※ 本項は 2014-06-23 に書き改めました。)
IPA の無償公開してる IPAex 明朝,IPAex ゴシック というフォントは、とても優秀だ。特に、印刷用として優れている。
これの ver 002.01 は、下記でダウンロードできる。
→ IPAex (ダウンロード)のサイト
ところが、このフォントには、ひどいバグがある。
「 MS-Word 2003 で縦書き印刷すると、文字間隔がバラバラになって、見るに堪えないひどい配列になる」
どうやら、縦書き用のフォントのかわりに、横書き用のフォントが使われるらしい。文字自体はきちんとしているのだが、文字と文字の間隔が滅茶苦茶になって、やたらとスペースがたくさん入ったり、必要なスペースが消えたりする。とても見るに堪えない。ひどいバグだ。
このバグの解消を願っていたのだが、いつまでたっても、バグは解消されない。そこで、バグ無しのバージョン(古い ver 001.03 )を探してみた。
上記サイトでは、以前は見つかったのだが、今では見つからない。どうやら古いバージョンを公開停止にしたらしい。
そこで、かわりに私が公開することにした。元のファイルのまんまである。(したがって IPA の定める「再配布許可」の条件を満たしている。)
下記のページでダウンロードできるので、そこでダウンロードしてほしい。
→ IPAex フォント(ver 001.03 )[ダウンロード]
※ 以下は、2010年04月22日 に本項を公開したときの記事です。
IPAex フォントとはどういうものか説明しています。
読みたければ呼んでもいいが、特に読む必要はありません。
いきなり上記フォントをダウンロードして使えば、それで
OK です。
《 2010年04月22日 の記事 》
IPA の無償公開してるもので、IPA明朝,IPAゴシックというフォントがある。これらは古くからあるが、不具合があって、少なくとも私の環境では正常に使えない。(行間隔が勝手に変更されてしまう。バグのあるフォントというのは、初めて見た。どうやってフォントにバグを仕組むことができるのか、不明。 (^^); )
( ※ ただし最新バージョン 3.0 では、この不具合の程度は大幅に減じている。皆無ではないが。) → あとで訂正。
さて。その修正版というか、新形式版というか、とにかく、新しいフォントが出た。 IPAex 明朝,IPAex ゴシックというものだ。こちらは(ほぼ)正常に使える。
解説記事は
→ http://www.rbbtoday.com/article/2010/02/26/65996.html
ダウンロードは
→ http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/index.html
私は使ってみたが、お勧めである。とりあえず、インストールすることをお勧めする。(無償だし。国家が提供するものだし。)
( ※ IPA明朝との違いは、和文が等幅で、英文がプロポーショナルになっていること。なかなか使いやすい設定だ。なお、書体自体は、IPA と IPAex でほぼ共通する。 → 最後の [ 付記6 ] を参照。)
──
私の感想を言おう。
(1) IPAex 明朝
まず、印刷用途ではどうか?
デザインだが、とても優れたデザインだと思う。書籍印刷用の「秀英明朝」に似たデザインだ。Mac のヒラギノと比べると、ヒラギノの方が新しい感じだが、IPAex 明朝は、昔からある書籍の文字のデザインに近い。なかなか好ましい。
MS明朝と比べてどうか? 漢字は、MS明朝と大差ないが、ひらがなは、MS明朝よりもデザインがいい。大きく差があるのは、ひらがなのサイズだ。IPAex 明朝では、漢字に比べて、ひらがなが少し小ぶりになっている。そのせいで、なかなかバランスがいい。(印刷するときは、MS明朝よりも字間を少し詰めると、ちょうど良くなる。)
字間を詰めることができるので、使用する用紙を1%ぐらい節約できる。ひらがなのサイズが小さいので、インクも1%ぐらい節約できる。(大差ないが。)
結論としては、MS明朝よりも、ずっといい。私は今後、これを印刷用の書体に使うつもりだ。
画面表示用としてはどうか?
小さな文字では、使い物にならない。小さい字に専用の縮小データがないからだ。
大きめのフォントサイズ( 20ポイント以上)にすると、なかなか優れている。特に MS明朝に比べると、文字がやや太いので、画面上で見やすい。(メイリオが見やすいのと同様の理由だ。)
サンプルは下記。

(1) IPAex ゴシック
ゴシック体はどうか?
