2010年03月15日

◆ 豚の鼻はなぜ、あんな形?

 豚の鼻はなぜ、あんな形をしているのか? ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2013-04-09。)

                [画像出典:Wikimedia
pig_nose.jpg
 豚の鼻は、前に向かって大きな穴があいており、不細工である。こんな形の鼻を持っている動物は、ほとんどない。ではどうして、豚の鼻はあんな形をしているのか?

 ── 

 これについては、「ゾウの鼻と同様だ」と答える。下記項目を参照。
  → ゾウの鼻はなぜ長い 2

 ゾウの鼻が長いのは、「水中で鼻をシュノーケルのようにしていたからだ」というのが理由だ。というのは、ゾウの祖先は、もともと水辺で半水生の生活を送っていたからだ。(推測。)

 豚も同様だ。豚の祖先は、もともと水辺で半水生の生活を送っていたからだ。(推測。)
 だから、ゾウが呼吸のために水面上に鼻を出したのと同様に、豚も呼吸のために水面上に鼻を出した。そういう形で、豚の鼻はある。
 このことは、豚の泳ぎを見ればわかる。





 この動画を見ればわかるように、豚は鼻を水面上に出して泳ぐ。ゾウと違うのは、体が小さいせいもあって、頭が水面下に沈まない。だから、長い鼻を必要としない。(頭を出して呼吸できる。)
 つまり、豚もゾウも、「泳ぐときの呼吸のため」という目的では、鼻の構造が同様である。ただしサイズが違うので、ゾウの鼻は長く、豚の鼻は短い。
 それでも、「もともとは半水生だった」という点は共通する。それゆえに、鼻の形も似たものとなる。

( ※ 豚の体格も、脂肪が多くて、もっそりとしており、いかにも半水生の動物だ。通常の陸上動物は、あんなにもっそりとした体型ではない。捕食者に襲われやすいからだ。豚がそういう形で襲われて滅びることがなかったのは、水の中に逃げることができたからだろう。)
  


 【 追記 】
 豚とゾウの類似性を示すには、ゾウの祖先を見るといい。
  → ゾウの祖先の画像
 これを見るとわかるが、ゾウの祖先は、まだ鼻があまり長くなくて、豚と同程度の長さの鼻をもつ。そしてまた、どちらも半水生であり、太っちょな体格をしている。
 豚も陸上生活なんかをしないで、いつまでも半水生生活をしていれば、そのうち、鼻が長くなって、体も大型化したかもしれない。そしてゾウそっくりになったかもしれない。



 [ 付記 ]
 言わずもがなだが、豚はイノシシを家畜化したものだ。したがって、上記の「豚」は「イノシシ」のことだ、と思っていい。

 このことから、次のように解釈する立場もある。
 「イノシシの鼻があんな形になったのは、イノシシが土の中の生物を掘り起こして食べるためだ」
 たとえば、次の文章がある。
 ブタはイノシシを家畜化した動物です. ブタもそうですが, イノシシの鼻はかたくて丈夫です. 野性のイノシシは土を掘るために主に鼻を使います. 土の中の植物の根や昆虫などの小動物を掘り起こして食べるのです. 嗅覚も犬並みに優れています. 獲物の居場所を臭いで探りながら土を掘れるのですから, あのような形に進化したことは結果として正解だったのでしょう.
( → 知恵袋
 ブタは人間がイノシシを改良して家畜にした生き物ですから、ブタの鼻が大きいのは、祖先のイノシシの鼻が大きかったからということになります。それでは、イノシシはどうして鼻が大きかったのでしょうか。これは、イノシシがどのようにエサをさがしていたかに関係があります。
野原や森が生活の場であるイノシシは、地面の土をほって、ミミズや昆虫の幼虫や植物の根を食べて生きていました。このとき鼻はとても重要です。まず、地中に食べ物がうまっているかをかぎわけなくてはいけません。そして土をほるときには鼻をスコップのように使います。そのために鼻は大きくてがんじょうになっているというわけです。
( → 学研・サイエンスキッズ
 しかしこれは目的論である。「これこれの目的のためにこうなった」というふうな。
 しかし進化というものは、何らかの目的をめざして形が変化するものではない。単に適者生存で生き残っただけだ。だから、「××という目的のため」という目的論による説明は妥当ではない。

 私としては、「豚(イノシシ)は、もともと半水生動物だったから」という発想を主張したい。



 [ 付記 ]
 あとで、次の結論を加えた。

 (豚の鼻は)先端部が偏平につぶれている。いわゆる豚鼻。そこだけがちょっと違う。
 で、このくらいの違いならば、地面の虫を掘ったりしているうちに、変化するだろう。

 ということは、
  ・ 半水生で顔の先が延びた。(呼吸のため)
  ・ 地面の虫をほじくって先端が偏平になった。
 という二部構成で、今の形になったのだろう。

  より詳しい説明は、コメント欄( 2013年04月14日 21:52 の箇所)を参照。




 [ 余談 ]
 ついでに言えば、人類もまた、一時期は半水生っぽい生活をしていたと思える。その意味は、
 「水中で泳いで、鼻の形を呼吸しやすい形にした」
 という意味(ゾウや豚などと同様)ではなくて、
 「岸辺で生活して、魚介類の採集生活をしていた。ときどき水を浴びて泳いでいた」
 というぐらいの意味である。詳しくは、下記を参照。
  → 人類進化の水辺説(半・水生説)



