2010年03月15日

◆ ゾウの鼻はなぜ長い 2

 ゾウの鼻はなぜ長いか? 「水中で鼻をシュノーケルのようにしていたからだ」という仮説を提唱したい。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2013-03-23 です。)

 
 ゾウの鼻はなぜ長いか? これについて、
 「水中で鼻をシュノーケルのようにしていたからだ」
 という仮説を提唱したい。その理由は、カバやクジラとの類似だ。

 ゾウについて不思議なのは、鼻が長いことだけでなく、体が太って巨体であることだ。このような巨体は、陸上ですばやく動けないことから、陸上では大いに不利である。
 また、ゾウは最初から巨体だったわけではない。最初は小さくて、徐々に大きくなっていった。
  → 各種の画像
 とすれば、途中段階の大きさでは、肉食動物を蹴散らすこともできないので、太った体つきは陸上では大いに不利であったはずだ。

 この問題を解決する方法は、一つしかない。
 「巨体でも肉食動物に襲われないように、陸上から水中に逃げる。つまり、半水生生物である」
 これは、カバについては成立する。また、クジラも初期はそうであったようだ。
 同様のことが、ゾウについても成立したはずだ。つまり、ゾウは当初、半水生生物だったはずだ。
 このことは、別に、私の独創ではない。以前から知られた発想だ。
 ゾウの仲間の最初の化石としては、北アフリカの始新世(約5000万年前)の地層からいくつか発見されています。それによると、ゾウの先祖は胴長で足の短い背の低い動物で、水辺で半水生生活していたと考えられています。
( → ゾウはどんな動物
 そして、半水生生物であったとすれば、鼻を水上に出して、鼻をシュノーケルにすることができる。こうすれば、水深の深いところも(泳がないまま)歩くことができたはずなので、いろいろと便利だったはずだ。
   
 実は、これはただの仮説ではない。ゾウは現在でも、鼻を水上に出して、水中を歩くことがある。 

elephant.jpg


 また、鼻を水上に出して、泳ぐことがある。
  → 鼻を水上に出した写真
  → 象が泳ぐ画像の一覧

 こういう画像を見れば、本項の仮説が不自然ではないとわかる。
 実は、この仮説は、私が初めて出したものではなく、前からある。
 新書「解剖男(遠藤秀紀 著)」……の著者は、ゾウの鼻が長い理由についても言及していた。
 つまり、ゾウのシュノーケリング仮説で、ゾウはシュノーケリングをするために鼻が長くなったということなのだ。
( → ゾウのシュノーケリング仮説
 この仮説は、本項の仮説にきわめてよく似ている。
 ただし、違いもある。この仮説は、
 「ゾウはシュノーケリングをするために鼻が長くなった」

 というものだ。
  
 一方、本項の仮説は、こうだ。
 「ゾウは半水生生活をしていた。そこで、鼻が長いと、シュノーケルができて有利なので、鼻を長くしていった。また、半水生生活のおかげで、体を巨体化していった。こうして、鼻が長くて巨体であるという、ゾウの形質が備わっていった」

 
 つまり、「シュノーケルをするために鼻を長くした」のではなく、「もともと水辺でシュノーケルをしていたから、鼻がどんどん長くなった」のである。(ここでは、目的論と原因論との違いがある。)
 さらに言えば、半水生生活をすることで、鼻が長くなるだけでなく、体も巨体化していった。(カバやクジラと同様に。)

( ※ なお、鼻が長いだけでは駄目で、巨大化も必要だった。そのことは、進化の過程を見ればわかる。現在のゾウに至る途中段階の種は、巨大化が十分ではなかったがゆえに、すべて滅びてしまった。こういうことは、ゾウやキリンなどを除くと、他の系統ではありえない。猫科や熊科では小さな種も生き延びている。一方、ゾウやキリンなどでは、十分に巨大化したものだけが生き延びて、それ以外の途中段階の種はすべて滅びてしまったのである。)

( ※ シュノーケルとか、半水生生活とか、巨大化とか、それぞれの個別の話は、すでに他の人々も述べている。本項は、それらを統合して、一つの仮説をまとめ上げた、という点に意義がある。)
   


 [ 付記 ]
 前に、同じ話題で別項を記した。
  → ゾウの鼻はなぜ長い 1
 そこで示した論点は、次のことだった。
  ・ ゾウの鼻が長いのは、首を短くするため。
  ・ 目的は「巨大化すること」であった。
  ・ ただし目的論よりは、原因論で語るべきだ。
  ・ 鼻が長いものが、巨大化してゾウになった。
  ・ 鼻が長いと、巨大化することができたので、巨大化した。
  ・ かくて、鼻が長くて巨大化したゾウが出現した。

 これはこれでいいのだが、ここでは「なぜ鼻が長いのか」という根源が語られていなかった。「鼻が長いと、巨大化することができて、有利だった」というのはわかるが、「なぜ鼻が長いか」という根源は示されていなかった。(鼻のかわりに首が長くてもいいはずだ。キリンのように。)

 本項では、「なぜ鼻が長いか」という根源を示している。それは、こうだ。
 「ゾウは半水生生物で、鼻をシュノーケルにしていたから」


 結局、上記項目と本項を合わせて読むことで、正解に到達することができる、と言えるだろう。
 というわけで、上記項目をあらためて読んでほしい。



 【 関連サイト 】

 → ゾウの祖先
posted by 管理人 at 20:30| Comment(3) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
他の半水生・元半水生(サイ)の巨大哺乳類の鼻がシュノーケルではなかったのは何故なのでしょうか。
http://digitalcast.jp/v/14683/
7〜8分頃にサイの祖先がほぼ水生だったと語られていますが……。
Posted by ヒルネスキー at 2013年03月23日 22:18
サイはツノがあるから、戦えます。逃げる必要はないんです。長い鼻のかわりに、ツノがある。

 カバも同様です。すごく強い。
  → http://www.lachispadelavida.net/
  → http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1383069278
Posted by 管理人 at 2013年03月23日 23:06
水生説によると、サイのほかにイノシシも昔は半水生だったようです。
 それで思うに、イノシシの鼻も、ゾウの鼻にちょっと似ていますね。実際、鼻を水面上に出して泳ぎます。
  → 画像 http://j.mp/ZY2fCh

 イノシシの鼻は、ゾウの鼻ほどには長くないが、同様のものだと見なしていいでしょう。あまり長くないのは、それで十分だから。たぶん、小柄なせいで、内部に十分な空孔があって、比重が軽いからでしょう。頭を水面上に出せる。ゾウの場合は、頭が沈むから、鼻を長くする必要がある。
 
 イノシシは、あまり水生に適しないうちに、ふたたび陸上に戻ったのでしょう。その陸上とは、森林。森林ならば、肉食獣を避けて生きることができる。

 ゾウの場合は、陸上が草原だったので、草原よりも水辺や水中にいる時間が長くて、いっそう水生に適応した形状になったのでしょう。そして、十分に巨大化したあとで、陸上(草原)に戻った。そのころは肉食動物にも対抗できたから。
Posted by 管理人 at 2013年03月24日 17:54
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