2009年10月11日

◆ 進化と変化

 ダーウィニズムは、進化の本質を「変化」であると見なす。ここでは「進化」は「変化」のことである。とすれば、ダーウィニズムは(変化論ではあるが)進化論ではない、とすら言える。(ショッキングな表現だが。) ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2010-02-03 です。)

 前項では、次のように述べた。
 ダーウィニズムでは、「進化の蓄積」という順序的な概念はない。あらゆる進化は平等であると見なす。
 とすれば、そこには、「変化」という概念があるだけで、(順序的な)「進化」という概念そのものがない。
 このような発想を取ると、「進化」という概念がもはや消失してしまうことになる。

 化石によれば、進化の歴史は、次のようなものだった。(動物のみ)

  単細胞生物 → 動物節足動物など → 骨なし魚類 → 軟骨魚類 → 硬骨魚類 → 両生類 → 爬虫類 → 哺乳類


 これは「単純なものから複雑なものへ」という進化だった。化石を見る限りは、進化とはそういうものだ。
 しかしながら、ダーウィニズムでは、これらの各生物は、進化の段階ではどれも等しいことになる。つまり、このうちのどれかが特に進化しているわけではない。十億年以上も前の単細胞生物を起源として、現代では哺乳類や爬虫類や両生類などがたくさんいるが、それらの生物と、現代の単細胞生物とは、同じぐらい進化していることになる。

 しかし、このような発想を取れば、もはや「進化」という言葉が形骸化する。大昔の単細胞生物と同じような現代の単細胞生物と、哺乳類のように複雑な構造をもつ生物とが同じぐらい進化しているのだとすれば、「進化」という言葉がほとんど無意味になる。
 要するに、ダーウィニズムは、「進化」を説明しようとして、独自の原理(突然変異と自然淘汰という原理)を出したのだが、そこから示される「進化」というものは、本来の「進化」とは似て非なるものになってしまったのだ。
 たとえば、「猿の一種から人間は進化した」と示そうとしたのだが、現実に示したのは、「人間も猿も同じようなものであって、人間は単に脳が発達している猿にすぎない」というようなことになってしまった。
 そして、そこからは、次のような奇妙な結論が出る。
  ・ 人間と猿とは、形質の違いがあるにすぎない。
  ・ 形質の違いは、環境によって生じるにすぎない。
  ・ ゆえに、人間が森に入れば、人間は猿に進化するだろう。


 しかし、「人間が猿に進化する」ということは、決してありえない。なぜなら、「脳が退化する」ということは、ありえないからだ。( → 進化の不可逆性
 ダーウィニズムによれば、「人間が森に入ると猿になる」ということは起こりうるし、それもまた「環境に適した進化だ」ということになる。しかし、そのような意味での進化は、もはや「進化」という本来の概念を逸脱している。ダーウィニズムが説明しようとした「進化」は、進化そのものではないのだ。要するに、ダーウィニズムは、進化論ではないのだ! 
 
 では、ダーウィニズムは、進化論ではないとしたら、何なのか? 「進化」ではなく「変化」を示すから、「進化論」ではなく、「変化論」であると見なせる。生物の歴史における種レベルの「進化」を示すのではなく、個体レベルの「(器官の)変化」だけを示すわけだ。
 ただし、もう少し正確に言えば、ダーウィニズムは「小進化論」なのである。ダーウィニズムは、小進化の範囲については、完璧に成立する。次のように。
  ・ 進化は可逆的である
  ・ 環境の違いによって、形質Aと形質Bを行ったり来たりする。
  ・ 形質Aと形質Bとに、進化のレベルの違いはない。


 具体的な例は、ダーウィン・フィンチだ。ダーウィン・フィンチは、クチバシの大きさや形などが、少しずつ微妙に違う。
   → 画像写真
 これらのさまざまなダーウィン・フィンチについては、上記の3項目が成立する。

 では、このように「小進化」として示されるものは、何か? それは、「種の違い」ではなく、「亜種の違い」である。「亜種の違い」については、上記の3項目が成立する。
 だが、「亜種の違い」をいくら説明しても、それは「進化」を説明したことにはならない。なぜなら、「進化」とは、「亜種の違い」ではなく、「種の違い」であるからだ。
 結局、ダーウィニズムはあくまで「小進化・論」なのである。この意味でも、ダーウィニズムは「進化・論」ではない。

( ※ ダーウィンは、ダーウィン・フィンチをもって、進化の証拠と見なした。しかし、ダーウィン・フィンチの違いはすべて亜種の違いであるにすぎない、とすでに判明している。ダーウィンが進化の証拠と見なしたものは、実は進化の証拠ではなかったのだ。……この件は → 分岐と進化 の [ 補足1 ] )
  


  【 関連項目 】

 では、「小進化・論」でなく、「進化・論」とは? それについては、次項以降で示す。

  → 進化は 変化か交替か
posted by 管理人 at 18:00| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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