2009年12月10日

◆ 鳥と恐竜(進化)

 本項を書いたあと、のちに「鳥類と恐竜」との関係について、全面的に書き直した。まとめとしては、次の項目を見てほしい。
  → 恐竜と鳥の系統図

 通説の難点については、下記を参照。
  → 鳥と恐竜(通説の矛盾)

 また、関連する一連の項目は、カテゴリ別の目次を見て、2010年9月の各項を見てほしい。
  → カテゴリ 「生物 ・進化」

      ( ※ 本項の実際の掲載日は 2009-12-22 です。)

 本項では、「翼はいかにして生じたか?」という問題に答える。その回答は、
 「前肢が少しずつ翼に変化したのではなく、前肢がいったん消滅してから翼が生えた」

 ということだ。
 これ以外のこと(恐竜との系統関係)などについては、冒頭に記したリンク先を参照。
 
  ──────────────────
  
 鳥は恐竜から進化した、という説がある。これは、おおざっぱに言えば正しいが、「前肢が翼に変化した」という意味では正しくない。(恐竜の)前肢がいきなり翼に変化するはずがないからだ。

 ──

 現在の主流の説は、「鳥は恐竜から進化した」というものだ。つまり、次の図式。
   恐竜 → 鳥


 これは、おおざっぱに言えば正しいが、厳密には正しくない。なぜなら、次の二点の問題があるからだ。
  ・ (恐竜の)前肢がいきなり翼に変化するはずがない。 (論理)
  ・ 「恐竜と鳥の中間」という種が確認されていない。  (化石)


 この二つの難点があるがゆえに、
   「鳥は恐竜から進化した」
 という説は成立しない。つまり、定説は正しくない。(論理的にも化石的にも。)

 比喩的に言えば、
   「人類は類人猿から進化した」
 という説は成立するが、
   「人類は両生類から進化した」
 という説は成立しない。それと同様だ。
 もっと比喩的に言えば、
   「1階の次は3階である」
 という説は成立しない。それと同様だ。
 (その順序が成立しないということではなく、途中の中間が省略されているという意味で。)

 ──

 論理的にも化石的にも成立する説は、ただ一つ。次の進化だ。
   恐竜(獣脚類) → 走鳥類 → 鳥類

 つまり、恐竜と鳥類の間に、走鳥類という中間種が入っている。これなら、論理的にも化石的にも、整合する。

 では、二つの説の違いはどこにあるか? 
    前肢 → 翼

 という変化(進化)が起こるかわりに、次の変化(進化)が起こる。
    前肢 → 消滅 → 翼

 つまり、恐竜の前肢は、走鳥類においていったん消滅する。その後、鳥類において、あらたに翼が生えてくる。

 ──

 このように、「いったん消滅してから別のものに変化する」という進化は、進化の過程でしばしば見られる。
 例としては、血液型の進化がある。次の順だ。
   A型 → O型 → B型


 血液型の違いは、「糖鎖」と呼ばれる部分の違いである。A型の血液はA型の糖鎖をもつ。B型の血液はB型の糖鎖をもつ。O型の血液はA型の糖鎖もB型の糖鎖ももたない。
 歴史的には、上記のように、「A型 → O型 → B型」という順で生じた。これは、次の順を意味する。
   A型糖鎖 → A型糖鎖なし → B型糖鎖

 つまり、A型糖鎖がいったん消滅したあとで、それとは別のものが出現したことになる。

 ──

 ここで注意。B型糖鎖は、A型糖鎖とまったく異なるわけではない。A型糖鎖の一部分が違っているだけだ。(化学構造でも、遺伝子レベルでも。)
 同様に、鳥類の翼は、恐竜の前肢とまったく異なるわけではない。恐竜の前肢の一部分が違っているだけだ。(構造でも、遺伝子レベルでも。)

