2010年03月16日

◆ 女性の乳房は何のため?

 女性の乳房は、何のためにあるのか? 性的アピールのためか? 
 いや、むしろ、「母乳の容器」としてある。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-11-09 です。)


 女性の乳房は、何のためにあるのか? これに対して、
 「性的アピールのため」(性的魅力のため)

 という説がある。
 「胸の大きい女性ほど男にモテるから、女性の胸はどんどん大きくなった」
 という説である。(性淘汰説)
 しかし、これは次のことから否定される。
 「女性は普段は胸を見せない」(大きさもよくわからないことが多い。)
 この件は、先に述べたとおりだ。(性淘汰説はこじつけにすぎない、ということ。)
  → http://openblog.meblog.biz/article/3293071.html#ps2

 一方、別の点からも否定される。
 仮にその説が正しいとしたら、女性はみんな胸が大きくなっていたはずだ。しかし現実には、ペチャパイの女性もたくさんいる。ゆえに、説が破綻する。
 実際、白人には巨乳が多いが、アジア系にはペチャパイが多い。ペチャパイが不利だ(モテない)ということはないのだ。
 好き嫌いの差もある。男は胸の大きい女性を好むとは限らない。ペチャパイの方が好きだ、という男だって多い。
 「胸の大きい方がモテるはずだ」という説は、語った男自身が巨乳フェチであることを意味するだけだろう。そんな説は、何の信頼もない。
 たとえば、次のどちらがいいか?
  ・ 美人でペチャパイ
  ・ ブスで巨乳

 巨乳フェチならば、後者を選ぶだろうが、男がみんなそうであるわけではない。「胸の大きい方がモテるはずだ」という説は、学説というよりは、与太に過ぎまい。(「トンデモだ」と喚く人もいそうだ。  (^^); )

 ──

 真面目に考えよう。
 生物学的に言えば、乳房が大きいのは、授乳のためだ。当り前だ。
 ただし、である。ここで疑問が湧く。次のことがあるからだ。
 「乳房の組織のうち、母乳を作る乳腺組織は体積の 10%程度にすぎず、90%程度は乳腺組織を保護する脂肪である。乳房の大部分は、授乳のための組織ではなく、ほとんど役立たずの脂肪という組織である
  → 出典 ( 図もあるので参照のこと。乳腺組織は図の腺葉。)

 こう考えると、「授乳のため」という説は否定されそうに思える。そこで、「授乳のためでなく、性的アピールのためだ」という説が生じたわけだ。

 ──

 しかし、よく考えれば、次のことが言えるだろう。(私の説。)
 「乳房の役割は授乳であるが、それは母乳を形成するためにあるのではなく、母乳を入れる容器としてある」

 
 母乳を形成するのは乳腺組織だが、乳腺組織は 10%程度にすぎないので、あまり意味はない。残りの 90%程度は脂肪だが、この脂肪は普段は何の意味もない。単に「空隙を埋める充填物」としてあるだけだ。
 しかし、いったん授乳期に母乳が形成されると、乳管洞(という空隙)が母乳でふくらむ。こうして乳房は「母乳タンク(母乳容器)」として役立つ。乳房が大きい人ほど、多くの母乳を溜め込むことができる。乳房が小さい人は、少ししか溜め込むことができないので、すぐに乳房が張ってしまい、苦しくなる。ひんぱんに乳を搾る必要がある。とはいえ、それは非常に不利というほどでもないから、乳房が小さい女性が淘汰されてしまうということはない。また、普段は乳房が小さくても、授乳期には乳房が大きくふくらむこともある。(伸縮性が高いわけだ。)

  → 参考サイト (乳房の構造)

 ──

 結局、乳房というのは、あとで授乳するときのために、あらかじめ大きな容器を用意しているのだ。ただし、その容器は、からっぽのスカスカであるわけには行かないから、普段は充填物(脂肪)で満たされているわけだ。この充填物は、容器を大きくするためにある。それだけだ。
 
 ここでは、「充填物は何のためにあるのか?」と考えるのは、馬鹿げている。充填物は、それ自体には、たいして意味はないのだ。充填物の役割は、単に「隙間を埋める」「容積を維持する」というだけのことだ。それ以上の特別な意味はない。ここで「大きな容積があるのは、授乳期以外に性的アピールのため」なんて主張しても、見当違いにしかならない。(正しくは、授乳期に母乳を収めるため。)

 ──

 比喩。
 割れやすい美術品を運搬することにした。ただし、特別な容器が必要である。その容器を、(空き荷状態のまま)緩衝材を詰めて、発送地に送った。次に、発送地では、緩衝材を取り除いて、美術品を入れた。そして到着地に送った。
 さて。最初は(空き荷状態のまま)緩衝材を詰めてあった。では、このようなスカスカの状態の容器は、何のためにあるのか? 

