2010年02月24日

◆ 医学は科学か?

 医学(西洋医学)は、科学だろうか? 「もちろん科学だ」と思う人は多いだろうが、医学は科学でないこともある。
 そのことは、鍼灸などの療法の対比となる場合(肩凝りの治療など)を見ればわかる。 ──
 
 ホメオパシーのような無効な療法は、明らかに非科学的であるし、非難に値する。
 鍼灸はどうか? 「これも非科学的だ」という理由で、鍼灸を批判する人もいる。
 では、肝心の医学(西洋医学)そのものは、どうか? 科学的か? いや、科学的ではないこともある。その点を指摘しよう。

 ──

 通常の治療では、医学は科学的だ。次のような例。
  ・ 外科手術
  ・ ウイルスや病原菌の治療薬


 これらは科学的だ。よく考えると、科学の方法論に則っている。
  ・ 外科手術 …… 物理的に削除や縫合をする。
  ・ ウイルスや病原菌の治療薬 …… 生化学的な分子的作用


 ここからわかるように、科学的な方法論が採られている。だから、これらは「科学」と呼べる。つまり、たいていの医学は「科学」と言える。

 ──

 問題は、神経レベルのことだ。たとえば、次の例。
  ・ うつ病・統合失調症
  ・ 神経疲労(肩凝り)

 これらは、原因も対策も、科学的にはわかっていない。原因がどうであるかも詳しくはわかっていないし、対策が何であるかもわかっていない。対策については、こうだ。
  ・ うつ病・統合失調症の特効薬は存在しない
  ・ 神経疲労(肩凝り)の特効薬は存在しない

  
 肩凝りの場合、強いて薬を述べるなら、酒だ。酒を飲んで、ぐーぐー眠っていれば、肩凝りは取れていく。しかしそれは、酒に肩凝りを治す作用があるのではなくて、睡眠によって自然回復力を発揮させるだけだ。(これではホメオパシーの口上みたいなものだ。  (^^);  )

 ──

 神経系の症状は、「何かが欠けている」とか「何か有害なものが入った」ということから来るのではなく、「神経の働きのバランスが崩れた」とか、「神経の作用が低調になった」とか、そういう神経の調子の不調から来る。
 そして、これに対する治療法は、西洋医学ではほとんど存在しない。たとえば、うつ病の治療薬として「プロザック」というものがアメリカでは広く出回っているが、これの効果はプラセボの効果と大差ないことが今日では判明している。その一方で、自殺のリスクを高めるという逆効果が起こるという。(気分が楽になり自殺さえも気楽にできる。) このような薬を飲むことで、状況が改善するどころか悪化することもあるわけだ。
 その意味では、「西洋医学はホメオパシーよりも悪い(こともある)」と言えるかもしれない。「うつ病の人は、下手な医者の治療を受けるよりは、ホメオパシーを信じた方がいい」と言えるかもしれない。場合によっては、だが。
 ※ うつ病の医療の効果をまったく否定するわけではない。ある程度は有効になることも多い。……しかし、有効だったり有害だったりするのでは、鍼灸を笑えない。
 肩凝りにしても同様だ。肩凝りに対して、西洋医学で治療するとしたら、どうするか? 睡眠薬のようなものとか、鎮痛剤とか、筋弛緩剤の一種などが処方されるだろう。しかしこれらの薬物はかなり危険である。下手をすると、命にかかわる。(だから、簡単には入手できないし、医者による処方も簡単ではない。一種の劇薬指定のようなもの。なお、同種の薬で死んだ例として、マイケル・ジャクソンがいる。目的は肩凝り治療ではなかったが。)

 これらの西洋医学の薬に比べれば、鍼灸の方がはるかに安全である。「誰にでも効く」というわけではないのだが、効く人には確かに効いている。
 西洋医学では、「鍼も偽鍼も、効いた人の率は大差がない」というようなインチキ統計を出す人もいるが、「効いた人の率」でなく、「効いた程度」を見れば(つまり統計的に広さでなく深さを見れば)、「鍼の方が偽鍼よりも効く程度が高い」ということは、わかるようだ。その意味では、鍼の有効性は、ちゃんとある。
 鍼灸は、効く人には効く。だからこそ、高い金を払って、鍼灸を何度も受ける人がいるわけだ。
  → 鍼を受けている患者の例 (本人公開)

 こういうふうに鍼灸を受けている人に向かって、「代替医療は駄目だ、非科学的だ」と非難して、「科学的な医療を受けよ」と述べてから、危険な劇薬のようなものを処方するのは、あまりにも非科学的である。
 なぜ非科学的か? 「神経レベルの治療では、西洋医学はいまだ科学ではない」という事実を理解できないからだ。科学でない西洋科学を、あたかも科学であるかのように見せかける。それはホメオパシーと同様のインチキだ。(神経関係では。)
 真の医者は、おのれ自身の限界を知るし、西洋医学の限界も知る。「西洋医学で何でもかんでも完全に治療できます」などとは言わない。しかるに、「西洋医学は万能だ」と主張する人々がいる。彼らは、ホメオパシーの狂信者と同じで、西洋医学を神のように絶対だと信じている狂信者なのである。
( ※ だから鍼灸を見て、「トンデモだ」というふうに騒いだりする。)
    


