豚インフルエンザによる死者は、免疫力の低い人に限られている、と言える。
・ 基礎疾患患者
・ 小児
・ 妊婦
・ 高齢者
などである。特に、持病を持つ高齢者が多い。
厚生労働省は 28日、新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡した人が 100人を超えたと発表した。25日現在、医療機関から 1899件の副作用報告があり、入院相当以上の重篤が 294件、死亡が 103件含まれていた。この間の推計接種者は 1492万人で、死亡の報告頻度は0.0007%だった。一方、健康な大人の死者は、非常に少ない。ただし、皆無ではなく、ときどき支社が報告される。たとえば、次の例だ。
死亡者のうち 80人が70歳以上で、持病を持つ優先接種対象者だった。
( → 毎日新聞 2009-12-29 )
(1) タミフル耐性(1) の死因は不明だが、タミフル耐性があったということから、タミフルを処方しても意味がなかっただろう、とは言える。(リレンザならばともかく。)
静岡県は28日、インフルエンザ肺炎で今月1日死亡した県内の40代女性から、治療薬「タミフル」に耐性がある新型インフルエンザウイルスが確認されたと発表した。亡くなったこととの因果関係は不明という。
( → 毎日新聞 2009-12-29 )
(2) ぜんそく
茨城県は18日、新型インフルエンザに感染した水戸保健所管内に住む40歳代の女性が同日午前に死亡したと発表した。新型インフル感染者の死亡は県内3例目。死因は感染による呼吸不全や心不全などで、女性にはぜんそくの既往症があった。
( → 毎日新聞 2009-12-19 )
(3) 高血圧
大分県は28日、新型インフルエンザに感染した別府市の40代女性が肺炎などで死亡したと発表した。高血圧の基礎疾患(持病)があった。
県によると、女性は25日に発熱し、28日に自宅トイレで倒れているのを同居の家族が見つけ救急搬送したが、死亡が確認された。
( → 共同 2009-12-29 )
(2) は、ぜんそく持ちだから、もともとタミフル処方の対象となる。単にタミフルかリレンザを処方すればいい。あとは神まかせ。
(3) は、ちょっとわからない。高血圧があったということだが、高血圧は高齢者では多く見られるし、インフルエンザで死ぬ危険因子とはならないはずだ。死因は不明。
──
さて。(3) の人は、特に危険因子があったとは思えないらしい。(詳細は不明だが、現時点では特に基礎疾患などもない。)
では、この人の場合はタミフルを処方した方がよかった、と言えるだろうか? 微妙なところだが、私としては、「タミフルを処方するべきだった」とは言えないと思う。
冒頭の引用で記されているたように、豚インフルエンザで死ぬ人は非常に少ない。これほど少なければ、「豚インフルエンザで死んだ」とは言えないと思う。では、なぜ、死んだのか?
私としては、次の二つを掲げたい。
・ もともとの個人差で、例外的な事例。
・ 安静せず、無理をして働いていた。
個人差で、免疫関係が弱くて、死んでしまう、ということは考えられる。
また、安静せず、無理をして働いていた、ということも考えられる。
いずれにせよ、免疫力を低下させる、何らかの原因があったと想定される。
私としては、特に後者を懸念する。
「豚インフルエンザは危険な病気ではない」
と言えるのだが、それは、「健康な大人が、きちんと安静していた場合」に限られる。
一方、ふだんから睡眠不足で疲れ切っている大人とか、病気になっても動き回っている大人とかは、「健康」の程度がもともと低下している。こうなると、本来は健康であった人も、一時的に健康のレベルが低下している。そこへウイルスが襲いかかると、その人が死んでしまうことも、稀には起こるだろう。時たま死者が出たとしても、不思議ではない。
そこで、私としては、次のように結論したい。
「豚インフルエンザは、死亡率は極端に低く、危険な病気ではない。ただし、危険性が皆無なわけではない。その危険性を避けるには、やたらとタミフルを飲めばいいのではなく、普段から健康に注意しておくべきだ。疲れきって睡眠不足になっている、というような状態は、避けるべきだ。また、発症したあとで動き回るのも、避けるべきだ。普段から睡眠を十分に取るといい。また、発症したら、ちゃんと寝ているといい。……こうすれば、タミフルを飲む必要はないだろう。」
逆に言えば、疲れきって睡眠不足になっている、というような状態の人は、たとえ健康な大人であっても、発症したらタミフルまたはリレンザを服用するといい。(ハイリスクの虚弱者に準じる。)
また、たとえタミフルまたはリレンザを服用したとしても、発症後に動き回ったりしていたら、死ぬかもしれないし、インフルエンザ脳症になるかもしれない。自殺行為だ。そこまでは誰も責任を持てない。
インフルエンザの場合、大切なのは、薬ではなくて、本人の免疫力なのだ。これが最も重要な点である。免疫力を高めることが最優先の課題となる。
この意味で、やたらと「タミフルを飲め」と勧める感染症学会の方針は、妥当ではない、と考える。薬ばかりに頼るような方針は、薬学的かもしれないが、医学的ではない。感染症学会の方針は、どうも、研究者の方針という面が強く、医者の方針という面が弱い。彼らは「病気は人間的なものだ」という面を見失っているようだ。もっと人間に着目してもらいたいものだ。
[ 付記 ]
免疫力を高めるという点では、抗インフルエンザ薬よりは、漢方薬の方が有効だろう。この点、前に紹介した麻黄湯の方が、推奨できそうだ。(漢方薬は体質を改善する。)
→ タミフルと風邪薬
( ※ タミフルと麻黄湯では、効果にあまり差はない、という話。)
[ 余談 ]
冒頭の記事にある「推計接種者は 1492万人で、死亡の報告頻度は0.0007%だった」というのは、ちょっと数字がおかしい。ワクチンの接種者総数に対して、インフルエンザ死亡者を計数している。意味がない。意味があるのは、次の数字。
・ インフルエンザ感染者数に対する、インフルエンザ死亡者 ( → 数字 )
・ ワクチンの接種者数に対する、ワクチンの副作用の死亡者
なのに、「ワクチンの接種者数に対する、インフルエンザ死亡者」を計数しても、意味がない。
ついでだが、「ワクチンの副作用の死亡者が 100人以上」ということは、ありえない。記事を読むと、そんなふうな印象にも読めそうだが、そんなことはありえない。副作用でそんなに死者が出たら、大騒ぎになっているはずだ。
