2009年10月05日

◆ 鳥類までの進化

 本項は、鳥類までの進化を述べる。鳥類のなかの進化(さまざまな鳥類の進化)については、下記項目を見て欲しい。
  → 鳥類の系統樹

 「鳥類と恐竜」との関係については、後日に新たな項目を記した。そちらを見てほしい。
  → 恐竜と鳥の系統図

 また、関連する一連の項目は、カテゴリ別の目次を見て、2010年9月の各項を見てほしい。
  → カテゴリ 「生物 ・進化」

 本項では、鳥類までの進化について、骨子をいくつか述べる。重要な骨子ではあるが、鳥類の進化そのものについて述べるわけではない。

 鳥類の進化そのもの(特に系統関係)については、上記のリンク先(系統樹)を見てほしい。
 
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 鳥類の進化を示す化石が見つかった。二つの例がある。
 (1) 羽毛をもつ最古の恐竜 (始祖鳥以前)
 (2) クチバシのある恐竜
 ここから、鳥類の進化を体系的に論じる。

 ──

 二つのニュースは別々なので、分けて論じる。

 (1) 羽毛をもつ最古の恐竜

 始祖鳥以前で、羽毛をもつ最古の恐竜。その化石が見つかった。
 中国東北部のジュラ紀後期(1億6100万年〜1億5100万年前)の地層から、前後の脚に長い風切り羽を持つ小型肉食恐竜の化石が見つかった。羽毛を持つ恐竜の全身骨格の化石としては最古とみられる。
 恐竜は、鳥類の祖先と考えられているが、実際に発掘された羽毛を持つ恐竜化石は白亜紀前期(1億2500万年前ごろ)のものが中心。一方、最古の鳥類とされる始祖鳥の化石はジュラ紀後期(約1億5000万年前)の地層から発掘されており、恐竜から鳥類への進化の過程が議論されていた。今回見つかった化石は鋭いかぎつめを持つトロオドンと呼ばれる肉食恐竜の仲間で、全長約50センチ。始祖鳥よりも古い化石とみられる。前後の脚に風切り羽があり、羽はうちわのような左右対称形だった。鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽は、先端に向かって細く左右非対称で、飛行に適した形に進化している。
 今回の発見によって、恐竜は最初に前後の脚に原始的な羽を持ち、やがて前肢の翼が発達して飛行能力を身につけ、鳥類に進化したと考えられる。
( → 毎日新聞 2009-09-26

 この化石は「アンキオルニス」という小型肉食恐竜。鳥に極めて近い恐竜で、腕や尾だけでなく、脚にも長い羽毛がついている様子がはっきりとみてとれる。
鳥へ進化する直前段階とみられる羽毛恐竜の化石はこれまでいくつか報告があるが、年代推定と保存状態がしっかりした化石は始祖鳥より新しい白亜紀(約1億4千万〜6500万年前)のものしか見つかっていなかった。このため「鳥類の祖先」が「最古の鳥類」より新しいのはおかしいという疑問が指摘されていた。国立科学博物館の真鍋真・研究主幹は「この化石は、鳥類の恐竜起源説の弱点を解消する存在になるだろう」と話す。(
( → 朝日新聞 2009-09-26

 アンキオルニスの画像 (ライブドアニュース)
 これによって「恐竜から鳥類へ」という進化の道筋が見えたように見える。だが、そう思うのは、全然間違っている。なぜなら、この系統の鳥類は、すべて白亜紀末に滅亡したからだ。現在の鳥類とは、全然関係がない。
 白亜紀以前の鳥類は、恐竜の一種であり、「古鳥類」と呼ばれる。
 現代の鳥類は、恐竜を祖先とするが、白亜紀末を生き延びた特殊な種類のもの(*)の子孫であって、古鳥類とは全然関係ない。
 なお、「白亜紀末を生き延びた特殊な種類のもの(*)」は、鳥類ではない。鳥型の恐竜であって、つまり、トサカをもち、鳥に似た雰囲気のある、中型の恐竜である。それは翼をもたず、小さな前肢を持つ。
   → オビラプトルの画像

