2009年10月05日

◆ 犬の小進化(品種改良)

 小進化の蓄積は、大進化をもたらさない。そのことは、犬の小進化(品種改良)を見るとわかる。犬には、小さいのや大きいのや、実に多様な品種がある。だが、いずれも亜種であって、犬という一つの種に留まる。つまり、品種改良でどんなに形質の差が大きくなっても、犬は別の種にならない。 ──

 「小進化の蓄積は、大進化をもたらす」
 という説がある。ダーウィン説がそうだ。「ダーウィン・フィンチの亜種の差がたくさん積み重なると、新たな品種になるだろう」というわけだ。
 しかし、このようなことは成立しない。つまり、小進化の蓄積は、大進化をもたらさないそのことは、犬の小進化(品種改良)を見るとわかる。

 ──

 犬には、小さいのや大きいのや、実に多様な品種がある。たとえば、次のように。(画像つき)
  → チワワ (体重3kg以下)
  → セント・バーナード (体重50kg以上)

 これらはほんの一例であり、実に多様な品種がある。体毛であれ、体色であれ、足の長さであれ、顔の長さであれ、まったく別の生物種であると思えるぐらいの形質差がある。しかしながら、いずれも亜種であって、犬という一つの種に留まる。
 つまり、犬は、品種間でどれほど形質の差が大きくなっても、別の種にならない。

 ──

 犬は形質差がどれほど大きくなっても、一つの種に留まる。では、そのことは、どうしてわかるか? 次のことからだ。
  ・ 交配が可能。(妊娠して子供が産まれる。)
  ・ 小進化は可逆的。
  ・ 変化の範囲は限られている。


 (1) 交配が可能

 原則として、品種間で交配が可能である。体の大きさゆえに、生殖器の差が生じて、実質的に交配が不可能になることもある。だが、大きいのと小さいのとの間に中間種をおけば、「小と中」「中と大」のように交配させることが可能だ。そして、その交配種同士を交配させることも可能だ。……この意味で、たがいに交配可能であり、犬は原則として一つの種なのである。

 (2) 小進化は可逆的

 一つの品種から別の品種を産み出すことができる。
 たとえば、チワワがいる。これからセントバーナードが生まれるということは、ちょっと信じられないが、数百年の品種改良をすれば、チワワからセントバーナードのような大型犬が生まれることは、まず間違いない。

 (3) 変化の範囲は限られている

 チワワからセントバーナードのような犬へと変化できるとしても、虎やライオンのように巨大化することはない。巨大化の範囲は限定されている。それはつまり、犬の突然変異の範囲は限られている、ということだ。

 ──

 以上のことをまとめると、次の図で示せる。

dog.gif

 犬の突然変異の範囲は、オオカミという原種を中心として、一定範囲の円内に収まる。
  ・ この円内では、交配が可能。
  ・ この円内では、小進化が可逆的。
  ・ この小進化の範囲は、円内のみ。(円の外に出られない。)

 このようにして、一定の円が定まる。それがつまり、「犬は一つの種である」ということだ。

 ──

 このことから、次のことが結論される。
  ・ 種の範囲内でいくら小進化が蓄積しても、大進化にならない。
  ・ 大進化を起こすには、種の範囲外に出る必要がある。


 では、「種の範囲外に出る」とは、どういうことか? それは、新種を形成するということだ。
 そして、新種を形成するか否かは、新しい円を作るか否かによって決まる。しかも、新しい円と古い円とを比べると、共通する部分がある。その共通する部分を経由して、古い円から新しい円が生じる。── それが進化だ。

 ※ 共通する部分なしに、いきなり新しい円が生じるわけではない。つまり、次の図のようにはならない。

        ◯ ◯
       旧種  新種

 ──

 ダーウィン説では、「小進化の蓄積で大進化が起こる」という発想を取った。その発想では、「進化は、点状の種が線状に動く」というふうになる。それゆえ、「小進化の範囲は一つの円に制約される」ということを理解できない。(一つの種の突然変異の範囲は限定されている、ということを理解できない。)……その問題点が、犬の小進化(品種改良)を見るとわかる。
 そしてまた、進化とは何かも、推察がつく。進化とは、種の円内で移動することではなく、種の円そのものを変えることだ。元の種の円の外に はみ出して、新たな種の円を作ることだ。それができたときに初めて「進化があった」と言える。
 この意味で、小進化の蓄積と、大進化とは、まったく違う。どんなに小進化が蓄積しても、大進化がなければ、進化したことにはならないのだ。
 犬の品種を見ると、そういうことがわかる。 

 [ 付記 ]
 ともあれ、犬の品種間の差に、大きく着目してほしい。
 単に形質の差だけを見ていると、犬の品種は「種の違い」のように見えるだろう。しかしながら、形質の差というのは、進化においてはあまり重要ではないのだ。
 進化において決定的に重要なのは、「新種の形成」である。それは「大進化」のことである。
 一方、「形質の差」なら、小進化だけでも生じる。犬の場合には、円がとても大きいので、小進化だけでも形質の差が大きくなる。しかし、いくら形質の差が大きくても、犬は一つの種に留まる。
 進化にはこういう面があるのだ。そして、そのことは、「進化は形質の差として起こる」というダーウィン流の発想を取っていると、いつまでたっても理解できないものだ。

( ※ たとえば、キリンだって、もしかしたら「首の短いキリン」と「首の長いキリン」が一つの種で同居していたかもしれない。亜種の差として。……そして、その場合には、「首が長い方が有利だから進化した」という説は成立しないことになる。形質の差と進化とは、直接の関係はない。そこに気づくことが大切だ。)



 【 関連サイト 】
 「旧種の円と新種の円とは異なる」ということについては、次のページで詳しく説明してある。詳しい話を知りたければ、そちらを参照。

  → クラス進化論「§二つの中心の関係」
posted by 管理人 at 19:47| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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