IT機器で最先端の分野は、部品装置だ。特に、ステッパーだ。ステッパーは、日本のニコンとキヤノンが優勢だった。ところがいつのまにか敗北してしまった。 ──
ステッパーというのは、半導体の露光装置で、きわめて高度な技術を要する。パソコン機器の組み立てよりも、はるかに高度な産業だ。
ステッパーの分野では、長らくニコンとキヤノンが二大勢力を保っていた。ところが、いつのまにか、オランダの弱小メーカーに負けてしまった。
→ ニコンとキヤノンの敗北
理由は? オランダのASMLという会社は、ステッパーをモジュール化してオープンにしたからだ。比喩的に言うと、Windows のマシンの部品を IBM 互換機という形でオープンにしたことに相当する。こちらが圧倒的な勢力を持つようになった。一方、自社で完結する閉鎖的なシステムを取る会社(ニコンとキヤノン)は、敗北した。アップルがマイクロソフトに負けたのと同じ構図。
このような流れは、もはや変えられない。となると、ニコンとキヤノンが生き延びるすべは、次のことだろう。
「両者のステッパー部門は、合併して、同じオープンな規格の上で勝負する。つまり、相手の土俵に乗る」
「一方、レンズ部門は、ニコンとキヤノンがそれぞれ独自に開発する。ただし、規格は、そのオープン規格で」
これ以外には、生き延びるすべはない、と思える。ただし、現実には、その経営方針は取られないだろう。両社とも、経営者が馬鹿だから。
というわけで、ニコンとキヤノンは、いずれは、ステッパー事業で大赤字を出して、ステッパー事業から撤退する運命となる。GM やクライスラーと同じ。(ただし、アップルのように、シェア5%で細々と生き残る可能性もあるが……コスト的に、まず無理ですね。市場規模が全然小さいんだから。)
過去の成功体験に縛られて、時代の流れに乗りきれない。……こっちの愚かさの方が、スパコンよりも、よほど問題ですね。
それにしても、両社の馬鹿な経営者に、何とか言ってやれないものか。まともな経営判断ができる人なら、教えてあげることができるのだが。
[ 付記 ]
池田信夫のような人は、買うことばかりを考えていて、生産することを考えないから、「ニコンとキヤノンがつぶれたっていいさ。オランダの会社から買えばかえって安上がりさ」と述べるのだろう。
ただし、ニコンやキヤノンなどが、先端企業がみんなつぶれてしまえば、日本は途上国化する。円は暴落して、1ドル= 1000円ぐらいになるかもしれない。そうなったら、輸入品には、(円建てで)とんでもない高続の金を払う必要がある。
「買えば安上がりさ」なんて考えていると、失業者となり、所得がなくて、買うための金を得られなくなるのだ。……それを理解できないのが、市場原理万能主義者。買うことばかり考えて、作る能力を忘れている。
2009年12月01日
過去ログ

結果、日本国内メモリーを含むLSI事業は縮小の道を歩み、半導体事業はほぼ壊滅した。
一方、そのステッパーを買った企業は一気に業界トップで世界制覇へ。というのはスパコンの話にも通じるモノがありますね。
そして半導体等の露光技術で陰の盟主を気取っていたキヤノンやニコンのブラックボックス戦略がオランダのモジュール/オープン戦略に追いやられるとは想像できませんでした。
「生物と無生物のあいだ」の核心も実は同じ!!
今後とも「神の目」にてご活躍下さい。
今日ではネットは有効な情報媒介です。ただし、情報エントロピーが増大しすぎています。
クダラナイ講義をする「世界をだます、詐欺師」者ばかりですので貴殿にご期待しております。
ニコンはステッパー部門が大赤字で、11年ぶりの赤字決算。
http://plaza.rakuten.co.jp/NYLDN/diary/200908050001/
キヤノンは部門の人員を約3割減らし、新機種の開発凍結。
http://unkar.jp/read/anchorage.2ch.net/bizplus/1246315550
もしかして撤退準備か?
https://news.mynavi.jp/article/20200724-1172940/
5nm プロセスの製造ができなくなったせいだ。
https://www.semiconportal.com/archive/blog/insiders/hattori/200805-5nmeuv.html?print
https://biz-journal.jp/2021/02/post_207910.html
――
最後のリンクにある 湯之上 隆 については、前に詳しく言及した。
→ http://openblog.seesaa.net/article/435849123.html