世間では「化学調味料なんか使わない方がいい」という見解が広まっている。本当にそうか?
まず、「有害だ」ということはない。毒性はない。その意味では、危険視するには当たらない。
ただし、過剰に使うと、味がくどくなる。現代ではコンビニ弁当などで化学調味料が使われすぎていて、「くどいな」と思う人も多いようだ。コンビニ弁当で化学調味料を抜きにすると、ぱさぱさしたような感じで、まずくて食べられない、というふうにもなりかねない。(元の素材がひどいから。 (^^); )
その意味で、化学調味料は、不味いものをおいしく見せかける。粗悪品を有料品に見せかける。一種の偽装だ。 (^^);
その意味では、これはゴマ化しの一種だから、「化学調味料なんか使わない方がいい」とは言える。ただしその意味は、「化学調味料を使わない方がおいしくなる」という意味ではなく、「ゴマされない」という意味である。……この点、勘違いしないように。「化学調味料う使わない方がおいしい」ということはないのだ。
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さて。市販品では、化学調味料は、詐欺みたいな偽装の役割を果たすが、家庭で自分で使うことは、どうか? これは簡単ではない。
「化学調味料なんか使わないで、全部手作りでやれ」
というのは王道だが、今どき、いちいち昆布だしを取っている人は多くないだろう。そんな面倒なこと、やっていられない。その意味では、「だしの素」などを使うのは、間違ったことではない。
また、野菜料理では、「うまみが足りないな」と思うことはしばしばあるのであって、そういうときに、少量のグルタミン酸を掛けると、味に深みが出る、ということはしばしばある。
これは、自分でやる偽装みたいなものだが、別に悪いことではない。やたらと掛けすぎると、舌がマヒしがちで、感覚が鈍磨になるが、使い方を間違えなければ、少量のグルタミン酸を使うのは、悪くはないだろう。(自家製の漬け物など。)
また、自家製のつゆ(めんつゆ)などを作るときも、イノシン酸(だしの素)を使うのは、とても有益だ。これがないと困ってしまうのが普通だ。かわりにやるとしたら、鰹節を自分で削って だしを取るぐらいだが、そんなことをやっている人は今どきほとんどいない。
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結論。
化学調味料(グルタミン酸・イノシン酸)は、使い方を間違えなければ、ちゃんと有益である。
ただし、やたらと使いすぎると、味がくどくなったり、舌が鈍磨になったりする。さらには、自分が使うのではなく、他人が使うという形で、偽装されたクズ食品ばかりを食べる癖が付いたりする。……つまり、変な使い方では、有害である。
結局、有益にも有害にもなる。正しく使うための知識を得て、正しく使えばいいが、そうでなければ、困ったことにもなる。
簡単に言えば、「馬鹿とハサミは使いよう」である。化学調味料も、また同じ。
[ 付記 ]
原則としては、お料理の基本をちゃんと習得しておくことが先決だ。あれこれと料理の経験を重ねて、化学調味料の使い方もわきまえる。……そうすればいい。
逆に、自分で料理もしない人間が、化学調味料の是非を論じるとしたら、あまりにも机上の学問となる。畳の上の水練か。頭でっかちで、理論倒れとなる。
だから、みなさん、料理をしましょう。男子厨房に入るべし。
[ 参考 ]
男子厨房に入るべし、という点では、林望の著作がとても興味深い。特に、次の書籍は素晴らしい。目からウロコの話がたくさんある。
→ くりやのくりごと …… リンボウ先生家事を論ず (集英社文庫)
従来の家事がいかに非科学的・非効率的であるか、そしてまた、合理的・効率的な家事とは何か、ということを、楽しい文章で解き明かす。金を払う価値のある本です。
ただし……これは絶版です。中古でしか入手できない。 (^^);
それでも、中古で安く買えます。自分で家事をしなくても、読むだけでも楽しい本。
