャット、カナダオオヤマネコ、オセロット、マーゲイ、タイガーキャット ×イエネコ等々。
 ですが問題もたくさんあります。まず交配が非常に困難です。
 一緒にいるだけでは交配しないので精神安定剤を投与して酔っ払わせ、メスには鎮静剤も投与して動けなくして交配させるのです。
 妊娠しても生きて産まれる可能性も低く、たとえ無事に産まれても奇形や内蔵疾患等で短命な場合が多いです。
( → 知恵袋
 この件は、前項で ラバライガー という例を挙げて示したとおりだ。

 なお、次の説明もある。
 哺乳類や一部の鳥類の場合、ゲノムインプリンティングという仕組みがありまして、父親の染色体と母親の染色体が 1セットずつ正常に揃わなければ発生できないよう、安全装置が備わっています。レオポンやラバ等は、様々な安全装置をすり抜けて、偶然にもちゃんとした子供が生まれてしまった例です。
( → 相談室

 ──

 結論。
  
 動物の場合、異種間の交雑は、絶対にありえないわけではない。特に、低レベルの生物(ハエなど)では、うまく起こることもあるようだ。
 とはいえ、高度レベルの生物(哺乳類)では、異種間の交雑は起こりにくい。これは当然のことで、種としての完成度を高めている以上、異種の遺伝子を取り込めば、弱体化して当然なのだ。
 特に、対になる遺伝子をもたないから、遺伝子欠陥が生じたときに、容易に健康を損ねてしまい、系統が絶えやすい。
 
 そもそも、有性生殖の生物がどうして遺伝子を一対でもっているかを、考えてみるがいい。このことによって遺伝子欠陥から個体を守っているのだ。通常の個体は、十個程度の遺伝子欠陥をもつと推定されている。ただし、それは、発現しない。一方が欠陥遺伝子でも、他方が欠陥遺伝子でないから、欠陥遺伝子がカバーされるからだ。そして、これがカバーされにくいのが、近親婚だ。一方、このようなカバーがまったくなされないのが、異種間の交雑種だ。遺伝子的には非常に脆弱であり、あっさり滅びてしまって当然だ。
 ま、例外的には、すぐに滅びずに、数代に渡って存続することもあるかもしれない。とはいえ、長い歴史の中では、ほとんど一瞬にして滅びてしまうはずだ。当然ながら、その遺伝子が、現代にまで残っている可能性はほとんどゼロだ。



 [ 付記 ]
 仮に、こういう「異種間の交雑」というものがあるとしたら、次の例もありそうだ。
  ・ チンパンジーとオランウータンの交雑
  ・ 小型ゴリラとマントヒヒの交雑
 しかし、このようなことが自然界で起こるとは、とうてい考えられない。異種間の交尾なんて、生物が本能的に嫌がるはずだからだ。仮に、そのような交尾をするとしたら、本能が壊れた奇形の個体だろう。そして、そういう奇形の個体は、自然界では生き延びる力は弱いはずだ。
 人間界にも、獣姦、屍姦、同性愛など、変な嗜好をもつ人間はいる。しかし、それはあくまで例外であって、一般的にはなりえまい。生物は本能的に、異常性愛を嫌がるのだ。



 【 参考 】
 下記サイトを参照。
  → http://nounos.seesaa.net/article/142257624.html
 
 異種間の交雑は、自然界では起こりにくいが、稀には起こる。ホッキョクグマとグリズリーの交雑という例がある。また、人為的な交雑では、牛とバッファローの交雑(ビーファロー)が大量に生じているという。
 こういうふうに、例外的なことは、なきにしもあらず。

( ※ 本項の冒頭で述べたように、「可能性は非常に低い」というだけであって、ゼロではない。)
( ※ Beefalo は、繁殖力があるが、自然に生じたものではない。人間が非常に苦労して、5/8 の 牛と、3/8 のバッファローを複合させる形で、やっと繁殖力を持つように誕生させたものだ。自然界で偶然、誕生したわけではない。Beefalo を誕生させる過程での中間種は、繁殖力が非常に弱いようだ。)
( ※ このことからしても、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの混血は、自然状態ではありえないだろう。ただし人為的に特殊な交配をすれば、5/8 のネアンデルタール人と、3/8 のホモ・サピエンスを複合させる形で、繁殖力を持つような交雑種を、何とか誕生させることができるかもしれない。……仮にネアンデルタール人がいたならば、という仮定の上で。)
( ※ ただしその中間種は、たとえ繁殖力を持つとしても、自然状態では子孫を代々残すことは困難だろう。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの混血は、ネアンデルタール人としてもホモ・サピエンスとしても中途半端で、自然淘汰のなかで生き延びる力はとても弱いからだ。ビーファローにしても、形質は中途半端で、生活力は弱そうだ。ただ、肉がよく売れるので、牧場で多く飼育されるだけだ。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの混血も、人為的に飼育されるのならともかく、自然界では、まともに生き残ることはできまい。)
 


 【 関連項目 】

  → ネアンデルタール人との混血  (前項)
posted by 管理人 at 19:26| Comment(4) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あとで、次の説明を見出した。

 ──

 基本的に、雑種は1世代限りで子孫を残すことなく生涯を終えます。(まれに例外はあります。)
これは両親となった二種の染色体が異なるため、「相同染色体の対合不全」という現象を生じるためです。
これにより、異種間交配で産まれてきた雑種個体は、卵や精子を作る能力を失います。
このように雑種個体が配偶子を作る能力を失うことを「雑種不妊」(または雑種不稔)と言います。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1778311.html

 ──

 また、ほとんど冗談だが、「豚と羊の交雑種(?)」というものの写真がある。

 → http://labaq.com/archives/50856446.html
Posted by 管理人 at 2010年05月10日 12:30
異種間の雑種の例。10ケース。
  → http://blog.livedoor.jp/meaningless88/archives/2620896.html


 ※ 個体としては存在しているが、生殖能力はたぶんないはずだ。
Posted by 管理人 at 2012年07月28日 18:30
内容は良いが私情が入ってて読みづらい。
Posted by 通りすがり at 2012年08月17日 21:41
おっしゃることはごもっともなので、該当部分を削除しました。
Posted by 管理人 at 2012年08月18日 06:59
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