普通のプラセボ効果は、こうだ。
「実際には効果がないのに、『効果がある』と患者が思い込んだせいで、ないはずの効果が生じてしまう」
これとは逆に、負のプラセボ効果が考えられる。こうだ。
「実際には効果があるのに、『効果がない』と患者が思い込んだせいで、あるはずの効果が消えてしまう」
典型的な例は、「病は気から」という言葉で現される。
癌の患者が、「癌です」と告知されたとたん、「おれは癌だ、もう長くはないぞ、抗ガン剤なんか気休めにすぎない」と本人が思い込んだせいで、食事も喉を通らなくなり、あっさり死んでしまう、という例もある。
つまり、患者の気持ちしだいで、有効な治療が有効でなくなる。
──
こういうふうな「負のプラセボ効果」は、極力、避けるべきだ。ところがどういうわけか、こういう「負のプラセボ効果」をもたらすことに熱中している人々がいる。
「鍼灸なんて、西洋医学では作用が証明されていない。ゆえに、そんなものの効果は、ただのプラセボ効果にすぎない。本当は治療効果はないんだ」
こういうふうに主張して、患者を失望させる。すると、失望した患者は、せっかく有効だった鍼灸の効果が消えて、病状が悪化してしまう。
要するに、この手の人々は、「おまえの症状には治療法はない」という暗示を続けて、人々の健康を破壊しようとしているわけだ。一種の悪魔か。

(C) http://www.cavernsofblood.com/
[ 付記 ]
逆のことを考える人もいる。
「医師の優しさがあれば、薬なしでも患者は効果を得ることができる。医師の態度が薬と同じぐらいの効果をもつことができる」
このことを証明した人がいる。何の薬効もない偽薬(プラセボ)を患者に与ええると、薬効のある本物の薬と同じような効果があったという。ただし、医師に患者への気遣いがあった場合だ。
→ AFP通信
【 関連文書 】
優しい医者の話。
→ Dr.コトー診療所 (漫画)
【 追記 】
「ノセボ効果」というのもある。Wikipedia によると、こうだ。
偽薬によって、望まない副作用(有害作用)が現われることを、ノセボ効果(ノーシーボ効果、反偽薬効果、nocebo effect)という。副作用があると信じ込む事によって、その副作用がより強く出現するのではないかと言われている。これは、効果の方向が反対であるプラセボ効果であるから、広い意味のプラセボ効果の一種である。(悪の効果を増やす。効果を増やすという点ではプラセボ効果。)
( → Wikipedia )
一方、本項で述べるのは、プラセボ効果を減らすという意味。悪を増やすのではなく、善を減らす。
両者は似て非なる。
負のプラセボ効果をもたらすのは悪魔のような医者だが、ノセボ効果をもたらすのは患者自身の疑心暗鬼であろう。
