2010年01月18日

◆ 暗黒物質と暗黒エネルギー

 暗黒物質の正体は何か? 暗黒物質と暗黒エネルギーは、本質的には同じものだ、という仮説を提唱しよう。これは仮説であるが、論理的にはこれ以外はありえないと思える。 ──

 暗黒物質の正体は何か? 「それはヒッグス粒子と同じだ」という仮説を、前項で紹介した。そこでは、この仮説に否定的に評価したが、同時に、次のことも示した。
  ・ 暗黒物質は、重力の影響を受けない
  ・ 暗黒物質は、質量があり、重力の影響を及ぼす


 つまり、自分は他のものから影響を受けないが、自分は他のもののに影響を及ぼす、というわけだ。片方向の影響があることになる。まるで「おれは金を借りるが、他人には金を貸さない」というような、片務的な状況だ。
 しかし、このような片務的な状況は、物理学的にはおかしい。重力というものは重力場を形成するし、そのなかでは、二つの物質は相互に影響し合うはずだ。このような相互的な影響は、あらゆる力に共通するはずだ。
 つまり、片務的な重力作用があるということは、物理学的な原理にほとんど矛盾する。

 ──

 このような矛盾を解決する方法は、論理的に、ただ一つしかない。次のことだ。
 「暗黒物質は瞬間的に消滅する」

 つまり、発生しても、(ごく短い時間を経たあとで)瞬間的に消滅する。これならば、次のことが成立する。
  ・ 暗黒物質と、他の物質とは、たがいに重力を及ぼしあう
  ・ 暗黒物質は、重力に引かれても、瞬間的に消滅するので、移動しない。


 後者の「移動しない」というのは、次のことを意味する。
 「暗黒物質が発生したあと、重力に引かれるが、瞬間的に消滅するので、暗黒物質が移動する量はごくわずか(Δx)である。その後、消滅して、エネルギーに転じるが、エネルギーは真空中をほぼ自由に移動できるので、先に移動した量(Δx)を戻してしまう。戻してしまう理由は、エネルギー密度の勾配をなだらかにすることだ」


 結局、次のようにまとめられる。
 「暗黒物質は、重力の影響を受けるが、重力の影響を受ける時間があまりにも短いので、エネルギーの形になって、移動量を帳消しにしてしまう。そのせいで、実質的には、暗黒物質は移動しない。つまり、いつまでも真空中に均一に分布する」

 ただし、ここでいう「均一に分布する」というのは、あまり大きくない範囲のことである。銀河団のように非常に大きな範囲では、その非常に大きな範囲ではことさら高い密度になっていてもおかしくない。

 ──

 以上のことの本質を言えば、こうなる。
 「暗黒物質と暗黒エネルギーは、等価である」


 つまり、真空中には、エネルギーが満ちている。それは暗黒エネルギーだ。その暗黒エネルギーが、ときどき、仮想粒子のような形で、暗黒物質に転じる。ただし、暗黒物質は、いったん生じても、すぐさま崩壊して、ふたたび暗黒エネルギーに転じる。

 ここでは、次の原理が重要だ。
  「質量は、エネルギーと相互に転換する。(等価である。)」

  ( → 質量とは何か?

 この原理からすれば、次のことも言える。
 「暗黒物質の分布がきわめて稀薄だとすれば、暗黒物質の質量はかなり大きい」


 真空中では、粒子と反粒子の対発生と対消滅がしばしば起こる。このことは、軽い粒子ほど起こりやす、重い粒子ほど起こりにくい。電子ならば軽いので、非常に多数が起こる。一方、陽子や中性子ならば重いので、あまり起こらない。暗黒物質はどのくらいかというと、たぶん、陽子や中性子よりももっと重いのだろう。その理由は、まだ検出されていないからだ。
( ※ 陽子よりもかなり重い範囲までは、加速器や衝突器で検出されている。検出限界は、ヒッグス粒子のあたり。そのあたりの範囲の粒子については、まだよくわかっていない。このあたりよりも重いあたりに、暗黒物質の粒子はありそうだ。)
 ともあれ、暗黒物質の寿命は、非常に短い。とうてい安定的な物質とはなりえない。