印刷用としては、好き好きだ。MSゴシックだって、特に悪いデザインではない。
画面表示用のフォントとしては、小さいサイズは前述の理由で駄目だが、大きなサイズのフォントでは MSゴシックよりも良い。MSゴシックは、太すぎるせいか、大サイズでは字画がつぶれる。IPAex ゴシックならば、字画がつぶれずに、きれいに表示される。
特に、MS-Word では、「ズーム」によって文字を拡大したときに、見やすく表示される。
※ 文字を拡大したいのは、顔を画面から離して使うとき。
顔を画面に近づけて使うならば、小さな文字を表示させる。
──
まとめ。
なかなか良いフォントである。いずれにせよ、無償なので、インストールしておいて損はない。
【 後日記 】
本項を書いたときの最新版は問題なかったが、その後、2010年12月に新版が公開された。こちらには、文字間隔が狂うという大きなバグが含まれている。下記の日付のコメントに説明しておいた。
2010年12月04日
というわけで、最新版の Ver.001.03 はバグがあるので駄目であり、その前の Ver.001.02 が正常だ。こちらを利用することをお勧めする。
Ver.001.03 は、新常用漢字に対応するということらしいが、メリットはほとんどないに等しい。その一方で、非常に大きなバグがあるので、利用しない方がいい。
Ver.001.02 の ダウンロードは下記から。
→ http://ossipedia.ipa.go.jp/ipafont/old/index.html
[ 付記1 ]
IPAex フォントを使うためには、Clear Type の設定をする必要がある。
メイリオをすでに利用している環境( Vista, Win7 )ならば、問題がない。
メイリオを利用していない環境(特に WinXP )ならば、次の設定が必要だ。
画面のプロパティ → デザイン → 効果 → 「次の方法でスクリーンフォントの縁を滑らかにする」 → Clear Type
[ 付記2 ]
IPAex フォントは、 2004JIS に対応しているので、正字はちゃんと使える。たとえば、「辻」は二点しんにょうだ。
[ 付記3 ]
ヒラギノに比べて、優れている点もある。
ヒラギノは、カギ括弧 「 」 のデザインがおかしい、という難点がある。サイズが妙に小さくて、 ┌ とか ┘ とかみたいなデザインになっているのだ。
IPAex明朝 ならば、そんな変なデザインにはなっていない。
[ 付記4 ]
おかしい点もある。
MS-Word 2002 で、IPAex明朝 を使うと、フォントサイズによっては、画面表示の際に行間がやたらと大きく開いてしまう。
ただ、普通に印刷する限りは、特に問題点は生じなかった。
( ※ 旧バージョンの IPA 明朝でも、同様の症状が生じる。もっとひどく。)
[ 付記5 ]
特に注意するべき点もある。 ○ という記号は使えるが、 × という記号は使えない。もし × という記号を印刷すると、妙に小さなサイズ の × になってしまう。
これはどうしてかというと、数学記号はすべて幅の狭いプロポーショナルフォントになるからだ。そして、 × という記号は、「バツ」でなく「掛ける」と読まれるので、数学記号の扱いとなる。そのせいで、「バツ」という記号は消えてしまう。
「バツ」という記号を使いたいときは、 IPAex では使えないから、他のフォントに置換するしかない。
( なお、「バツ」でなく「掛ける」と読まれるのは、IPA のせいではなくて、JISの規格のせいらしい。もともと × は数学記号のグループとしてまとめられている。 ○ に対する × という記号は、もともと存在していない。)
( しかし、このような変な症状が出るのは、IPAex だけだ。明らかに異常である。MSPゴシックならば、プロポーショナルフォントであっても、こんな問題は起こらない。IPAex は、数式記号をうまく表示できるかわりに、日本語の表示機能に欠陥を生じるようになってしまった。日本語の × という文字をちゃんと出せない欠陥フォント。直してほしいですね。)
( そもそも、「×」について、「バツ」と「掛ける」のそれぞれの頻度を考えれば、「バツ」の方が圧倒的に多いとわかるはずだ。掲示板などでも、頻繁に使われる。一方、数式で「掛ける」の意味で使われる例は、普通の文章ではほとんど見かけない。小学生向けの算数の文章で使われるぐらいだろう。ごく低頻度。)
( ※ おまけで言うと、全角のクエスチョンマーク「?」も、やたらとサイズが大きくて、違和感がある。普通の文字よりも一回り大きい。ひらがなは小さめなんだから、クエスチョンマークをデカくするのは、やめてもらいたいものだ。)
[ 付記6 ]
IPAex 明朝 を入れれば、古いフォントである IPA 明朝とIPA P 明朝(プロポーショナルフォント)を入れる必要はないだろう。似たような名前のフォントを三つも入れたら、使いにくくて仕方ない。おまけに書体差まである。IPAex 明朝 と IPAex ゴシックだけを使えばいい。ex なしの古い方は邪魔だとも言える。(ただし後述で訂正する。)
( ※ IPAex フォントは、アプリではプロポーショナルフォントとして扱われるが、メモ帳のような簡易なアプリでさえ、IPAex フォントを使える。だから IPAex フォントだけがあれば十分、とも言える。)
ただし、IPAex 明朝 は、IPA 明朝とはデザインが異なる、という見解がある。
