2009年11月09日

◆ 電子申請システムの改善

 「電子政府」がかつて話題になったが、その顛末(てんまつ)
 国の電子申請システムは、利用率が極端に低いという。利用者に使いにくいし、システムも各省でバラバラ。では、どうすればいいか? ──

 国の電子申請システムは、利用率が極端に低いという。
 《 国の電子申請、利用率10%未満が3割 》
 総申請数に占める電子申請の割合を示す利用率が10%に満たないシステムは3割あった。利用率1%未満のシステムは2割弱。
 利用率は平均34%だったが、システムにより大きな偏りがあった。64システム中、20システムの利用率が10%未満で、うち10システムが1%未満だった。
( → 朝日新聞・朝刊 2009-11-08
 要するに、ほとんど無駄になっている。(なお、詳しい情報は紙の新聞にある。ネットにはない。)
 紙の新聞を読んでみると、とんでもないメチャクチャなシステムも結構あるようだ。利用者に使いにくいし、システムも各省でバラバラ。
 では、どうすればいいか? 池田信夫は「国が共通のシステムを導入せよ」と主張していた。しかし、それでは「共通の駄目システム」ができるだけだろう。コスト改善にはなっても、問題の解決にはなるまい。(かえって悪化するかも。)

 では、このような問題を解決するに、どうするべきか? 私としては、次のように主張したい。
 「官僚が発注して、ソフト会社が納入する、という発注法を改める。その中間に、ユーザーとソフト技術者の橋渡しをする調整者を置く」

 調整者とは、コーディネーターのことだ。ユーザーにとっての利便性を理解し、かつ、ソフトの技術もよく知っている人のことだ。

 具体的に例を挙げる。
 朝日の記事では、次の問題点が指摘されていた。
 「氏名の振り仮名を、ひらがなにするかカタカナにするか。生年月日の年を西暦にするか年号にするか。そういうことを統一することから始めなければならないが、各省が自分の方式を導入しようとして、話がまとまらない」
 ここでは、発注者たる各省がまとまらないから、ソフト会社としても何もできないで、話がまとまるのを待つしかない。すると、いつまでたっても、共通システムはできない。

 しかし、調整者(コーディネーター)がいれば、次のように提案する。
 「大丈夫です。ユーザーは、ひらがなでもカタカナでも、好きなように入力してください。どちらでも入力できます。各省の側も、ひらがなでもカタカナでも、好きなように、どちらでも出力できます。表現形式が異なっても、データの統一性は保たれます」
 これは、ソフトの知識があれば、簡単にわかる。ひらがなとカタカナを変換する関数があるからだ。どっちだって大丈夫なのだから、こんなことで悩まなくても済む。(コンピュータがデータ様式を自動変換してくれる。)

 年の表示だって同様だ。そもそも、年については、入力をする必要すらない。プルダウン・メニューで選択するだけでいい。

        1980年 | 昭和55年
        1981年 | 昭和56年
        1982年 | 昭和57年
        1983年 | 昭和58年
         :       :
         :       :

 というような表示をスクロールで出すようにして、そのうちの一つを選択してもらうだけでいい。
( ※ ついでに言えば、一番上のボックスは、入力可能にもしておく。そこに4桁の数字が出たら、西暦と認識すればいい。その旨の表示もしておく。)
( ※ また、半角数字にこだわらず、全角数時の入力も受け付けるといい。)

 こういうことはすべて、コンピュータが自動処理できることだ。コンピュータが自動処理できることについて、人間が「どうするか?」と悩む必要はないし、入力法法を1通りに制限する必要もない。 

 ──

 というわけで、調整者(コーディネーター)がいれば、問題は解決する。誰もが満足できるようなソフトの仕様にすればいいからだ。
 現状では、官僚はコンピュータの知識が皆無だし、ソフト技術者は利用者の利便性(ユーザーインターフェース)のことをろくに考えない人が多い。だから、メチャクチャなシステムが大量にできて野ざらしにされる。こうして税金の無駄遣いが起こる。

 コンピュータの知識がない人と、コンピュータの知識しかない人。……こういう無知な人々の間に立つ人物が、ぜひとも必要なのだ。
 それらの知識がなくても、せめて、自分たちが無知だということだけでも理解してほしいものだ。無知の知。

( ※ コンピュータ・リテラシーがないこと自体は、仕方ない。しかし、ないことを自覚することは必要だ。それを自覚すれば、「コンピュータ・リテラシーのある人に頼ろう」とするはずだ。……現実には、おのれの無知を理解しないまま発注するから、何百億円もの金がゴミを生み出す結果になる。あなたの家庭でも、千円ぐらいは損しているはず。)
 


 [ 付記 ]
 こんなマイナーな話題を何でまた書くのか? という疑問が生じるかもしれない。
 これを他山の石とするためだ。つまり、本サイトの読者には、IT関係者がけっこう多いのだが、そういう人々にとっても、かなり有益だろう、と思えるからだ。
 たいていのソフト技術者は、発注者の出した仕様にしたがってソフトを設計するが、それでは真に優れたソフトはできない。発注者はやたらと無駄な機能をてんこ盛りにしたがるが、それではそのソフトを利用する人々が大迷惑を受ける。
 その例が、メーカーのホームページだ。フラッシュを使って重たくするホームページが多い。これも、発注者の要求ばかりを聞いて、利用者(ホームページの読者)の要求を聞いていない例だ。
 だから、ソフトを開発するときは、ソフトのことなんか何も知らない発注者の要求を聞けばいいのではなく、発注者が本当に望んでいること(どんなことをしたいのかということ)を、聞き出すことが必要だ。そして、それには、「相手の心を読む」ということが大切になる。何を言いたいかも自分でわからない相手の気持ちを、きちんと読み取ることが大切となる。
 それは、ソフト技術者には、なしにくい。だから、人間を相手とする調整者(コーディネーター)が必要となるのだ。
posted by 管理人 at 19:50 | Comment(1) | コンピュータ_02 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分のよく使う市立図書館のネット予約システムが新規に作り直され、IDが13桁!!の番号になりました。
 その番号は、たとえば、0000000123456 と0が7個並んだあと、6桁の意味のある数値になっています。新規のシステムは、13桁全部打ち込むことになっています。それ以外の打ち込み方(たとえば0を省くなど)は許容されていません。
 さて、PCを使い慣れている自分でも0は何個になるんだっけ?と、これを打ちこむのにちょっと苦労しているのに、一般ユーザ、お年寄りの方など、打ち込むは難しいのではないでしょうか?システム設計時に、気づいてほしいものです。
  管理人さんの記事を見て思い出しました。


 ちなみに、VISAカードなどの番号は長い数字などですがハイフン"-"で区切って見やすくしてますよね。
Posted by ある図書館の利用者 at 2009年11月08日 20:05
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