2010年02月24日

◆ 負のプラセボ効果

 実際には効果があるのに、「効果がない」と患者が思い込んだせいで、あるはずの効果が消えてしまう、という場合がある。これを「負のプラセボ効果」と呼ぼう。 ──

 普通のプラセボ効果は、こうだ。
 「実際には効果がないのに、『効果がある』と患者が思い込んだせいで、ないはずの効果が生じてしまう」

 これとは逆に、負のプラセボ効果が考えられる。こうだ。
 「実際には効果があるのに、『効果がない』と患者が思い込んだせいで、あるはずの効果が消えてしまう」
  
 典型的な例は、「病は気から」という言葉で現される。
 癌の患者が、「癌です」と告知されたとたん、「おれは癌だ、もう長くはないぞ、抗ガン剤なんか気休めにすぎない」と本人が思い込んだせいで、食事も喉を通らなくなり、あっさり死んでしまう、という例もある。
 つまり、患者の気持ちしだいで、有効な治療が有効でなくなる。

 ──

 こういうふうな「負のプラセボ効果」は、極力、避けるべきだ。ところがどういうわけか、こういう「負のプラセボ効果」をもたらすことに熱中している人々がいる。

 「鍼灸なんて、西洋医学では作用が証明されていない。ゆえに、そんなものの効果は、ただのプラセボ効果にすぎない。本当は治療効果はないんだ」
 こういうふうに主張して、患者を失望させる。すると、失望した患者は、せっかく有効だった鍼灸の効果が消えて、病状が悪化してしまう。
 要するに、この手の人々は、「おまえの症状には治療法はない」という暗示を続けて、人々の健康を破壊しようとしているわけだ。一種の悪魔か。


devil.gif

      (C) http://www.cavernsofblood.com/



 [ 付記 ]
 逆のことを考える人もいる。
 「医師の優しさがあれば、薬なしでも患者は効果を得ることができる。医師の態度が薬と同じぐらいの効果をもつことができる」
 このことを証明した人がいる。何の薬効もない偽薬(プラセボ)を患者に与ええると、薬効のある本物の薬と同じような効果があったという。ただし、医師に患者への気遣いがあった場合だ。

  → AFP通信



 【 関連文書 】 

 優しい医者の話。
  → Dr.コトー診療所 (漫画)

   


 【 追記 】
 「ノセボ効果」というのもある。Wikipedia によると、こうだ。
 偽薬によって、望まない副作用(有害作用)が現われることを、ノセボ効果(ノーシーボ効果、反偽薬効果、nocebo effect)という。副作用があると信じ込む事によって、その副作用がより強く出現するのではないかと言われている。
( → Wikipedia
 これは、効果の方向が反対であるプラセボ効果であるから、広い意味のプラセボ効果の一種である。(悪の効果を増やす。効果を増やすという点ではプラセボ効果。)
 一方、本項で述べるのは、プラセボ効果を減らすという意味。悪を増やすのではなく、善を減らす。
 両者は似て非なる。
 負のプラセボ効果をもたらすのは悪魔のような医者だが、ノセボ効果をもたらすのは患者自身の疑心暗鬼であろう。
posted by 管理人 at 19:01| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