スパコン開発について、専門家の評価が見出されたので、紹介して解説しておく。簡単に言うと、今回の富士通のスパコンは、抜群ではないにせよ、悪くない。 ──
スパコン開発について、あちこちで評価がなされているが、どれもこれも素人による評価だ。実は、私だって素人だ。(スパコン開発のプロではない。)
ところが、ネットを見ていたら、専門家の見解を見出した。そこで、以下で紹介する。
まず、私がざっとこのページを見たときは、「ずいぶん頭がいい人だ」と思った。日本語の文章は滅茶苦茶だし、ページは無味乾燥だが、理系の脳ミソが抜群だ。
書いたのは誰かと思って、トップページに行ったら、牧野淳一郎という名前。
→ Wikipedia
上記の経歴を見ればわかるように、プロ中のプロだ。評価するには最適の能力の持主だろう。
というわけで、「あとは当人の記述を読みください」と言いたいところだが、いかんせん、文章がわかりにくい。読んでもピンと来ない人が大半だろう。そこで、私がわかりやすく解説しておく。
なお、原文は、下記にある。
→ 「仕分け」雑感 (2009/11/25)
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このプロジェクトは、迷走したりして、褒められたものではないが、着実に成果を挙げてきた。特に、富士通はちゃんとやってきた。
今回のプロジェクトがもくろみ通りに完成したとしても、とうてい世界一にはなれない。価格性能比で、2倍ぐらい劣る。全然劣る。
しかし、現状では、10倍ぐらい劣る。それが2倍ぐらいにまでギャップを縮めることができるのならば、そう悪い話ではない。
かける費用は 1200億で、かける時間は3年弱。その結果としてできる性能向上は、演算性能で20倍近くになる。なかなかたいしたものだ。めざましい成果と言える。
では、これをやらなければ、どうなるか? Xeon や Opteron のような X86 系の CPU を使えばいいか? なるほど、現状なら、そう言える。しかし、将来的には、それは成立しない。
Xeon や Opteron のような X86 系の CPU をスパコンに使って価格性能比が高いのは、それの構造がデスクトップ用の CPU と共通しているからだ。現在では、この共通性ゆえに、Xeon や Opteron のような X86 系の CPU をスパコンに使って価格性能比が良くなっている。
しかし、今後は違う。デスクトップ用のコアは6コアに留まる(かわりに GPU を内蔵する)が、サーバ用は 8-12 コアとなり、両者の共通性は失われる。したがって、サーバ用は価格が大幅に上昇しそうだ。となると、現在の価格的な優位性は失われそうだ。
そこでインテルは、Larrabee という GPU を開発して、これにスパコン対応能力をつけている。( ※ インテルはこの技術開発のために莫大な資金を投入した。 → Wikipedia )
しかし Larrabee は、GPU としてはともかく、スパコン用途には向かない。市場がスパコンだけならば、生産量が少なすぎて、コストが高くなりすぎる。かといって、一般デスクトップ用の GPU として売ろうにも、一般のデスクトップは GPU を内蔵するタイプになるので、後付けの GPU を必要としなくなる。( GPU の市場は、統合チップセットや CPU との統合によって縮小・消滅しつつある。) Larrabee は売れそうにないし、コストが下がりそうにもない。
以上のように、富士通のスパコンのライバルと目されているものは、いずれもお先が真っ暗だ。それらは、もしかしたら成功するかもしれないが、成功する見通しは全然立っていない。
というわけで、富士通のスパコンは、そんなに悪くない。富士通のスパコンが最善だと言い切れるわけではないが、他のものだって、お先が真っ暗なのだし、どれか一つが有望だということはない。
ただ、富士通のパソコンが市場をもつためには、回路の配線幅が 45nm なのが痛い。これでは量産能力・コストともに限界がある。早急に 28nm 程度に移行する必要があるだろう。ここさえクリアすれば、結構何とかなりそうだ。
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以上で、紹介を終える。このあとは、私の感想。
私の見解は、「どのタイプのスパコンもすべてやれ」というものであったが、この私の見解に、上記の解説は、なかなか合致するだろう。
もしかしたら、富士通のタイプは、他のスパコンを大きくしのげるかもしれない。そうなる可能性も、なくはない。今のところ、先の見通しは、はっきりとしていない状況だ。この時点では、「せっかく蓄積してきた研究成果を、あっさり捨ててしまう」というのは、馬鹿らしい。
なお、どうしても捨ててしまいたいのであれば、「中国に売却せよ」というのが、私の主張だ。(前項などで示したとおり。)
中国が日本の素晴らしい研究成果を、あっさりと買収して、それで中国が世界に冠たるスパコン先進国になれば、日本にとって良い教訓となるだろう。「高速道路を無料化するために、せっかくのスパコン技術を売却したせいで、国家を衰退させた」という教訓ができれば、後世に残る教訓となる。ここは、後世に残るぐらいの大失敗をして、子孫に大きな教訓を与えるべきなのかもしれない。
( …… 皮肉ですよ。念のため。 (^^); )
( ※ ちょっと悔しい話もある。回路の幅の話があったが、私もこれには気づいていた。ただし、たくさん書くうちに、これについては書くのを忘れてしまっていた。ちぇっ。書いておけばよかった。そうすれば、専門家との一致性をうまく示せたのに。残念。今からでは証文の出し遅れ。悔しい。 (^^); )