 ──

 このように、「走鳥類を経由する」という形においてのみ、
    恐竜 → 鳥類

 という進化は、きちんと説明される。つまり、正しくは、次のようになる。
    恐竜 → 走鳥類 → 鳥類

 これが正しい順序だ、ということを、理解しておこう。



 【 補説 】
 本項のポイントは、次のことだ。
 「前脚から翼へ、という変化は、起こるはずがない」

 この変化は、直接的には起こらず、間接的にのみ起こる。(いったん「消滅」という途中段階を経る必要がある。)……このことが重要だ。

 ではなぜ、そう言えるのか? それは、次のことからわかる。
 「前脚と翼の途中段階の形態は、存在しえない」

 前脚でもなく翼でもない、という中間的な器官は、あまりにもいびつであるがゆえに、存在しえないのだ。仮に存在するとしたら、その器官は、前脚と翼の中間的な形態を持つ。次のように。
 「腕として見れば、腕も指も中途半端なのに、無駄な羽毛を生えている」
 「翼として見れば、飛翔力が不十分なのに、余計な指が伸びている」
 このような器官をもつ生物が生存できる領域はありえない。だから、そのような生物は存在しえない。

 この点は、魚類から両生類への進化とは、異なる。
 魚類から両生類への進化では、「ヒレと前肢の途中段階」というものが存在しえた。それは、次のような形態を持つものだった。
 「骨をもち、太くて頑丈でヒレ。ちょっとは足のかわりとなるようなヒレ」
 このような器官をもつ生物が存在できる領域はあった。それは「浅瀬」である。「浅瀬」は、水中と陸上の中間的な領域であり、そこでは、ヒレと足の中間的な器官が存在しえた。

 鳥類の場合には、それは成立しない。「空と陸地の中間的な領域」という場所は存在しないし、「前肢と翼の中間形態」という器官は存在しえない。それゆえ、
    前肢 → 翼

 という変化(進化)は起こりえない。かわりに、

    前肢 → 消滅 → 翼

 という変化(進化)が起こったのだ。そして、その途中段階に当たるものが、「走鳥類」である。
 走鳥類が恐竜と鳥類の途中段階にあることは、遺伝子レベルでも確認されている。また、形態的にも、確認されている。たとえば、オビラプトルという鳥型恐竜(最も新しい恐竜)と、ニワトリとを比べると、よく似ていることがわかる。
   → オビラプトルの画像
   → ニワトリの画像

( ※ ニワトリは走鳥類ではないが、走鳥類に最も近い鳥類である。走鳥類には、ダチョウなどがいる。これは、オビラプトルとニワトリの中間的な位置にいる。)



 [ 付記1 ]
 本項で述べた「鳥類」とは、現生鳥類(新鳥類)のことを言う。
 一方、白亜紀末以前に滅びた鳥類(古鳥類)は、事情は別だ。始祖鳥などの鳥類は、恐竜から出現したと見なされている。これらの鳥類は、「空を飛ぶ恐竜」と見なしてもいいだろう。
( ※ 空を飛ぶものを鳥類と見なす、という認識をしない。もしそんな認識をするのであれば、コウモリも鳥類になってしまうからだ。)

 [ 付記2 ]
 なお、始祖鳥などの古鳥類においても、いきなり前肢から翼が出現したとは考えにくい。やはり途中段階において、いったん前肢が消滅していたはずだ。

 [ 付記3 ]
 「いったん消滅してから別の形で生じる」
 ということは、遺伝子的に説明がなされる。かなり面倒な話になるが、下記で詳しく説明されている。
   → 第2部 概要

 [ 付記4 ]
 本項で述べたことは、下記のページと、ほぼ同趣旨である。
   → クラス進化論の概要 §鳥類の進化
 本項では、ずっと前に述べたことを、新たに書き直しただけだ。
 
 [ 付記5 ]
 本項で述べたことは、学会の常識ではない。私の主張する説である。
 ただし、論理的にも化石的にも、これ以外には成立し得ないはずだ。
 (恐竜が空にむかってジャンプしたから鳥になった、という説もあるが、破綻している。恐竜が空にむかってジャンプすれば、恐竜の前肢が翼に変化するのではなく、恐竜が地面に衝突してつぶれるだけだ。)



 【 関連項目 】
 鳥の進化については、下記項目でも言及している。
  → 鳥類の進化
 この項目には、次の図もある。

bird.gif


 詳しくは、上記項目を参照。
posted by 管理人 at 22:20| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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