2009年10月14日

◆ 進化は 変化か交替か

 進化とはどのようなものか? 次の二つの立場がある。
  ・ 進化とは、種の変化のことである
  ・ 進化とは、種の交替のことである ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-01-27 です。)


 上の二つの立場は、次の図で示せる。(下から上へ、時間順に進化する)

   henka.gif
      ( ※ 右図で なめらかさが不足しているのは、ごめんなさい。)



 (1) 変化

 左側は、「変化」を示す図だ。次の二点がポイント。
  ・ 下から上へ、なめらかに変化していく。(連続的変化)
  ・ 横方向は、すべて同じである。(種内ではどの個体も同等である)


 (2) 交替

 右側は、「交替」を示す図だ。次の二点がポイント。
  ・ 白と黒という二つのものがある。(非連続的な差)
  ・ 横方向では、比率が変化していく。(種内で勢力が変化する)


 ──

 「変化」という説では、種内のすべては同等である。そのすべてがいっせいに少しずつ変化していく。たとえば、「ホモ・ハビリス」という種が全体として少しずつ変化していく。(小進化)
 「交替」という説では、同時期に新種と旧種という二つの種が共存する。初めは旧種だけが存在していたが、あるとき新種が誕生する。その後、旧種と新種との間で勢力比が変わっていく。旧種はどんどん減り、新種はどんどん増える。そしてついに、旧種が絶滅して、新種ばかりになる。……ここでは、旧種も新種も、質的には変わらない。両者の勢力比が変わるだけだ。

 「優勝劣敗」という概念で言うなら、次のようになる。
 「変化」の場合には、「優勝劣敗」が起こるのは遺伝子である。
 「交替」の場合には、「優勝劣敗」が起こるのは種全体である。

 なお、新種が誕生する過程では、新種の内部において、遺伝子的に「優勝劣敗」の原理は働くが、それは大進化の形で急激に突発的に起こるだけだ。
( ※ 新種は新たな遺伝子を少しずつ獲得するのではなく、新たな遺伝子セットをもつ個体が急激に出現する。たとえば、ホモ・ハビリスがホモエレクトスに少しずつ変化するのではなく、ホモ・エレクトスが突発的に出現する。)


 ──

 以上は、二つの立場だ。この二つの立場は、それぞれ、次のことを結論する。

 (1) 可逆/不可逆

 「変化」説では、進化は可逆的である。新環境に移った種が、旧環境に戻れば、進化は逆転する。たとえば、人間が森に入れば、人間は猿になる。
 「交替」説では、進化は不可逆的である。新環境に移った種が、旧環境に戻っても、進化は逆転しない。たとえば、人間が森に入っても、人間は猿にならない。哺乳類が海に入っても、哺乳類は魚にならない。

 (2) 連続/断続

 「変化」説では、進化は連続的である。左側の図のような変化がずっと続く。たとえば、ホモ・サピエンスは、20万年前に出現したあと、たえず少しずつ変化している。20万年前のホモ・サピエンスと、現在のホモ・サピエンスとは、ほとんど別の種と言えるぐらい大幅に異なる。
 「交替」説では、進化は断続的である。右側の図のような変化が起こるのは、かなり短い期間にすぎない。それ以外では、黒だけの時期や白だけの時期がずっと続く。たとえば、ホモ・サピエンスは、20万年前に出現したあと、(小進化の違いはあるが)基本的には同じ種である。20万年前のホモ・サピエンスと、現在のホモ・サピエンスとは、亜種レベルの違いしかない。

 (3) 分岐の意味

 「変化」説では、分岐は種の分離を意味する。分岐したあと、二つの種はどちらも同じぐらい進化している。たとえば、キツネザルと人間は、住んでいる環境が異なるだけで、どちらも同じぐらい進化した種である。
 「交替」説では、分岐は新しい種の誕生を意味する。一方の種はそのままで、他方の種がまったく新たに誕生する。たとえば、人間はキツネザルを含む原猿類のあとで大幅な進化を何度も繰り返してできた種であるから、人間はキツネザルよりも圧倒的に進化した種である。一方、キツネザルは昔の原猿類の形質を大幅に残している古い種である。現代のキツネザルと、大昔の原猿類は、基本的には同じ仲間である。
 なお、「交替」説では、「交替」と「分岐」は、対比される概念である。旧種に対して新種が出現したとき、旧種と新種が異なる環境でそれぞれ生存するときには、それは「分岐」である。逆に、旧種と新種が同じ環境でどちらか一方しか生き残れなくなったときには、それは「交替」である。

 【 注記 】

 本項で示した「進化」は、大進化だけである。一方、小進化については、ダーウィニズムの原理がそのまま適用される。(ダーウィニズムが全否定されたわけではない。包含されているだけだ。)
 ダーウィニズムでは、小進化の原理だけで大進化を説明しようとした。(前項参照。)一方、本項で示した「交替」説では、小進化の原理に加えて、大進化の原理を導入している。( 1 ではなくて 1+1 という形)
 大進化の原理がどのようなものであるかについては、次項の「断続進化 (断続平衡説)」を参照。



 【 関連項目 】

 本項の話題は、次の項目で補充される。そちらも参照。

  → 断続進化 (断続平衡説)
   
 なお、本項の基礎となる話題もある。なるべく、そちらも読んでほしい。

  → 進化と変化
  → 分岐と進化
posted by 管理人 at 19:40| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