包丁などの刃物で手を切ってしまった場合、ぱっくりと開いた傷口をふさぐにはどうすればいいか? いくつかの方法を示す。 ──
包丁などの刃物で手を切ってしまうと、ぱっくりと開いた傷口ができる。この傷口をふさぐにはどうすればいいか?
医者ならば「糸で縫う」という発想をするところだが、糸で縫うほどの大きな傷ではない。深さは数ミリ程度。長さは1〜2センチ程度。血はかなり出るが、傷口をふさげば、血は止まる。(刃物の傷はきれいな傷だ。) だから、傷口をうまくふさげばいい。
では、どうやって傷口をうまくふさぐか?
(1) 傷バンド
傷バンド(バンドエイドなど)を使う、というのが、よくある発想だ。しかし、今回のような場合には、適さない。傷口をふさぐ効果はないからだ。単に傷口の上にガーゼをかぶせるだけだし、出血は止まらない。ほぼ無意味。
(2) テープ
傷バンド(バンドエイドなど)の、ガーゼ部分を除去して、残りのテープ部分だけを使う。これを傷口の上にぴったりと貼りつける。すると、出血は止まる。(あるいは、ガーゼ部分を横にずらして、テープ部分だけを使う。)
この方法は、けっこう有効だ。私は以前は、この方法を使っていた。指先以外の指を切った場合には、これで十分だ。円筒形の部分にテープを貼っていると、止血され、そのまま治癒していく。
ただし、指先には適さない。指先は、曲面上だし、油を分泌するらしい。そのせいで、数時間すると、剥がれてしまう。効果が持続しないのだ。おまけに、指先にごわごわした感じがあるので、感触が悪い。キーボードを打つのにも不便だ。
(3) ゴム糊
ゴム糊(のり)を使う、というアイデアがある。ゴム糊を細長く出して、しばらく乾かして少々固くしてからから、(テープがわりに)傷口の上に貼りつける。これによって傷口はぴったりとふさぐ。しかも、効果はかなり長く続く。容易には剥がれない。(ゴム糊は剥がれにくい。テープとは違う。)
これはけっこう、いい方法だ。大きな傷には適さないが、小さな傷にはこれだけで十分。
やや大きな傷の場合には、傷口の周囲にゴム糊を塗ってから、傷バンドのテープを貼ればいいだろう。
[ 付記 ]
上記のテープと似たもので、医者が専門に使う「手術用のテープ」というのもある。「ステリ・ストリップ」という名前。(検索すれば見つかる。)
値段は滅茶苦茶に高い。万札がポンポン吹っ飛ぶ。柔らかくて剥がれにくいということだが、外科手術をしたわけじゃないし、たかが切り傷ぐらいで、こんな高額なものは使えない。
【 補足 】
本項で述べたことは正しい。医師が本項と同様のことを述べていて、症例の写真も示している。
→ http://www.wound-treatment.jp/next/wound359.htm
→ http://www.wound-treatment.jp/wound055.htm
→ http://www.wound-treatment.jp/wound047.htm
→ http://www.wound-treatment.jp/next/wound196.htm
ここでは、刃物によるきれいな傷だけでなく、傷口がぐちゃぐちゃしているような場合でさえ、テープによる治療が可能とされている。詳しくは上記リンク先を参照。
【 補説 】
傷口については、消毒の必要はない。水洗いして清潔にするだけで十分である。消毒薬などの薬剤の塗布は不要。
このことは、傷口が露出しない「刃物のケガ」の場合には、もちろん当てはまる。しかも、それだけでなく、(傷口が露出しているような)一般の傷口にも当てはまる。下記項目を参照。
→ 知的な書評ブログ 「傷口は消毒するな」
【 追記 】
刃物の傷のような、きれいな傷なら、傷口は露出しない。だから、本項のようにすればいい。(テープまたはゴム糊。)
では、傷口が露出するような傷では、どうか? これに対して、「アロンアルファを付ける」という人がいる。
→ 実例(写真付き)
しかし、こういうふうに自分でも「怪しいな」と思う方法(自己流の方法)を使うときには、専門的な知識をネットで探るといい。すぐにわかる。
→ OKwave
それによると、傷口をいためる行為は、とんでもない。出血を抑えることは抑えるが、治療効果が悪くなる。
ではどうすればいいかというと、液状絆創膏というものがある。商品名は「コロスキン」である。詳しくは、検索するといい。
→ 液状絆創膏 コロスキン
これはほとんどアロンアルファとそっくりな商品であるようだ。
ただし、である。私の医学的な判断からすると、これは、功罪なかばする。
・ 治癒は遅くなる。治癒には逆効果。
・ 治療中、手仕事をするのに差し支えない。
こんなものを使えば、傷口に変なものがくっついている状態だから、治癒は遅くなる。ワセリンのような柔軟なものを使って清潔さを保っている方がよほどいい。(「傷口は消毒するな」の項目に記したとおり。)
しかしながら、ワセリンと包帯という方法では、柔らかすぎて、手仕事に差し支えが出る。工員のような人には、固いものでしっかり固定しないと不便だろう。というわけで、アロンアルファを使うという案も出てくる。ただし、その点では、すぐ上の液状絆創膏の方が好ましい。
いずれにせよ、傷口にしみるようなものは、使わない方がいい。私のお勧めは、こうだ。
「傷口を清潔にする。その上にワセリンをかぶせる。その上に何らかのシール(広ければサランラップ)をかぶせる。その上に、やや固いシートを載せて、その上から、液状絆創膏またはアロンアルファで固める」
簡単に言えば、二層構造だ。傷口はワセリンなどで保護するが、その外側はアロンアルファふうのもので固める。接着剤だけでは強度が保てないようであれば、何らかのシートで強度を付ける。
この方法が駄目であれば、液状絆創膏を塗布する。
とにかく、傷口にアロンアルファを直接付けるのは、野蛮すぎる。それはやめた方がいい。少なくとも、液状絆創膏の方にしよう。
2010年01月17日
過去ログ
家庭での処置では@水道からの流水でゴミを除去し、A清潔なガーゼやタオル、ティッシュなどで圧迫して止血し、B小さな切り傷ならば液状絆創膏を使用し、大きな傷や擦り傷などではこのような商品(☞ http://www.zuiko-medical.co.jp/P_indi.html )で余分な浸出液を排除しつつ充分な湿潤環境を保つ……というのがオススメだそうです。