 【 補説1 】
 西洋医学の薬は、飲み薬が多く、それは全身に作用する。神経系に作用する場合は、全身の神経に作用する。それは好ましくない。
 一方、鍼灸ならば、ツボに打つので、ピンポイントだ。これならば安全性も高い。この点では、西洋医学の飲み薬よりも、はるかに合理的だ。飲み薬なんかを使う西洋医学は、はるかに非科学的だと言える。(ピンポイントでやろうとしたら、現時点ではせいぜい湿布薬ぐらいしかない。カプセルによるピンポイント治療は、まだまだ開発途上だ。)

 ただし、である。私は次のことを提案する。
 西洋医学の薬を、ツボに注射する。つまり、きわめて細い注射針を使って、ツボに薬剤を注射する。この場合は、注射の針が鍼みたいになっているわけだ。
 これは西洋医学と鍼灸との統合だ。このように双方を統合するのが理想的だと思える。
( ※ 似た発想は、オステオパシーと呼ばれる療法にもある。)
( ※ ツボに注射できるような細い注射針があるのか、という技術的な問題は、ここでは問題としない。ただし、ある程度、できている。0.2mm の超微細注射針。鍼と同程度。)
( ※ 薬剤のほか、電気パルスを使う療法も考えられる。この場合、電気パルスは皮膚の表面からでも伝わるから、針や鍼を使う必要はない。……この療法は、低周波治療器や高周波治療器として、すでに使われている。 → 肩凝り治療器
  
  【 補説2 】
 私の考えでは、肩凝りのような疲れを根本的に治す方法は、原理的にありえないと思う。疲れというものは、病気ではないのだから、薬によって治すものではない。あくまで本人の自然治癒力によって治すべきものだ。
 ただし、神経系が妙に凝り固まる感じになって、自然治癒力がうまく働かなくなっている場合がある。そういう場合に、その凝り固まった状態をほぐして、自然治癒力がうまく働くようにすることもできる。……それが鍼灸などの作用原理だろう。
 鍼灸によって肩凝りがほぐれることはあるが、それは肩凝りを抜本的に治療するのとは違う。肩凝りを治すには、何よりも睡眠などの休みが必要だ。
 そして、そのことを忘れて、「疲れは薬で治せ」というような方針を取る医者がいるとしたら、その人は医学というものを科学的に理解していることになる。
 医学と科学を混同して、「効果的な薬を使うのが科学的な医療だ」と思っている医者がいるようなので、留意してほしいものだ。医学とは人体改造学ではないのだ。ここを勘違いすると、やたらと薬を信奉したあげく、「ドーピングは科学的で素晴らしい」というような発想になる。
 「薬剤による治療だけが科学的だ」と思い込んではならない。(知らず知らず思い込んでしまう人が多すぎる。病院に行って「薬をもらわないと治療を受けた気がしない」という患者が多い。それと同様。)
  


 [ 付記1 ]
 誤読する人が出てきそうなので注釈しておく。
 本項は「西洋医学は全面的に駄目だ」と述べているのではなくて、「西洋医学ではうまく行かない分野も一部にある」と述べているだけだ。「完璧ではない」と述べているだけだ。
 物理学にせよ、天文学にせよ、未解明の分野はかなりある。医学だって、同様だ。

 [ 付記2 ]
 「筋弛緩剤って何だ?」という質問をする人もいるだろう。Wikipedia を見てもわからないから、ここで答えておこう。次の薬剤だ。
  → ミオナール
 
 しかしこれは中枢神経に作用する薬であり、安全性は高くない。どちらかと言えば酒の方がマシだという気もする。(少量の酒で簡単に酔えるのであれば。……酒の飲み過ぎはもちろん危険。)

 なお、肩凝りの人は、血圧も測ってみた方がいいだろう。高血圧の場合には、血圧を下げる薬が、肩凝りに効くかもしれない。(全身の緊張をほぐす効果。)
 血圧を下げる薬は、比較的、安全性が高い。(中枢神経に作用するわけじゃないので。)(ただしそれで肩凝りが取れる効果があるかというと……かなり疑問だが。)
   


 【 関連サイト 】

  → Wikipedia 「医学」

 一部抜粋
 世界各地にはいろいろな医学があるが、これらの違いは、生命や病気に対する考え方の違い、つまり理論の相違と言える。
 西洋医学しか知らない者にとっては)まず、ものの見方・考え方により森羅万象が違った姿に見えてくる、ということに気づくことが東洋医学(や他の医学)を理解するための第一歩となる。

 それに対して西洋医学の医師たちは、扁桃、アデノイド、虫垂、胸腺、脾臓などの構造物が体内にあることは一応知ってはいたが、その機能のことは最近まで全然理解していなかった。20世紀になっても、まだ最近まで、西洋医学の医師らは、扁桃、アデノイド、リンパ節、虫垂、胸腺、脾臓などの、(現在では非常に重要だと判明している)免疫器官の大半に、こともあろうに「機能が無い」「退化したもの」「瑣末(さまつ)」などといった、とんでもなく誤ったレッテルを貼ってしまうという過ちを続けてきた。
 つまり、西洋医学は長らく「トンデモ」であったわけだ。
 


 [ オマケ ]

 ツボのマッサージで気持ちよくなる例。

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posted by 管理人 at 18:54| Comment(1) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本文の最後に女性の写真を追加しました。
 (無料素材から。)
Posted by 管理人 at 2012年06月20日 22:56
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