 【 関連項目 】

 → ゾウの鼻はなぜ長い 2
posted by 管理人 at 20:40| Comment(8) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああいう鼻だから、ああいう泳ぎ方をするのか。
ああいう生活をし続けてきたから、ああいう鼻になったのか。
「用不用説」には、ちょっと疑問も感じるものですから。
Posted by けろ at 2013年04月12日 12:31
一挙にあの形になったのではなく、最初は犬みたいな顔だったのに、だんだん鼻が伸びていったのでしょう。
 ゾウの進化の過程を見ても、だんだん長くなっていったのがわかる。
 http://www.elephant.se/proboscidea.php?open=Evolution%20of%20elephants

 豚も、鼻がさらに伸びると、ゾウみたいになる。
Posted by 管理人 at 2013年04月12日 13:00
説明に苦慮するのが、長い鼻の遺伝情報をどのように獲得していったか、ということなのです。
単なる獲得形質では遺伝しないし、鼻の長めな遺伝情報を持つ個体が適者生存で生き残る、ということを繰り返して「だんだん長く」なったという理解で良いのか、どうもすっきりしません。

その場合、「鼻が長く」なるのに伴って呼吸機能や骨格や筋肉や、いろんなところも付随して変化する必要があるような気がして、そうするとそれらの遺伝情報書き換えの総数が膨大になってしまうような気がしてしまいます。

タイムマシンが無いと確かめようがないので、仕方ないんでしょうけど。
Posted by けろ at 2013年04月13日 20:11
サイズの変化という変異は、比較的容易に起こります。
 犬と猫もそうで、元は同じ先祖だったが、鼻が長くなると犬になり、鼻が短くなる(顔面がつぶれる)と猫になる。犬と猫は頭の骨格がほとんど相同です。
 元はイタチみたいな感じだったようですが、鼻がつぶれて猫になり、鼻が伸びて犬になる。
 同様に、豚の仲間でも、鼻が伸びたものが水中に適してどんどん長くなり、他のものは肉食獣に食い殺されてしまった……と考えるといいでしょう。サイズの変化ぐらいは容易に起こるので、何百万年もかければ、鼻の形ぐらいの変化は起こります。
 犬という同一種でさえ、鼻が長めなのや短めなのやら、いろいろいる。
Posted by 管理人 at 2013年04月13日 20:26
解説をありがとうございました。
確かに犬猫にもいろいろな形態がありますね。
Posted by けろ at 2013年04月14日 21:04
豚のような犬。
  http://japan.digitaldj-network.com/articles/5981.html
  http://rojyonotabibito.world.coocan.jp/image21-10.jpg

 これと豚の骨格を比べると、そんなに違いがないとわかる。
 豚はゾウみたいに鼻だけが長いと思われているが、実は豚の鼻は長くない。骨格が先の方で細くなっているので、先っちょのあたりが鼻だと誤解されている。
 実は、豚の骨格は、全体として、

     <

 のような形になっている。(左が前、右が後ろ)
 ただし、先端部が偏平につぶれている。いわゆる豚鼻。そこだけがちょっと違う。
 で、このくらいの違いならば、地面の虫を掘ったりしているうちに、変化するだろう。

 ということは、
  ・ 半水生で顔の先が延びた。(呼吸のため)
  ・ 地面の虫をほじくって先端が偏平になった。
 という二部構成で、今の形になったのだろう。
Posted by 管理人 at 2013年04月14日 21:52
何度もお付き合いありがとうございました。

> 地面の虫を掘ったりしているうちに、変化するだろう。

どういう原理で変化していくのか、どうにも説明し難く困っておりました。

皮膚に「タコ」が出来るような感じの変化だと、遺伝しないように思えます。何らかの作用により発現していなかった遺伝情報が働き始めるのなら有りそうに思われますが、遺伝情報そのものが書き換わるきっかけとして個体の行動が影響するものなのか、わからずにおります。

ごくわずかな塩基列の変化で「鼻が長くなる」ような形態変化が可能になるような簡単な仕組みなのかどうかもわからず、わたしにはもっと勉強が必要だと感じました。

代々海女の家系でもそのうち手足に小さなヒレがついたしないなぁと思ったりもしますが、数百万年続けていれば、つくのかも知れませんし、代々高地に住む人たちの心肺機能はやっぱり平地の人たちとは違うような気がしますし、形態と遺伝情報との関係は難しく感じております。

(お忙しい中、お付き合いありがとうございました。特にご回答をお願いしているわけではなくて鈍い頭のモヤモヤを書いてみただけですので、捨ておいてくださって結構ですので)
Posted by けろ at 2013年04月15日 18:22
不連続な突然変異の積み重ねによるので海女さんにヒレやえらは生じないでしょう。
Posted by 京都の人 at 2013年04月15日 22:20
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