2010年03月02日

◆ 猿の尻はなぜ赤い?

 お猿のお尻は真っ赤っか。「それはどうして?」という疑問に、私なりに答えよう。
 実は、その質問が間違っている。猿の尻は、「赤い」のではなく、「無毛」であるのだ。ではなぜ無毛なのか? 尻で坐るためだ。 ──

 「猿の尻はなぜ赤い?」
 という疑問は、しばしばなされる。それに対して、生物学では次のように答えることが多い。
 「性的アピールをするため」
( → 教えて goo

 なぜかというと、メスの尻が特に赤くなるのは、メスが発情期のときだからだ。「交尾OK」ということを示すために赤くなる」……という理屈。(子供には言えませんね。  (^^); )

 しかしこれは理屈になっていない。
 「性的アピールをするため」
 というのが目的であれば、「尻」が赤くなる必要はない。別のところだっていいはずだ。(たとえば胸や顔)
 また、猿だけでなく、他の動物だって、みんな尻が赤くなっていいはずだ。(たとえば虎やライオン)
 現実には、そうなっていない。つまり、
 「猿の尻はなぜ赤い?」
 という疑問に対して、「赤い」ことの理屈は付けられても、「猿」「尻」という二点(つまり猿の尻に限ること)についてはまったく説明ができない。

 ──

 実を言うと、
 「猿の尻は赤い」
 ということは、本当は成立していない。それが成立するのは、日本猿などだけだ。
   → 出典
 だから、「猿の尻は赤い」と思っているのは、日本人ぐらいのものだ。
 「猿の尻は赤い」
 と外人に言っても、「何言っているんだ、こいつ」と思われるだろう。

 そう聞いても納得できない人のために、実際に画像で示そう。チンパンジー、オランウータンなどは、無毛だが、赤くないのがわかる。
   → チンパンジー
   → オランウータン
   → ヒヒ(の一種)
  cf.  マントヒヒ (こちらの尻は赤い)

 ──

 以上の画像から、次のことがわかる。
 大型の猿や類人猿の尻は、無毛であることが多いが、赤いのはマントヒヒぐらいだ。たいていは、無毛であっても、赤くない。
 小型の猿でも、日本猿の尻は赤いが、他の猿はそうではないことが多いようだ。(無毛ではないことも多い。)

 ここでは、ポイントは、次のことだ。
 「(大型の)猿の尻は、無毛であることが多い」


 無毛。これが実はポイントである。

 ──

 では、なぜ、猿の尻は無毛なのか? 
 これが新たな疑問だ。この疑問に対しては、私は次のように答える。
 「猿は(上体を直立させて)坐ることが多い。坐ると、尻が地面や岩に着く。尻に毛があると、毛が擦り切れてしまう。擦り切れると、柔らかな肌が出て、痛くなる。それでは困る。そこで、尻の皮膚を角質化する。角質化するから、無毛になる」


 具体的に言えば、「尻ダコ」だ。猿の尻には、尻ダコがある。尻ダコとは、皮膚が角質化したものである。皮膚が角質化すると、かなり固くなる。と同時に、無毛になる。これが猿の尻の正体だ。

 なお、尻ダコについては、Wikipedia の説明を引用しよう。
 類人猿をふくめたサルの類においても同様であるが、ヒトのような皮下脂肪ではなく、尻だこと呼ばれる皮膚の発達したものによって大きく盛り上がるものがある。役割としてはちょうど座布団を備えているようなものであり、これによって岩や木の枝などの上に長時間座って過ごすことができる。
 ヒトにおけるペンだこのように、接触刺激が継続することによってできるものではなく、尻だこは生まれつき備わっている。
( → Wikipedia
 ──

 ともあれ、猿の尻については、本質は「無毛」というより「角質化」なのだ。私はそう考える。
 この説が妥当である傍証はある。それは、ゴリラには尻ダコがないことだ。つまり、ゴリラの尻は、無毛ではない。(毛だらけだ。)
  → ゴリラの画像1
  → ゴリラの画像2