 ある人は言った。
 「性的アピールのためだ。大きな容器は、性的アピールがあるので、荷主に人気がある。容器が大きいほど、荷主にモテる。だから容器はどんどん大きくなったのだ」

 馬鹿げていますね。容器の本質は、荷物を入れる容積があることだ。ただし、荷物が空のときには、その容積は必要ない。だからと空き荷のときには、緩衝材が入っているだけのことだ。緩衝材を入れる目的は、容積をふくらますことじゃない。容器を使っていないときには、容器の意義はないのだ。しかし、容器を使うときには、容器の意義がある。そのときのために、空き荷のときにも容器を大きくしているだけのことだ。
 「容器を使っていないときにも容器の体積があるのは、性的アピールのためだ」
 なんていう説は、珍説にすぎない。というか、論理が破綻している。

 ──
 
 教訓。

 女性の乳房は何のためにあるかと言えば、授乳のために決まっている。当り前でしょうが。
 ただし、それを見て喜ぶ巨乳フェチが「性的アピールのため」と興奮しながら主張する。ところがそれは、とんだ見当違いだ。
 だいたい、「おっぱいの大きい女性ほどモテる」なんてことを言う人間に、まともな頭が備わっているはずがない。その男は、女性を相手にしたとき、胸しか見ていないのだろう。馬鹿丸出しとも言える。軽蔑されて当然だ。

 ──
 
 【 追記 】
 もう少し説明を加える。
 仮に乳房がなかったら、どうなるか? 
 その場合、もともと胸はぺたんこである。なのに、子供を産んだら、たったの数週間ぐらいで、母乳タンクを胸に実装しなくてはならない。しかしながら、第二次性徴期を終えた生物は、肉体を急激に成長させることは不可能である。ゆえに、あらかじめ母乳タンクとしての乳房を備えていなければ、メスの授乳が不可能となるせいで、その種は滅びざるを得ない。
 逆に言えば、乳房があるからこそ、メスは第二次性徴期を終えたあとでも、ほんの数週間で母乳タンクを実装することができる。この場合、容器としてのタンクそのものは何ら変化しないのだが、中身が脂肪から母乳に置き換えられる。このような変化は、かなり短い期間で可能だ。(実際には出産後すぐに授乳することができるらしい。)
 以上のようにして、次のことがわかった。
 「乳房がなければ、授乳することは不可能である。乳房があるからこそ、授乳できる」
 これが真実だ。

 たいていの進化論学者は男なので、乳房のことをよく知らない。「授乳期以外にはデカいオッパイは不要だ。デカいオッパイの目的は、鑑賞することだけだ」と思う。
 しかし実際には、「授乳期のときだけデカいオッパイがあればいい」という説は成立しないのだ。それは男の身勝手というものである。現実には、授乳期になったからといって、ほんの数日でデカいオッパイが出現することはありえないのだ。(第二次性徴期を終えているがゆえに。)
 


 [ 付記 ]
 何でもかんでも「性的アピールのため」と主張したがるのは、ダーウィン流の進化論の悪いところだ。(ドーキンス説にも共通するが。)
 生物に何らかの形質が備わっているときに、それが「有利な形質だから」と思うのは、ダーウィンの進化論の陥りやすい欠点である。そこには本質的な見当違いがある。その件は、先に示したとおりだ。
  → 小進化と大進化(形質の数)
 ( ※ 形質は一つ一つ徐々に変化していくのではない、ということ。そのような逐次的な変化は、小進化では起こるが、大進化では起こらない。)

 ダーウィンの進化論(小進化を進化の本質と見なす発想)では、女性の乳房について考えても、「大きい方が有利だ」というような発想に陥りやすい。しかしそれでは、生物の本質を見失う。
 「その形質が有利だから、その形質が備わった」
 という発想(ダーウィン流の発想)は、成立しないのだ。

 たとえば、次のことも成立しない。
 「首が長いと有利だから、キリンの首は長くなった」
 「鼻が長いと有利だから、ゾウの鼻は長くなった」
 こういう説はまったく成立しないのだ。
  → キリンの首はなぜ長い?
  → ゾウの鼻はなぜ長い?

