GMはいったん倒産したあと、政府の融資を受けて、再建された。( → Wikipedia )
最近では業績が改善しており、公的資金返済を予定より早く返済するという。また、独政府が提供したオペルへの支援金返済も、今月末までに完了するという。( → AFPBB )
つまり、米国政府がGMに政府資金を投入させて、GMを再建させたことは、正しかったわけだ。
これは経済学的には自然な判断だが、池田信夫ならば、「GMなんかたたきつぶしてしまえ」と言っていただろう……と推測して、調べてみたら、まさしくそうだった。
GMには金融のような外部性はないので、裁判所で処理すべきだ。ユナイテッド航空も、破産したが飛行機は飛んでいる。Gartenもいうように救うべきなのは企業ではなく労働者だから、GMにつぎ込む金があったら失業給付や労働者再訓練にあてたほうがいい。( → 2008-11-10 )──
クルーグマンは、GMの救済まで提案している。またポストがほしいのだろうが、オバマはこういう「無責任」な人物を政権に入れるのはやめてほしいものだ。( → 2008-11-17 )
このように池田信夫は、「GMなんかぶっつぶしてしまえ」と主張していたわけだ。そして、それに従っていたら、今ごろは、「失業給付や労働者再訓練」に該当する失業者が全米にわんさとあふれていただろうし、それにともなって、連鎖倒産する企業も莫大に出ただろうし、連鎖失業する労働者も莫大に出たはずだ。
一方、オバマは、政府資金を融資した。そして、その融資は、予定より早めに返済されつつある。(上記の記事。)
米国が池田信夫の意見を聞いていたら、米国は破壊されていただろう。
また、私が推察するに、日産のゴーン社長が就任する前には、池田信夫は「日産自動車なんか整理して消滅させてしまえ」と言っていたのではなかろうか?
ついでだが、ソニーや東芝やトヨタやホンダも、一時は大幅赤字だったから、池田信夫流に言えば、「市場原理で赤字を出すような企業はさっさと退出しろ」となっていただろう。
というか、デフレ期にはほとんどの企業が赤字だから、あれもこれも全部叩き出されることになるだろう。まさしく、日本破壊。
結論。
どこもかもが赤字になるデフレ期には、「赤字企業を退出させよ」と言い出したなら、あらゆる企業が退出を迫られる。「市場原理で経済が改善する」というのは、およそ現実から遊離した発想なのだ。
( ※ それは、「突然変異と優勝劣敗で進化が起こる」というダーウィン進化論と同様である。……単に待っているだけでは、有利な突然変異は起こらないし、有利な突然変異がないまま優勝劣敗を強めれば、どれもこれもがつぶれてしまう。……市場原理であれ、ダーウィン進化論であれ、現実無視の発想を取るから、とんでもない結論に至るのだ。)
[ 付記 ]
ついでだが、「そういうあんたはGMについて何と言っていたの?」という質問を出す人もいるだろうから、答えておく。私の見解は、次の通りだった。
・ GMは、破綻処理をしたあとで、再建。(米政府と同じ。)
・ クライスラーは、倒産させた方がいい。(米政府と異なる。)
( → 泉の波立ち 4〜5月 )
なぜか? GMの破綻では、一部部門を廃止した上で、残りを再建した。しかし、どうせなら、それらの一部部門を残して、もっとひどいクライスラーを廃止した方がいい。その方が国全体では効率的になる。
現実には、クライスラーが残っている。だが、クライスラーが存続可能かどうかは、まだ判明していない。はっきりしているのは、クライスラーが存在している分、現在のGMの業績はかなり悪化している、ということだ。

日産の再建はルノーが出資して行われたのだから、池田さんが当時ブログを持っていたとしても、反対しなかったでしょう。
GMの再建が偶然うまくいったからといって、それを一般化されては困ります。融資の判断を、政府が銀行よりもうまくやれるはずがありません。
政府の役割は、市場が健全に動くように、事前にルールを決めて、それを物理力をもって守らせることであり、そのつど、裁量的に行動することではありません。
→ http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011080401028
池田信夫は「政府資金の投入によるGM救済」にさんざん反対したが、現実には、その政府資金はすっかり回収されたし、GMは見事に回復した。
仮に池田信夫の言うように、GMを倒産させていたら、どれほどひどい弊害が生じたことやら。