( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-03-29 です。)
眉毛については、「目に汗が入らないため」「日除けのため」という説明がある。(ネットのあちこちに見つかる。)
しかし、である。それなら、他の動物も、同様に眉毛があっていいはずだ。しかしながら、あらゆる生物のなかで、眉毛があるのは人間だけだ。他の動物は、眉毛をもたない。
※ 漫画では勝手に眉毛を書き加えることもあるが、嘘っぱちだ。
→ ジャングル大帝
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では、他の動物では、どうなっているか? (顔が体毛に覆われている動物は別として) 特に霊長類に着目すると、次のことがわかる。
「目の上に、骨の盛り上がりがある」
このことは、画像で確認できる。
→ チンパンジー
→ ゴリラ
→ マントヒヒ
同様のことは、現生人類の前の、ネアンデルタール人や、ハイデルベルク人にも当てはまる。化石で確認できる。
→ ネアンデルタール人の化石とホモ・サピエンスの化石
→ ハイデルベルク人の化石
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要するに、現生人類よりも前の人類や、大型類人猿では、目の上の骨が盛り上がっている。それは何のためかといえば、「目に汗が入らないため」「日除けのため」であろう。そして、それと同じ役割を、眉毛はになっている。
換言すれば、こう言える。
「眉毛は、同じ目的のために、目の上の骨が盛り上がっているのを、なくさせる」
上の ネアンデルタール人の化石とホモ・サピエンスの化石 を見ればわかるように、ホモ・サピエンスでは、目の上の骨の盛り上がりがない。それはどうしてか? 目の上の盛り上がった部分が平坦になっているからか? いや、目の上の盛り上がった部分よりももっと上の部分(額の部分)が大きくふくらんでいるせいで、目の上の盛り上がった部分が目立たなくなっているのだ。
そして、額の部分が大きくふくらんでいるということは、脳(特に前脳)が大きいということだ。
要するに、現生人類(ホモ・サピエンス)は、脳(前脳)の拡大にともなって、額が前にふくらんだので、目の上の盛り上がった部分が目立たなくなった。その役割が実質的に消失した。それを補うために、眉毛が生じた。
換言すれば、眉毛があるのは、脳(前脳)が拡大したからだ。眉毛がある理由は、「何のため」という目的論で語るべきではなく、「何ゆえに」という原因論で語るべきなのだ。
そして、「何ゆえに」という原因論で語れば、「脳(前脳)が拡大したから」と答えることができる。そして、このことが、人間だけが眉毛をもつことの理由となる。
結論。
現生人類だけが眉毛をもつのは、現生人類の脳(前脳)が拡大したからである。
( ※ 前脳というのは、「思考する脳」と言える。これが発達しているのは現生人類だけであり、それだからこそ現生人類だけが高度な知性をもつ。)
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同じ理由から、次のことも推定できる。
「ホモ・サピエンスよりも前の、ネアンデルタール人やハイデルベルク人は、眉毛をもたなかったはずだ。その理由は、目の上の盛り上がった部分だ。これがあるので、ネアンデルタール人やハイデルベルク人は、眉毛がなかったと推定できる」
世の中には、「ネアンデルタール人の復元図」や、「ハイデルベルク人の復元図」という想像画がある。いずれも、「眉毛がある」という形で想像されている。
しかし、本項の話を読めば、「ネアンデルタール人やハイデルベルク人は、眉毛をもたなかったはずだ」とわかるだろう。
[ 付記1 ]
ついでに言えば、ネアンデルタール人の特徴は、目の位置がかなり高いことだ。(前脳が小さくて、顎が大きいから、目の位置が高くなる。)
この違いは、上記の化石からわかる。
先の復元図では、ネアンデルタール人はまるでホモ・サピエンスみたいな感じで想像されていたが、全然違うはずだ。ネアンデルタール人の目の位置は、顔の中央よりも、ずっと高いところにあるのだ。
( ※漫画で言えば、これ だ。)
[ 付記2 ]
ネアンデルタール人の後頭部は、大きくふくらんでいる、と見なされる。しかしこれも、「後脳が発達している」というよりも、「前脳が未発達」と見なした方がいい。前頭部が小さいから、後頭部が大きく見える。
ただ、ネアンデルタール人の脳容積そのものは、現生人類よりも大きい。これはどうしてかというと、大脳が発達しているからというよりは、小脳が発達しているからだろう。後頭部が大きいのも、それが理由だろう。(小脳は、後頭部の下方にある。小脳が大きいと、後頭部が大きくなる。)
実は、ホモ・サピエンスの小脳は、他の動物と比べても、あまり発達していない。犬やライオンなどの方が、人間よりも敏捷に動ける。「ホモ・サピエンスとは、小脳を犠牲にすることで、大脳を発達させた生物」とも見なせる。
だから、脳の発達を見るのなら、単に脳の容量を見るよりは、大脳(特に前脳)の容量を見る方がいい。そうすれば、「ネアンデルタール人は後脳が発達していた」というような認識ミスをせず、「ネアンデルタール人は前脳があまり発達せず、小脳が発達していた」という正しい認識ができるはずだ。
【 追記 】
以下では、骨の盛り上がりについて、原因は「脳(前脳)の未発達」という点では同じだが、目的は「日除け」「汗よけ」ではなく、別の目的になっている。それは、「正面を見るため」という目的だ。
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( ※ ※ パワーポイント・ファイルを見るには、パワーポイント Viewer で。)
【 関連項目 】
→ 鼻の下の溝(人中)は何のため?
鼻の下の溝も、同様だ。これは言葉をうまく話すためにあるのだから、「ネアンデルタール人やハイデルベルク人は、鼻の下の溝をもたなかったはずだ」とわかるだろう。ネアンデルタール人の場合、喉もまだ十分に発達していないので、発音は上手ではない。当然、鼻の下の溝を必要とする段階に達していない。
実を言うと、現生人類でさえ、言葉をまとも使うようになったのは、6万年ぐらい前からだと推定される。とすれば、初期のホモ・サピエンス(20万年前〜6万年前)もまた、鼻の下の溝をもたなかった可能性がある。鼻の下の溝は、小進化レベルで生じたのかもしれない。
ただし、眉毛は、骨の形と密接に結びつくから、初期のホモ・サピエンスの段階で、すでに眉毛は生じていたはずだ。
《 参考 》
なお、人類と言語の関係については、下記項目で。
→ 土器と言語(言語の発生)

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