 キリンの首が長いのも、ゾウの鼻が長いのも、原理は同様である。
 一方、乳房が大きい(ことが多い)のは、別の理由だ。
 いずれにしても、そこにはそれなりの理由がある。そういう理由(真実)を個別に探ることが大切だ。ひるがえって、
 「その形質があると有利だから」
 「その形質があるとモテるから」
 という発想は、あまりにも物事を単純化しすぎた発想だ。そのような単純すぎる発想に染まっていると、物事の真実を見ることができなくなる。一つの発想に染まりすぎると、多様な真実を見る目をふさがれる。
 


 【 参考 】

 一つの考え方に染まりすぎると、頭が固くなる。(だから好ましくない)……という話は、「 99.9%は仮説」という本の書評でも述べた。下記。
  → 知的な書評ブログ
 


 [ 余談 ]

 以下は、エッチな話なので、読まなくてもいいです。
 
  
 「乳房は性的アピールのため」という説が、もし本当に正しければ、女性たちは乳房を露出していたはずだ。衣服で隠していたのでは、何にもならないですからね。
 ま、現実にそうなっていたら、とても楽しい[?]状況になっていただろう。胸だけ露出させる衣服が普通になるわけだ。ブラジャーは胸だけ隠すが、それとは逆になるわけだ。SM で鞭をふるう女性がそういう衣服をしているような気がする。(詳しくないので知らないけど。)
 なお、女性のブラジャーには「トップレス」ないし「カップレス」というタイプがある。ブラジャーの中央部が欠落していて、乳房の下だけを支えるものだ。もちろん、丸見えである。(画像は勝手に検索してください。  (^^); )
 で、「乳房は性的アピールのため」という説が、もし本当に正しければ、そういうタイプの衣服を女性たちは付けていたはずなのだ。さらには上半身だけでなく…… (以下削除。)
posted by 管理人 at 20:00| Comment(6) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後にエッチな話を加筆しましたが、読まなくてもいいです。

 ──

 ついでに参考ページ。
 おっぱいは小さければ小さいほどいい
 (2ちゃんねる)
http://logsoku.com/thread/toki.2ch.net/argue/1105707009/
Posted by 管理人 at 2010年11月10日 21:45
まんなかへんに 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2012年09月24日 21:52
人間以外の哺乳類の乳房は、人間のようにはふくらんでいませんが、何故なのでしょう?
Posted by 素朴な疑問 at 2012年09月25日 00:29
> 人間以外の哺乳類の乳房は、人間のようにはふくらんでいませんが、何故なのでしょう?

 理由は三つ考えられます。
 (1) 寿命が短いので、第二次性徴のあとすぐに妊娠して、母乳タンクとして利用する。いったん利用したあとでは しなびてしまうことが多いのは、人間も同様。
 (2) 四つん這いになっていることが多いので、脂肪を入れておかなくても、何とかなる。
 (3) 人間の赤ん坊に限り、未熟児に近い状態で産まれるので、1年間も授乳が必要であり、その間、大量の乳を飲むので、人間のメスは乳房が大きい。一般に、大型の類人猿ほど、乳房は大きい傾向がある。
 写真:
 ニホンザルのメス
  http://www.takasakiyama.jp/blog/?p=1540
 大型類人猿(ボノボ?)のメス
  http://j.mp/UA20xR
Posted by 管理人 at 2012年09月25日 06:43
参考記事:
 おっぱいは何のためにあるの?
  → https://cakes.mu/posts/591

 女性の立場から見た発想。
 2012年11月21日の記事なので、本項を見たあとに書かれたはず。
Posted by 管理人 at 2013年02月10日 08:47
乳房を隠す服を着るのは多くの場合、西洋文明やイスラム教の価値観が基準ですよ。
彼らの主張は、「男性を性欲を刺激するものは邪悪」でした。
実際に魔女狩りでは乳房だけをもぎ取られる女性がいました。

古代のエジプトでは逆に乳だけを出して強調する服がありました。
そもそもアフリカ、南米北米、そして東南アジアでは乳を隠す文化自体がありませんでした。
中国文明の古代でも同じです。
後述しますが、日本も例外ではありません。
今でもアフリカや南米では恥ずかしがることもなく、乳を出している部族もあります。

江戸時代の日本を見た欧米人は上半身裸で歩く日本の田舎の女性を見て、ここも野蛮な猿だと偏見を持ったそうです。
だからこそ新政府は維新の際に公衆で乳を出すことを、律令を改正することで禁じたのです。
都会では皆、服を着ていたようですが、それは男性も同様です。
それでも風呂は混浴風呂が当たり前であり、それに欧米人は激しく抵抗を持ったそうです。

これは余談ですが、日本の少女漫画に出てくる男性は大抵ヒョロヒョロです。
ところが脱ぐと(服を着ていた体型からはあり得ないくらい)意外にもがっしりとした筋肉がある描写が殆どです。
文化によっては、敢えてセックスアピールを隠す方向に向かうのは何ら不自然なことではありません。
その方が、いざ見せつけるときの効果が高いからです。
要するにおっぱいが隠れてる文化圏なければ、これほどおっぱいが持て囃されることもないのです。
Posted by 世界は現代日本だけじゃない at 2013年07月24日 07:05
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