 ゴリラは四つん這いで歩く。(ナックルウォークという。)
 主に両腕で体重を支えるから、小さな尻で体重を支えることはしない。だから尻ダコもないわけだ。

 結論。

 猿の尻は、「赤い」のではなく、「無毛」なのだ。
 なぜ無毛かというと、足の裏が無毛なのと同じ。地面や岩に接するから、毛があるとかえって不便なのだ。
 このことは尻を着けて坐る猿でのみ成立する。



 [ 付記1 ]
 無毛になると、なぜ赤いか? 毛に隠されないので、肌の色がそのまま見えるが、日本猿の場合、肌が赤いからだ。実際、日本猿は顔も赤い。とすれば、もともと肌全体が赤いのだろう。もし毛を剃れば、尻だけでなく、全身の大部分が(おおむね)赤いはずだ。
 肌が赤い原因は? 血の色が透けて、赤く見えるだけだろう。ここではあえて色素で赤くしているのではなくて、血の色が見えているだけだ。
 日本猿の尻や顔が赤いのは、「皮膚が薄くて、メラニン色素が少ないから」と考える方がいいだろう。メラニン色素が多い猿では、尻も顔も黒いものがいる。

 [ 付記2 ]  
 「猿の尻が赤いのは、性的アピールをするため」
 というのは、原因と結果を間違って受け取った解釈だろう。次のような。
 「若い女性のおっぱいが大きいのは、性的アピールをするため」
 これは因果関係がおかしい。
 「おっぱいが大きい女性を見ると、男が性的アピールを感じる」
 ということはあるが、だからといって、性的アピールのためにおっぱいが大きいのではない。「授乳のため」という本来の目的がある。
 とにかく、尻が赤くない猿もいっぱいいるのだから、「性的アピールをするため」という解釈は、論理的にもおかしい。また、日本猿は顔も赤いのだから、やはり論理的におかしい。
 発情期に赤さが増すのは、単にそれだけのことだろう。発情期以外にも顔や尻が赤いことの理由とはならないだろう。発情期以外には、発情期とは関係なく、血の色が見えるだけだ。
 「性的アピールをするため」というのは、「赤いこと」の理由ではなく、「赤さが増すこと」の理由であるにすぎない。そもそも、日本猿のメスは、発情期でないときにも尻は赤い。発情期でないときに「性的アピールをするため」というのは、論理的に破綻している。(発情期という概念も理解できない生物学音痴の発想。)
 ついでだが、日本猿のオスだって尻は赤いが、他のオスに対して性的アピールをするためではない。  (^^);
 


 【 関連サイト 】

  → さまざまな動物のお尻

    尻フェチ?   (^^);
   


 【 追記 】
 書き終えたあとでネットを調べたら、よく似た説が見つかった。
 腰を下ろすと丁度その赤い部分が当たりますから毛が無くなり赤くみえるのです。
( → Yahoo!知恵袋
 本項の見解とほぼ同様だ。ただ、この文章を読んだ限りでは、「毛が擦り切れて なくなった」とも読める。「角質化」という言葉も使われていない。本項と比べて、目的論的には合致するが、生物学的には合致していると言えないようだ。
posted by 管理人 at 18:57| Comment(3) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後まで読むのちょい
しんどいくらいの
説明っぷり… 鵟(-ω-)
嫌いじゃないです。
むしろ大好きです。
仮説も含め 納得できる
ことが多かったです。
Posted by お疲れ様です。 at 2011年01月15日 23:48
ん?
大元となった発情期に特に赤くなるという大前提への説明はどこいった?

単に猿の尻が赤いこと自体は性的アピールではないけど発情期により赤くなるのは性的アピールということでいいのか?

人間の口紅にもこういう説があるけど
Posted by い at 2012年04月26日 11:51
> 発情期に特に赤くなる

 そのことだけはそのままでいいので、言及しませんでした。
 たとえば、赤さが7から10になる部分は、性的アピールで説明できるでしょう。
 本項では、0から7になっている部分の説明です。オスの尻も子供の尻も赤い、ということの理由。
 区別しなかったのは舌足らずでしたね。済みません。
Posted by 管理人 at 2012年04月26日 12:56
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