前々項のデニソワ人も、この図において、ホモ・エレクトスの一種と見なすことができる。 ──
人類の進化の概略図。( 出典: 国立科学博物館 , cf. Wikipedia )

「デニソワ人は、アジア(デニソワ)に進出したホモ・エレクトスである」
と考えれば、十分に整合的である。(この点では、ジャワ原人や北京原人と同類である。)
( ※ ホモ・ハイデルベルゲンシス(ハイデルベルク人)は、百万年前にホモ・エレクトスから分岐した、ということも、上図からわかる。前々項では、分岐の関係がはっきりしなかったが、上図を見れば、分岐の関係もはっきりする。ホモ・エレクトスという幹から、ホモ・ハイデルベルゲンシスという枝が、横に分岐したことになる。)
[ 参考 ]
上の図で、右上のあたりの「ホモ・エレクトス」(アジア)に相当するのは、デニソワ人のほか、北京原人やジャワ原人もある。
ジャワ原人については、「どうして原人が海を渡れたのか?」という疑問も生じるだろう。実は、当時は、ジャワ島は大陸と地続きであった。海水面が上がっていたため、その一帯は「スンダランド」と呼ばれる陸地だった。
→ 国立科学博物館の説明
この図で、スンダランドに相当する陸地の南端部が、ジャワ島である。(地図で「スンダラ」という文字のすぐ下の緑色の領域。)
細かな話は、下記。
→ ジャワ原人の故郷
[ 付記 ]
なぜアフリカでばかり新種の人類が誕生するのか?
この問題は、ダーウィン説では、説明しにくい。ダーウィン説では、進化は環境によってもたらされるのだから、新たな環境への進出が進化をもたらすはずであり、同一環境では進化は起こりにくいはずだからだ。また、苛酷な環境が強い自然淘汰をもたらすはずであり、穏和な環境は自然淘汰も進化ももたらさないはずだからだ。
一方、クラス進化論では、説明は容易だ。アフリカは温暖である。自然淘汰が弱い。だから多様な種や亜種や個体が存続できる。多様性が大きい。多様性が大きいと、不利な劣者も多様に存続できる。だから、そこから新たな組み合わせも生じる。(クラス交差で。)……というわけで、多様性ゆえに、進化の萌芽は生じやすいのだ。
※ クラス進化論では、多様性こそが進化の源泉である、ということに留意のこと。
→ クラス進化論
【 関連項目 】
→ 人類の進化の場(境界領域)
→ 人類の進化のシナリオ