2010年03月15日

◆ ライオンのタテガミは何のため?

 ライオンのタテガミは何のためにあるのか? 「首を噛まれないため」という説が普通だが、「メスにモテるため」という説もある。どちらが妥当か? ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2012-02-18 です。)

  
 ライオンのタテガミは何のためにあるのか? 「首を噛まれないため」という説が普通だ。つまり、他の動物との闘争の際に首を守るため、というわけだ。タテガミがあれば、相手に首を噛まれても死なずに済む。だからこそ、ライオンは百獣の王と呼ばれるわけだ。
 これが常識的な見解だろう。昔からある定説ふうだ。

 ── 

 ところが近年、「メスにモテるためだ」という説が有力になってきた。
 この説は、次の二点が理由。
 (1) ライオンのオス同士で戦うときには、首を噛もうとはしない。(後ろから攻撃する。)
 (2) タテガミが立派なオスほど、メスにモテる傾向がある。

 次のサイトに詳しい解説がある。
  → 知恵袋
  → http://kumakuma5050.blog71.fc2.com/blog-entry-118.html
  → http://dabdab.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/lions.html
  → http://kumakuma5050.blog71.fc2.com/?mode=m&no=118

 ──

 しかし、私の考えでは、上記の説は成立しない。

 (1) 同種のオス同士で戦うときは、致命的な攻撃をしないのが原則だ。単に優劣を決着すればよく、最終的には、相手が服従の意を示した時点で、決着が付く。(犬ならば、負けた側が、仰向けになって、服従の意を示す。人間ならば、頭を下げて首を差し出す、というおじぎに相当する。)
 ライオンのオス同士でも同様だ。この場合は、致命的な攻撃をしないのだから、本気で首を噛むはずがない。だから、(1) の実験はまったく無意味である。
 「タテガミの目的は首を噛まれないことだ」ということの当否を示すには、ライオン同士での闘争を見ても意味がなく、ライオンと他の種との闘争を見る必要がある。具体的には、よく見られるのは、ライオンとハイエナの闘争だ。
 そして、ライオンとハイエナの闘争では、タテガミのないメス・ライオンが、ハイエナに首を噛み切られて死ぬ、という例がときどき生じる。
 たとえば、これ。(タテガミのないメス・ライオンが喉を噛み切られたらしい。)
  → http://youtu.be/FahCGrfcWgQ
 なお、ハイエナの群れがライオンの群れを襲う例もある。
  → http://youtu.be/az0Ee6NAuHY

 一般に、タテガミのあるオス・ライオンは、闘争においてとても有利だ。首を噛み切られにくいのだから、相当優位に立つ。だからこそ、百獣の王とも呼ばれるのだろう。
( ※ ただし、なかなか決着が付かないようだ。本項最後の「関連サイト」を参照。)

 ──

 なお、性淘汰については、次のように説明される。

 (2) タテガミが立派なオスほど、メスにモテる傾向があるからといって、それが性淘汰説を示すことにはならない。話は逆だろう。
   タテガミが立派 = 性ホルモンが多い = 強くて生命力が強い

 という感じで、メスに好まれるだけだ。つまり、(実力もなしに)立派な勲章をもっているからモテるんじゃなくて、(実力があるから)立派な勲章が備わり、それゆえにモテる。勲章(タテガミ)は、それ自体に価値があるのではなく、背後にある実力を意味するから、立派な勲章を備えているオスがモテるだけだ。
 たとえば、マッチョな男がモテるとしたら、マッチョな形に性的アピールがあるのではなく、マッチョで筋力が強いから性的アピールがある。この因果関係を間違えてはいけない。

 ──

 なお、なぜオスだけにタテガミがあるかというと、次の二つの理由によるのだろう。
  ・ 強敵と戦うのはオスだけだ。(普通、ライオンのメスは強敵とは戦わない。)
  ・ 第二次性徴としての形質だから、(オスの)性染色体のみに起こるものだ。


 ──

 結局、タテガミがあるのは、初めに述べたとおりで、首を噛み切られにくいからだ。これは、致命的な傷を負うかどうかの問題だから、進化の過程ではっきりと生存率に影響する。

 ではどうして、ライオンだけが、タテガミをもつのか? この問題が残る。それには、次のように考えたい。
 タテガミは、少しだけあっても、あまり意味がない。首を噛み切られにくくするには、ちょっとだけのタテガミがあっても影響しない。ゆえに、次のことは成立しない。
 「短いタテガミがあるのが少し有利であり、その後、タテガミの長いものほど有利になったので、タテガミがどんどん長くなった」
 かわりに、次のことが起こったのだろう。
 「短いタテガミのある個体は、ときどき生じたが、そんな役立たずのものがあっても何の利点もないので、あっさり滅びた。しかしあるとき突然、長いタテガミを多くもつ個体が生じた。それは首を噛み切られにくいので、明らかに有利となり、自然選択の形で生き延びた」
 とすれば、ここでは、「あるとき突然、長いタテガミを多くもつ個体が生じた」ということになる。そして、そのような突然変異は、偶然がいくつも重なるので、かなり起こりにくい。それゆえ、そういう突然変異が起こったのは、ライオンだけだったのだろう。
 他の種では、「短いタテガミがある」という突然変異は、しばしば起こったのだろうが、そういう個体は特に有利ではなかったので、あっさり滅びたのだろう。
 こうして、ライオンだけが、立派なタテガミをもつようになったのだろう。



 【 関連サイト 】

 → ライオンとハイエナ

 → ライオンとスイギュウ

 → ライオンとバッファロー

 ──

 ライオンと虎の対決では、なかなか決着が付かないことが多い。YouTube の動画(一覧)を見るとわかる。
 上は、「 tiger lion 」の検索だが、「虎 ライオン」の検索を見てもいい。

 虎とライオンの激しい闘争は、次の動画に見える。後半に、激しい闘争がある。
  → 全画面の動画
   (動画の画面をクリックすると、ブラウザで見る画面になる。)
posted by 管理人 at 21:40| Comment(1) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後のあたりを加筆しました。
 ライオンだけにたてがみがある理由。

 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2012年02月19日 09:24
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