[ 余談 ]
蛇足としての情報を加えておく。
東大の平木教授が評価をした。スパコン開発は当然だが、建物に費用をかけすぎたという無駄もある、という指摘。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091127_331927.html
たしかに、建物に費用をかけすぎたという無駄はある。しかし、これは、自民党政権では必要悪なのだ。建物に費用をかけることで、土建業者に金が回る。そのうちのいくらかが、自民党に回る。……これが自民党政権の利権システムだ。この利権システムを拒否すれば、スパコンプロジェクト全体が大幅縮小されかねない。
つまり、建物を建てるから、スパコンプロジェクトが可能となった。それが自民党の利権政治なのだ。
だから、「無駄だった」というふうに批判しても、仕方ない。日本の政治はそういうふうに汚れていたからだ。
「あの無駄はやめるべきだった」
というのは、民主党政権だからこそ言えることだ。当然だが、当時のスパコン関係者を批判することはできない。批判するなら、相手は自民党だ。
ま、建物という無駄はあったにせよ、スパコン開発推進を認めた自民党は、マシだった。ひるがえって、建物の無駄をなくすために、スパコン開発そのものをつぶしてしまえ、という民主党(仕分け人)は、最悪だ。
白川の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき
清ければいいというものではないのだ。
2009年11月27日
過去ログ

神のような人です。
それからたしかSPARCってSUNがオープンにしちゃった
やつを富士通が命令セット追加したりで使っていて
売るとなると製造設備とかがメインになってくるのであまり
大した値段にならないんじゃないかと。
SPARCのライセンスは詳しくわかりませんのでなんですが。
そうです。だからこそ、少なくとも最初は、国家による補助金が必要なのです。最初から商売が成立するなら、補助金は必要ない。
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07年(?)にIBMとCrayに対して計500億円注入して今から5年後に当時の100倍の速度のスパコンを完成させろと言っている
名前はどっちがどっちのメーカーか忘れたけどSequoiaとDown
そこから年間1500億円出して新製品買っては研究所の設置してる
年間1500億円出してるよ
それまでは05年以降コンピュータ関連予算は年間予算1000億円超だった
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1259298826/
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これは、2ちゃんねるの記述。信頼性はほとんどない。だけど、間違いとも言い切れない。とりあえず、参考のために転載しておきます。
からの引用。
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米Cray社製の『Cray XT5』(名称『Jaguar』)が、世界最速スーパーコンピューターの『TOP500』最新ランキングで首位に立った。
2000万ドルの支援を受け、プロセッサーを4コアから6コアにアップグレードした。
Roadrunnerが主に核爆発のモデリングなどを行なっているのに対し、Jaguarは地球の気候など、多量の演算を要する科学分野の研究に用いられている。
「スパコンを用いたモデリングやシミュレーションは科学の様相を変え、米国の競争力を高めつつある。オークリッジをはじめとするエネルギー省の各国立研究所は、エネルギーや気候に関する主要問題を解決し、米国をクリーンエネルギーの未来へ導く手助けを行なっている」と、エネルギー省長官のSteven Chu氏は述べている。
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まとめ。
米国は、さまざまなタイプのスパコンを並行的に開発している。
補助金も出している。
トップ(長官)は、スパコンの意義や重要性をよく理解している。
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《 参考 》 ひるがえって、日本の現状は?
日本は、1種類のスパコンにほぼ専念している。
補助金を出しているのは1つだけ。(あとはごく小額かゼロ。)
トップ(民主党)は、スパコンの意義や重要性をまったく理解していない。
米国と同様に日本のスパコンベンダーといえる
NEC、日立、富士通に250億ずつ渡して開発させても
年1500億円出して新製品買うような需要がもともと
ないですから。
という記述は、政府が年間1500億円出して、政府の研究所に設置している、という意味です。ロスアラモスとかね。
また、
「エネルギー省の各国立研究所」
という記述も、上のコメントに見出せます。
民間に 1500億円の需要があるという意味ではありません。その点は日本でも米国でも同じ。
米国は 1500億円を出して、自国内に設置して、その金を米国のスパコンメーカーに渡す。
いっぽう、自主開発反対派が主張しているのは、日本が 1000億円を出して、自国内に設置するが、ただし、その金を渡す先は、日本でなく米国のスパコンメーカーだ。
米国のスパコンを振興するために、日本が 1000億円出しますか。
なお、事業仕分けは、当時、自民党もやってまして、こちらでも、国策スパコン事業計画にはかなり点が辛かったようです。
河野太郎がアレコレ書いています。