 暗黒物質が他の粒子と異なる点は、電磁気的な力や、弱い相互作用・強い相互作用などの量子的な力を及ぼされない、という点だろう。
 とはいえ、暗黒物質には質量があるので、重力の影響だけはあるはずだ。(ただし瞬間的に消滅するので、実質的には重力の影響がほとんど見られない。)

 以上のように考えれば、整合的であろう。(私の仮説・推論。)
 
 [ 付記1 ]
 「暗黒エネルギーとは何だ?」
 という質問には、次のように答えられる。
 「真空はもともと無の空間ではなく、超球に満ちた空間である」

 [ 付記2 ]
 「暗黒エネルギー(真空のエネルギー)から生じる物質は、暗黒物質だけか?」
 という質問には、次のように答えられる。
 「暗黒物質だけでなく、さまざまな物質が、(粒子と反粒子という)対発生の形で生じることができる。ただしその粒子は、比較的軽いものに限られるが」

 この意味では、「暗黒物質と暗黒エネルギーは等価である」というのは、いささか言いすぎである。暗黒エネルギーからは暗黒物質ではないものも発生するからだ。
 とはいえ、割合から言えば、暗黒エネルギーから生じるもののほとんどは暗黒物質である。(前項で述べたように「普通の物質は宇宙全体の質量の4%。23%は暗黒物質」ということからわかる。)
 宇宙における物質のほとんどは、普通の物質と暗黒物質であって、対発生の分は非常に小さいのだ。(……ただし、対発生の方は、暗黒エネルギーの方に含まれるのかもしれない。このあたりは、はっきりしない。)



 【 追記 】
 前項で述べたように、
 「暗黒物質とヒッグス粒子は同じだ」
 という説は成立しないと思う。つまり、次の式は成立しない
   暗黒物質 = ヒッグス粒子

 しかし、次の説は成立するかもしれない。
   暗黒エネルギー ≒ ヒッグス粒子

 つまり、「暗黒エネルギーを媒介する場として、ヒッグス粒子によるヒッグス場がある」という発想だ。暗黒エネルギーを媒介するものは、本項では「真空」だと考えているが、「真空」を「ヒッグス場」と見なすこともできるからだ。
 このことと、本項の内容(暗黒物質と暗黒エネルギーの等価性)を合わせると、次の近似式が成立する。
   暗黒物質 ≒ 暗黒エネルギー ≒ ヒッグス粒子

 最初と最後をつなぐと、
   暗黒物質 ≒ ヒッグス粒子

 これは、前項の仮説に似ている。前項の仮説(細谷説)は、この意味ではおおよそ正しいのかもしれない。
 


 【 関連項目 】

  → 質量とは何か?
  → 重力と電磁力の対称性
  → 粒子の出現
posted by 管理人 at 19:19| Comment(4) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕はニュートリノの塊だと思います!
カミオカンデにて、キセノン1000リットルのプールにて、キセノン原子への衝突で、観測されましたので!
Posted by 多田裕光 at 2011年06月03日 23:28
わたくしは間違った解釈をしていたのですね。
ヒッグス粒子が発見される前の本を読んでました。
ニュートンという月刊誌を読んでませんでした。
ヒッグス粒子の説も有るのですね。
大変勉強に成りました。
Posted by 多田裕光 at 2013年08月19日 13:32
勉強不足で知らないだけかも知れませんが、これで統一場理論は成立したのでしょうか?
Posted by tom-J at 2013年10月17日 17:09
統一場理論はヒッグス粒子で完結したが、統一場理論では暗黒エネルギーや暗黒物質は解明されていない……というのが公式見解です。ググればわかる。
Posted by 管理人 at 2013年10月17日 17:40
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