私もあとで確認したが、たしかに一部の文字で微妙にデザインが異なる。「さ」「き」「ふ」では明白な差がある。(とはいえ、まったく異なるデザインというわけではなく、全体として微差である。あまり気にしなくてもいいかもしれない。)
《 修正 》
「微差」と述べたが、微差ではない。単にデザインを比較する限りは、微差にしか見えない。しかし、実際に文章を印刷すると、相当大きな差がある。IPA 明朝の方は、かなのバランスが悪いのだ。大きくなったり小さくなったりで、大きさが揺れているような感じがある。デザインはいいとしても、読みやすさは悪い。はっきり言って、この点では、MS明朝よりも悪い。総合点でも、MS明朝や JS明朝や 平成明朝と同レベルだと思う。IPA 明朝というフォントをあえて使う理由はない。
一方、IPAex 明朝は、かながきれいになっている。他のフォントよりもずっと優れている。ヒラギノのレベルに近い。秀英明朝よりもいいと思う。
だから、使うのならば、IPAex 明朝だ。IPA 明朝は、なくてもいい。
[ 付記7 ]
※ 上の 《 修正 》 に従って、下記の打ち消し線の部分を取り消します。
となると、IPA 明朝 を単体でインストールしても良さそうだ。一つだけ増やすのなら、邪魔にならない。
とはいえ、[ 付記6 ] の書体差がある。よく見ると、IPA 明朝よりも、 IPAex 明朝の方が、かなのデザインが優れている。このデザイン差ゆえに、なるべくIPAex 明朝の方を使いたい。「 × 」という文字の問題がなければ、IPAex 明朝の方がいい。
結論としては、次のようにすることをお勧めしたい。
・ 横書きの和文印刷用としては …… IPAex 明朝 (一部に英数字)
あとでいちいち記号を修正することを厭わないのであれば、縦書きであっても、IPAex 明朝を使う方がいい。(その場合、記号の書体をチェックして修正することが必須である。さもないと記号が縦書きのなかで小さくなっている。)
( ※ 将来的には、IPA 明朝のかなデザインも、IPAex 明朝のかなデザインと、同じになるだろう。そうなったら、上記の原則通り、縦書きでは IPA 明朝を使えばいい。現在、IPAex 明朝の方がいいというのは、過渡的なことだ。今後、IPA 明朝のバージョンアップがあるだろうから、それが待たれる。)
《 参考 》
なお、下記のフォントもある。
→ IPAモナーフォント
これは、2004JIS には対応していない。「辻」は、一点しんにょうとなる。あまりお勧めできない。

私としては、このフォントはお勧めしない。特に、「つ」という文字が 「 ⊃ 」みたいなデザインになっていることが気持ち悪い。全体的に、角角しており、美しくない。このフォントは、ワープロ専用機で 24ドットや 48ドットで印刷するときに見やすいように、という趣旨で作られたものだ。低解像度のためのフォント。時代遅れだ。
それにともなって、 [ 付記7 ] の一部を、打ち消し線で取り消しました。
× は小さすぎる。
? は大きすぎる。
こういうふうに不揃いであるのは、日本語としての使用を考慮していないからだろう。英語の文字を使うためにデザインされた日本語フォント。日本人向けというよりは、欧米人向けかな。
(英字のわりにはサイズが馬鹿でかすぎるが。)
日本語用のフォント(記号が日本語向けのサイズ)の開発を切に望む。
→ http://www.forest.impress.co.jp/docs/news/20101202_411177.html
微妙なデザイン変更があるだけで、たいして変わってないらしい。すでに述べた問題点が解決されているとはアナウンスされていないから、問題点はそのまま残っているのだろう。
──
確認のためにインストールしたところ、ゴシック体の方では問題はそのまま残っていた。( × という文字は、縦書きのときにはズレたままだ。)
明朝体の方は、さらにひどい。WindowsXP 環境で MS-Word 2002 で表示したところ、字体はゴシック体になり、位置は滅茶苦茶にずれて、文字が読み取れない。欠陥フォントであるようだ。
ただし、従来のファイルではなく、新規のファイルを使って文字を入力すると、正常に表示される。完全に狂っているわけでもないようだ。
どうも、どこかに超巨大バグがついている、という状態か。そのバグが現れることもあり、現れないこともある。
とにかく、従来ファイルがまるきり使い物にならなくなることがあるので、私としては、新バージョンは絶対にお勧めできない。安全を期するなら、従来バージョンを使うことをお勧めする。そっちの方が安定している。
IPAex明朝とデザインは同じだが、字数が6万字に増えている。官公庁などで人命異体字を使うのに便利らしい。齋藤の齋のような時にはたくさんの異体字がある。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20110518_446606.html
普通の人には無用だろう。パソコンが重くなるだけだ。特に起動が遅くなるはずだ。お勧めはしません。
> これからの時代の方針
というのが何を意味しているのか、不明です。
なお、IPA 明朝については、私は本文中で、次のように評価しました。
──
IPA 明朝の方は、かなのバランスが悪いのだ。大きくなったり小さくなったりで、大きさが揺れているような感じがある。デザインはいいとしても、読みやすさは悪い。はっきり言って、この点では、MS明朝よりも悪い。総合点でも、MS明朝や JS明朝や 平成明朝と同レベルだと思う。IPA 明朝というフォントをあえて使う理由はない。
──