ホメオパシーがインチキ医療であるとしたら、薬事法に違反するはずだ。ではなぜ、ホメオパシーは薬事法違反で摘発されないのか?
( ※ 最後の 【 後日記 】 を、まずお読みください。) ──
以上は、疑問だ。この疑問に基づいて、あちこち調べたところ、次の結論を得た。
「ホメオパシーは、薬事法違反にならないように、弁護士と相談して、注意している。そのために、ホメオパシーは、医療であるとは自称していない」
ここまで調べて、私は自分の誤りを悟った。ここで、読者にお詫びをしておく必要がある。ごめんなさい。ホメオパシーは、インチキ医療ではありません。そもそも、医療ですらない。
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「ホメオパシーはインチキ医療だ」
というのは、トンデモマニアの批判だ。私もそれを真に受けてしまった。まことに迂闊だった。トンデモマニアは誤読ばかりしているのだから、トンデモマニアの言葉を真に受けるべきではなかった。
ホメオパシーのサイトを見るとわかるが、ホメオパシーは医療ではない。では何かというと、本人の「自然治癒力」を高めるだけだ、と称している。
つまり、医療効果はゼロ。何らかの効果があるとしたら、本人の自然治癒力による。それを助ける効果があるだけだ。……こういう形で、薬事法違反を免れている。
単純に言えば、体質改善のための(広い意味の)ビタミン薬みたいなものだ、というわけだ。
もちろん、「体質改善のための(広い意味の)ビタミン薬みたいなもの」という効果すら、ありえない。ただのデンプン玉(砂糖玉)にすぎないからだ。とはいえ、「体質改善」の効果があろうとなかろうと、それはあまりにも抽象的だから、いちいち薬事法が乗り出すようなことではない。
たとえば、「深呼吸すると体質改善ができます」と誰かが言ったところで、「それは薬事法違反だ」と摘発されることはない。「砂糖の飴をなめると体質改善がなされます」と誰かが言ったとしても、「それは薬事法違反だ」と摘発されることはない。
ともあれ、ホメオパシーは、インチキ医療ではない。薬事法違反にはならない。なぜなら、もともと医療ではないからだ。ただの気休めみたいなものにすぎないからだ。そのことをホメオパシーの業者自身が認めている。(ただし、誇大に吹聴するが、その程度のことなら、他の産業だって同様だ。特に、IT産業では、「これで生産性アップ」という嘘が堂々と出回る。勝間和代だって、「これで年収2倍」というふうに嘘をつきまくる。)
というわけで、ホメオパシーは、インチキ医療ではない。医療ですらない。自分自身がそれを認めている。
とすれば、「ホメオパシーはインチキ医療だ」というトンデモマニアの騒ぎに、巻き込まれるべきではあるまい。彼らは勝手に誤読しているだけだ。
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賢明なる人々が何かをなすべきだとしたら、次のことだ。
「ホメオパシーには医療効果はない。そのことはホメオパシーの業者自身が認めている。もともと自然治癒力をいくらか高めると述べているだけであって、何らかの医療効果があると述べているわけではない。そこを勝手に誤読するべからず」
要するに、「ホメオパシーには医療効果がある」と信じている点では、一般のホメオパシー信者も、ホメオパシーを批判するトンデモマニアも、どちらも誤読しているのである。
誤読せずにきちんと読めば、「ホメオパシーは医療ではない」とわかるはずだ。
( ※ では何かというと、あえて「医療である」と誤認させる詐欺だ。そして、「医療である」と誤認している点では、ホメオパシーの信者も、トンデモマニアも、どちらも、まんまとだまされているのである。……私もこれまで、だまされていた。済みません。ぺこり。)
§ 出典1
→ 日本ホメオパシー医学協会
・レメディーは食品であり、医薬品ではない
・レメディーを医薬品と誤認を与える表現・取り扱いはしない
・レメディー自身が病気や体の部位に効果があるという記載は×
というふうに、医薬品としての効能を否定している。
§ 出典2
→ ホメオパシー・ジャパン
ホメオパシーの効果を、(本人の)「自然治癒力」という言葉で説明している。
何らかの薬効を示しているわけではない。そのことで薬事法違反を免れる。
なお、ホメオパシーの定義として、「稀釈した物質を使うことで薬効を得る」というふうに説明している人もいるが、これも間違いだとわかるだろう。それは昔の(本来の)ホメオパシーである。今の業者がそう言っていれば、薬事法違反となる。だから、そんなことは言っていない。それに基づいてそれと同じ方法を取っている、と述べているだけだ。「稀釈した物質を使うことで薬効を得る」とは明言していないのだ。(あえて混同させているが。)
正確に言えば、こうだ。
「稀釈した物質を使うことで薬効を得る、という昔の方法に基づいて、稀釈した物質を使うことで自然治癒力を高める」
ここでは明白な薬効は明示されていない。そのことで薬事法違反を免れる。かつ、薬効があるかのごとく錯覚させて、人々をだます。(だまされたなかには、トンデモマニアもいる。)
[ 付記 ]
根拠は不明確でも何らかの体質改善効果がある、というふうに語ることは、薬事法違反ではない。
たとえば、「インフルエンザには、ネギ・ショウガ・マイタケ・ニンニクなどが効く」という説がある。本サイトでも、そのような説を紹介したことがある。
そのような説は、医学的に明白に原理が証明されたわけではない。とすれば、そのような説を紹介することは、薬事法違反か? そんなことはあるまい。その程度のことで目くじらを立てることもあるまい。
ホメオパシーで何らかの効果がある、と述べることは、それ自体は、特に大騒ぎするほどのことではない。ただし、砂糖玉を高値で売りつけるのが、詐欺であるだけだ。ここでは「だます」「詐欺」という点に力点を置くべきだ。医学的にどうのこうのというと、薬事法違反の摘発を免れているホメオパシー業者の罠に、まんまとはまることになる。
[ 余談 ]
「市場原理を貫徹すると、詐欺師がはびこる」
というふうに先に述べた。(特に、医療の分野ではそうなる。)
このことは、ホメオパシーにおいて、典型的に当てはまるだろう。薬事法という規制の及ばない範囲に逃れれば、市場原理の下で、詐欺師が跋扈するようになる。
「規制緩和と市場原理で経済は最適化」
なんて唱える誰かの見解をまともに信じていると、ホメオパシーどころか、あらゆる分野で詐欺師が跋扈するようになるだろう。
【 後日記 】
本項で述べた話は、
「薬事法違反で逮捕されないようにホメオパシー業者が努力している」
ということだった。
しかし、私としては、本項以降で示したように、
「業者の言い分に従う必要はない。薬事法違反で摘発するべし」
というふうに主張している。業者がいくら「医療ではない」と自称していても、実際には「医療である」フリをしているからだ。
その後、行政側が「薬事法を遵守せよ」という形で、規制に乗り出した。そのせいで、「医療効果があります」という宣伝は、販売の場では規制されるようになった。詳しくは下記。
→ ホメオパシーの薬事法規制
本項よりは、上記項目の方が、内容的には充実している。そちらを読んでほしい。
2010年02月21日
過去ログ
http://www.data-max.co.jp/2010/02/post_8631.html
・・・また、ホメオパシーをはじめとしたさまざまな代替医療について、本年度の予算で10億円以上の予算を計上し、プロジェクトチームを発足すること明言した。・・・
上記にて「代替医療」の代替に着眼すれば、
医療を「他のものに代える」・・・・
お祈りか?宗教か?
そう考えると、トンデモと思える。
または、ネットワーク商法で有名な健康補助食品か?
いずれにしても、勘弁してくれと思う。