2010年03月15日

◆ イカはなぜ群れて飛ぶ?

 イカは空を飛ぶ、というニュースが話題になった。飛ぶ原理はわかったが、群れる原理は別だ。なぜ群れるのか? ──

 イカは空を飛ぶ、というニュースが話題になった。飛ぶ原理もわかったそうだ。
  → サイエンスニュース
  → 北海道大学のプレス・リリース(PDF)

 簡単に言えば、尻からノズルを出して水を噴出し、大きな耳を広げて空を飛ぶ、というわけだ。
( ※ 表現は比喩的です。イカには尻も耳もありません。 (^^); )

 さて。これで空を飛ぶ原理はわかったが、群れる原理はわかっていない。イカはなぜ群れて飛ぶのか?

ikafly.jpg

出典:北海道大学(上記)


 ──

 ちょっと考えたところでは、わかりそうにない。
 鳥ならば、相手の位置を相互に確認したりして、大脳でうまく認識しながら判断しそうだが、イカにはそんなに高度な大脳はない。いちいち相手を認識しながら群れを作るとは考えられない。ではいったい、どうやって「群れ行動」という高度な行動をなすのか? 

 ──

 実を言うと、これはコンピュータと関係がある。
 まず、次の疑問があった。
 「鳥はなぜ群れるのか?」
 単に群れるだけでなく、整然と群れる。そのわけが不思議だ。
 
 この疑問に、コンピュータ技術者が回答した。アメリカのアニメーション・プログラマ、クレイグ・レイノルズは、ボイド( boids < bird-oid )という名称の人工生命モデルをつくった。そこでは、次の三つの原理だけがあった。

  「群に加わろうとする」
  「同じ速度で飛ぼうとする」
  「近付き過ぎると離れようとする」

 この三つの原理によって、鳥の群れの整然たる行動がモデル化されることがわかった。( → 解説

 その具体的なシミュレーションは、次の動画で見られる。







 
 一方、本物の鳥の群れは、次の動画がある。








 こうして見ると、先の三つの原理は、鳥の群れの原理をうまく示していることになる。

 ──

 では、イカは? 
 イカもまた同じような原理で行動している、と考えていいだろう。とはいえ、イカにはまともな大脳はない。だから、複雑な行動を取れるとは思えない。飛行中に相互に細かな位置調整はできないだろう。
 それでも、「いっせいに同じ方向に飛ぶ」ということは可能になっている。そして、その原理は、鳥が飛ぶ原理と同じであるはずだ。

  「群に加わろうとする」
  「同じ速度で飛ぼうとする」
  「近付き過ぎると離れようとする」

 では、これらの原理はイカにして可能になるか? ちょっと難しいじゃなイカ!

 ──

 私なりに言えば、こうだ。

  「群に加わろうとする」 → 水中でそうしている。
  「同じ速度で飛ぼうとする」 → ?
  「近付き過ぎると離れようとする」 → 水中でそうしている。


 つまり、1番目と3番目は、水中の群れ行動で、すでに実現している。問題は、2番目だ。

 2番目を換言すれば、次のようになる。
 「イカはどうやって、同じ時期にいっせいに空に飛ぶのか? いっせいに同調して、同じ時点で同じ力で空を飛ぶのは、なぜか?」

 
 これに対して単純に思いつくのは、次のことだ。
 「たがいにテレパシーで意思を通じあっているから」

 しかしこんなことはありえない。オカルトじゃあるまいし。

 私なりに推定すれば、次の理由だ。
 「イカには聴覚(というよりは振動感知)の能力がある。それによって、水の噴出準備をしていることを、たがいに理解し合う。水中では音波はよく伝わるから、全員がその情報を共有する。そして、それぞれが音波によってタイミングを合わせながら、いっせいにジャンプする」


 このとき、速度は自動的に同じになる。なぜなら、群れをなすイカはどれも同じような能力を持つからだ。同じ時期に生まれて、同じサイズの器官を持ち、同じ重さの肉体を持ち、同じ噴出力を持つ。とすれば、いちいち「同じにしよう」とは思わなくても、自動的に同じ飛行能力を持つ。
 あとはタイミングを合わせるだけだ。そして、そのタイミングは、上記の方法でうまく行く。

 ──

 結局、イカが群れをなして飛ぶのは、鳥が群れをなして飛ぶのと、同じ原理である。それは三つの原理だ。
 ただ、鳥と違って、イカには高度な大脳がない。だから行動をそろえるのが困難に思える。
 しかし実は、群れをなすイカはもともと個体の状態がそろっているので、自動的に行動がそろう。だから、あえて高度な大脳はなくても、単純な「反応」のような原理だけで、群れ行動を取ることができるのだ。

 以上が私の回答だ。

( ※ 学会の公式見解ではありません。私の個人的な見解です。)
 



 [ 付記 ]
 イカの意思伝達については、書籍がある。


イカはしゃべるし、空も飛ぶ (ブルーバックス)

 音声伝達しているのかと思ったが、イカには聴覚器官はないので、音声伝達ではないようだ。
 しゃべる、というのは音によるものではありませんでしたが、体色とそのパターンを変更させることにより感情(のようなもの)やコミュニケーションをはかる
( → 感想ブログ
 しかしまあ、触覚機能はあるのだから、低い周波数の振動感知ぐらいはありそうだ。
( ※ ヤマカンです。当たっているかどうかは不明。とはいえ、何らかの意思伝達の方法はあるはずだ。)
 
 なお、意思伝達が必要な理由は、次のことだ。
 「もし意思伝達しないと、タイミングなどがそろわないので、空中で衝突してしまう」
 交通事故ですね。それは困る。だから意思をそろえて、きちんとした群れを作る。
 きちんとした群れを作ることの必要性は、これでわかる。

 ──

 なお、群れること(集団行動を取ること)の目的は、鳥の場合と同じだ。「捕食されないこと」である。群れていれば、捕食者に気づきやすい。また、たとえ1羽だけが捕食されても、他のほとんどすべては逃げることができる。
( ※ 一般に、大型の水生の鳥は、大部分が群れ行動を取る。一方、小型の果実食の鳥は、保護色を発達させることで、群れを取らないことも多い。鷹や鷲が来たら、森の中に隠れちゃうんですね。)

 ── 

 科学的な解明度が不十分? 
 いや、これでいいじゃなイカ! 




イカ娘
posted by 管理人 at 21:45| Comment(1) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「イカ娘」は残念ながら、一人で「地上侵略」に来るし、空も飛べないのでゲソ(体重を調整できる腕輪で極限まで体重を落とし、空を飛ぼうとしたことはありましたが…)
Posted by あるみさん at 2013年02月24日 23:07
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