ライオンのタテガミは何のためにあるのか? 「首を噛まれないため」という説が普通だが、「メスにモテるため」という説もある。どちらが妥当か? ──
( ※ 本項の実際の掲載日は 2012-02-18 です。)
ライオンのタテガミは何のためにあるのか? 「首を噛まれないため」という説が普通だ。つまり、他の動物との闘争の際に首を守るため、というわけだ。タテガミがあれば、相手に首を噛まれても死なずに済む。だからこそ、ライオンは百獣の王と呼ばれるわけだ。
これが常識的な見解だろう。昔からある定説ふうだ。
──
ところが近年、「メスにモテるためだ」という説が有力になってきた。
この説は、次の二点が理由。
(1) ライオンのオス同士で戦うときには、首を噛もうとはしない。(後ろから攻撃する。)
(2) タテガミが立派なオスほど、メスにモテる傾向がある。
次のサイトに詳しい解説がある。
→ 知恵袋
→ http://kumakuma5050.blog71.fc2.com/blog-entry-118.html
→ http://dabdab.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/lions.html
→ http://kumakuma5050.blog71.fc2.com/?mode=m&no=118
──
しかし、私の考えでは、上記の説は成立しない。
(1) 同種のオス同士で戦うときは、致命的な攻撃をしないのが原則だ。単に優劣を決着すればよく、最終的には、相手が服従の意を示した時点で、決着が付く。(犬ならば、負けた側が、仰向けになって、服従の意を示す。人間ならば、頭を下げて首を差し出す、というおじぎに相当する。)
ライオンのオス同士でも同様だ。この場合は、致命的な攻撃をしないのだから、本気で首を噛むはずがない。だから、(1) の実験はまったく無意味である。
「タテガミの目的は首を噛まれないことだ」ということの当否を示すには、ライオン同士での闘争を見ても意味がなく、ライオンと他の種との闘争を見る必要がある。具体的には、よく見られるのは、ライオンとハイエナの闘争だ。
そして、ライオンとハイエナの闘争では、タテガミのないメス・ライオンが、ハイエナに首を噛み切られて死ぬ、という例がときどき生じる。
たとえば、これ。(タテガミのないメス・ライオンが喉を噛み切られたらしい。)
→ http://youtu.be/FahCGrfcWgQ
なお、ハイエナの群れがライオンの群れを襲う例もある。
→ http://youtu.be/az0Ee6NAuHY
一般に、タテガミのあるオス・ライオンは、闘争においてとても有利だ。首を噛み切られにくいのだから、相当優位に立つ。だからこそ、百獣の王とも呼ばれるのだろう。
( ※ ただし、なかなか決着が付かないようだ。本項最後の「関連サイト」を参照。)
──
なお、性淘汰については、次のように説明される。
(2) タテガミが立派なオスほど、メスにモテる傾向があるからといって、それが性淘汰説を示すことにはならない。話は逆だろう。
タテガミが立派 = 性ホルモンが多い = 強くて生命力が強い
という感じで、メスに好まれるだけだ。つまり、(実力もなしに)立派な勲章をもっているからモテるんじゃなくて、(実力があるから)立派な勲章が備わり、それゆえにモテる。勲章(タテガミ)は、それ自体に価値があるのではなく、背後にある実力を意味するから、立派な勲章を備えているオスがモテるだけだ。
たとえば、マッチョな男がモテるとしたら、マッチョな形に性的アピールがあるのではなく、マッチョで筋力が強いから性的アピールがある。この因果関係を間違えてはいけない。
──
なお、なぜオスだけにタテガミがあるかというと、次の二つの理由によるのだろう。
・ 強敵と戦うのはオスだけだ。(普通、ライオンのメスは強敵とは戦わない。)
・ 第二次性徴としての形質だから、(オスの)性染色体のみに起こるものだ。
──
結局、タテガミがあるのは、初めに述べたとおりで、首を噛み切られにくいからだ。これは、致命的な傷を負うかどうかの問題だから、進化の過程ではっきりと生存率に影響する。
ではどうして、ライオンだけが、タテガミをもつのか? この問題が残る。それには、次のように考えたい。
タテガミは、少しだけあっても、あまり意味がない。首を噛み切られにくくするには、ちょっとだけのタテガミがあっても影響しない。ゆえに、次のことは成立しない。
「短いタテガミがあるのが少し有利であり、その後、タテガミの長いものほど有利になったので、タテガミがどんどん長くなった」
かわりに、次のことが起こったのだろう。
「短いタテガミのある個体は、ときどき生じたが、そんな役立たずのものがあっても何の利点もないので、あっさり滅びた。しかしあるとき突然、長いタテガミを多くもつ個体が生じた。それは首を噛み切られにくいので、明らかに有利となり、自然選択の形で生き延びた」
とすれば、ここでは、「あるとき突然、長いタテガミを多くもつ個体が生じた」ということになる。そして、そのような突然変異は、偶然がいくつも重なるので、かなり起こりにくい。それゆえ、そういう突然変異が起こったのは、ライオンだけだったのだろう。
他の種では、「短いタテガミがある」という突然変異は、しばしば起こったのだろうが、そういう個体は特に有利ではなかったので、あっさり滅びたのだろう。
こうして、ライオンだけが、立派なタテガミをもつようになったのだろう。
【 関連サイト 】
→ ライオンとハイエナ
→ ライオンとスイギュウ
→ ライオンとバッファロー
──
ライオンと虎の対決では、なかなか決着が付かないことが多い。YouTube の動画(一覧)を見るとわかる。
上は、「 tiger lion 」の検索だが、「虎 ライオン」の検索を見てもいい。
虎とライオンの激しい闘争は、次の動画に見える。後半に、激しい闘争がある。
→ 全画面の動画
(動画の画面をクリックすると、ブラウザで見る画面になる。)
2010年03月15日
過去ログ

ライオンだけにたてがみがある理由。
タイムスタンプは 下記 ↓
2011年にトルコの動物園で雄成獣のライオンがトラに頸動脈を一撃されて殺され、2018年にはアメリカの動物園で雌ライオンに雄の成獣ライオンが首を咬まれて殺されてるのでやっぱり防御としてあまりタテガミは役立っていないように思います。
それは何のことかな? ネットを探しても見つかりませんが。
本項で否定したのは、性淘汰の説です。ミネソタ大学ライオン研究センターの説というのは、そういうこと?
──
虎やライオンの闘争は、意味がありません。
(1) 虎とライオンの戦いは、そもそも自然界ではあまり起こらない。
たまに人為的に戦わせた場合だと、勝敗はほぼ半々で、ライオンの方がタテガミのある分、少し優位らしい。体は虎の方が大きいので、タテガミの効果があるようだ。
虎が勝つ例も、もちろんある。ご紹介の事例は、その一つだろう。
(2) 雌ライオンと雄ライオンが戦うわけがない。戦いとは別の理由だろう。性的ヒステリーなど。不意打ち。
たてがみは絶対防備の鎧ではない。殺されにくいというだけだ。
(3) たてがみが最も有効なのは、本項に記載されているとおり。つまり、ハイエナとの戦いだ。そこでは、たてがみが役立つ。本文を参照。
──
結局、ハイエナとの戦いにおいて有益だ、というのが結論。
虎との戦いや、雌ライオンのヒステリーへの防備としては、あまり役立たないようだが、そんなことは話の本筋とは違う。どうでもいい事例。
minnesota 大学の peyton west というライオン研究者が該当するようだ。この人 個人の説ですね。