2010年01月07日

◆ 最古の両生類?

 最古の両生類の「足跡」の化石が見つかった。生物の化石でなく、足跡の化石なので、直接の証拠ではないが、とても有力。
 この化石の意味は、「化石の年表」が書き換えられる、ということだ。従来の推定よりも かなり前から、両生類は誕生していたらしい。 ──

 まずは記事の引用から。
 《 最古の両生類の足跡か=4億年近く前の化石発見 》
 ポーランドの約3億9500万年前(デボン紀)の地層に、魚類から進化して間もない時期の原始的な両生類(四足動物)の足跡が化石として残っていたと、ワルシャワ大などの研究チームが7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。過去に見つかった四足動物の最古級の身体化石より約1800万年古く、脊椎(せきつい)動物の水中から陸上への進出は、意外に早かった可能性が出てきた。
 足跡のサイズは大小あり、連続しているものと単独のものがあった。連続した足跡の中には、腹や尾をひきずった跡がなく、全長40〜50センチの四足動物が身体を左右にくねらせて歩いたと考えられる跡があった。単独の足跡の中で最大のものは、幅が 26センチある左後ろ足の跡で、この動物は全長が約 2.5メートルもあったと推定される。
( → 時事通信 2010-01-07
 どんな化石かということは、朝日の記事に図があるので、そちらの図を見てほしい。
  → 朝日新聞 2010-01-07

 ──

 今回の発見がなぜ重要かというと、従来の見解は次の図のようになっていたからだ。
  → Wikipedia 両生類の進化

 この図では、時間と進化とが、ほぼ比例している。
 ところが、今回の化石によると、3億9500万年前(図では 395 のところ)で、早くも四足動物が存在していたことになる。これは図に合致しない。
 図によれば、 395 のところでは、まだヒレのある魚類がいるだけのはずだ。また、四足動物が誕生するのは、365 のころであるはずだ。
 なのに、今回の化石では、最古の両生類はずっと早くから誕生していたことになる。……こうして、従来の年表は、書き直されることになる。

 ──

 そこで、「今回の化石は、足跡だけだから、まだ決定的だとは言えない」というふうに留保を取る立場もある。
  → ナショナルジオグラフィック

 とはいえ、このページにある別人の見解のように、「共存していた」と見なす方が妥当だろう。
 進化前と進化後の生物が同時期に存在していたことになる …… (それは)生物進化の過程では珍しくない現象だ
 ──

 なお、今回の発見では、もう一つ大事なことがある。
 それは、「水中から陸上へ」という変化の経由地が、淡水の浅瀬でなく、海辺の浅瀬であった、ということだ。これは、従来の見解とは、異なる。(従来の見解では、淡水の浅瀬であったから。)
 時事通信の記事には、次の一節もある。
 化石の発見場所は当時、海の浅瀬か海岸近くの湖だったとみられ、この四足動物は、1日2回ある干潮時に、取り残された小魚などを捕らえていた可能性がある。初期の四足動物はこれまで、川辺などに生息したとみられてきたが、「上陸」が海岸で起きたと考えた方が、理由を説明しやすいという。

 とはいえ、実際には、(淡水と海辺の浅瀬という)「両方があった」と見なす方が妥当だろう。朝日の記事にもあるが、
 「この地層の時代に四足動物がすでに多様化していた可能性が高い」
 というふうに言えるだろう。
 3億9500万年前から、3億6500万年前までというと、3000万年もある。その間に、両生類が世界の各地にひろく進出していたとしても、おかしくはない。特に、海洋性の生物であれば、海を通じて、世界中に分布できるからだ。

 なお、淡水の浅瀬と海辺の浅瀬のどちらが先か、というのは、興味深い話題だ。従来の説では、淡水の方が有力であるようだが、今回の発見で、海辺もかなり有力になったことになる。
 ただし、どちらであるかを決定するには、まだまだ資料不足であろう。現段階では、どちらとも決定できまい。

 [ 付記 ]
 「どちらとも決定できない」
 とすぐ上に述べたが、実は、次の仮説も成立する。
 「両生類は、淡水の魚から進化したタイプと、海辺の魚から進化したタイプの、二種類があった」

 つまり、「両生類は二系統あった」という仮説である。
 ただし、初期の両生類を「淡水系」「海水系」の二種類に分類することは、ちょっと無理かも。そもそも、見つかっている化石も、少なすぎる。
 今のところ、何とも言えないようだ。



 [ 余談 ]
 余談だが、ティクターリク という生物(魚類と両生類の中間にあたる生物)の化石が見つかったのは、2004年で、調査の発表は 2006年だ。
 そして、今回のニュースは、2010年だ。
 つまり、近年、化石の調査は急速に進んでいる。この分だと、あと5年後には、またもや新たなニュースで、化石の年表が書き換えを迫られるかもしれない。

 ついでに言うと、魚類と両生類の中間段階には、ティクターリクのほかに、ペデルペス もある。この化石が発見された時点は 1971年だが、そのときには魚類の化石だと見なされていた。これが四肢動物の化石だと判明したのは 2002年である。
 やはり、近年の研究の進展は、めざましい。
( ※ ついでに言えば、最古の人類ともいわれるラミダス猿人も同様だ。化石の発見は 1992年だが、化石から全身像が復元されたのは、ほんの3カ月前だ。 → 本サイトの該当項目
( ※ 近年の研究がめざましいのは、ひょっとしたら、パソコンと関係があるのかも。IT技術のおかげで化石の整理が進んだ、というわけ。そうとでも考えないと、「成果が続々と出るラッシュ状態」というのが、説明しがたい。)
posted by 管理人 at 20:27| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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