 今回の発見の化石は、決して鳥類ではない。「空を飛ぶ爬虫類」「翼のある爬虫類」にすぎない。
 記事は、「鳥類」というものを一種類のものと見なしているが、とんでもない勘違いだろう。古鳥類の延長上に新鳥類がいるのではない。「古鳥類」は、翼をもつ爬虫類であって、「ヒレを持つ爬虫類」(魚竜)みたいなものである。古鳥類は、現代の鳥類とは全然関係ない。

bird.gif


( ※ 記事によれば、恐竜から鳥類へ分岐したのは、ジュラ紀であることになる。しかし、ジュラ紀に分岐したタイプのものは、すべて白亜紀末に滅亡した。現代の鳥類は、白亜紀末に分岐したもの[オビラプトルの仲間]から進化したのである。両者は全然別のものだ。「空を飛ぶものは鳥類」というような分類は、「海を泳ぐものは魚類」というのと同じようなもので、全然、系統というものを無視した発想だ。……ま、これも、今の進化論学者がデタラメぞろい、という見本か。)

 (2) クチバシのある恐竜

 では、鳥類の祖先は、何か? 翼をもつもでないとしたら、どんなものか?
 それは、翼のかわりに、クチバシをもつものだ。クチバシもつ恐竜が、現代の鳥類にいたる系統で、最古のものだと見なせる。
   → 画像 (朝日の記事)

 見ればわかるように、ダチョウに似た感じの恐竜である。上記のオビラプトルの仲間のうち、最古のものだと言えるだろう。時代はやはり、ジュラ紀である。
 以下、記事を引用しよう。
 《 くちばし持つ新種の恐竜「リムサウルス」 》
 中国北西部のジュンガル盆地にある約1億6千万年前(ジュラ紀後期)の地層から発掘された恐竜の化石が、新種だったと中国、米国などの研究チームが突き止めた。「リムサウルス(泥のトカゲ)」と名付けられた。前肢の指の特徴が鳥類と似ており、「鳥類の恐竜起源説」につながるものだ。18日付の英科学誌ネイチャーに発表される。
 この恐竜は体長 170センチほど。頭部は前後に短く、歯の代わりにくちばしを持つ。前肢が短く、体形はダチョウにやや似ているとみられる。東アジアでは見つかっていなかった獣脚類恐竜ケラトサウルス類の原始的な種として分類された。植物食とみられる。
 3本ある前肢の指は鳥類と同じで、元々5本あった指のうち、進化の過程で第1指(親指)と第5指(小指)が退化したとみられる。
 鳥類は恐竜起源説が有力だが、恐竜以前の爬虫(はちゅう)類などから進化したとの説もある。国立科学博物館の真鍋真・研究主幹は「獣脚類の3本指が、第2から第4の3本だったことを示す初めての化石だ。恐竜が鳥に進化したことを示す物的証拠になる」と話している。
( → 朝日新聞 2009-06-18

 《 鳥の恐竜起源説を補強 中国で発見 》
 鳥類の翼にある3本の指と同じ指を持つ恐竜化石を、中国科学院などの研究チームが、中国西部・新疆ウイグル自治区で発見した。
 鳥は恐竜から進化したとの説を補強する証拠になるという。18日付の英科学誌「ネイチャー」に発表する。
 化石は約1億6000万年前(ジュラ紀後期)の地層で見つかった。泥沼で堆積(たいせき)したらしく、ラテン語の泥(リムス)にちなんで「リムサウルス」と名付けた。全長は約 1.7メートルで、くちばしを持ち、植物を食べていたとみられる。リムサウルスの手は、親指と小指が退化し、鳥類の翼と同じ「人さし指、中指、薬指」の3本だった。
 羽毛を持つ恐竜の発見などから「鳥の祖先は恐竜」とする説が有力だ。だが、恐竜化石は「親指、人さし指、中指」の3本指とされ、「翼とは違う」とする反論も根強かった。
 国立科学博物館の真鍋真研究主幹は「リムサウルスの仲間から羽毛恐竜が生まれ、さらに鳥類が誕生したとすると、恐竜から鳥への進化をより合理的に説明できる。重要な化石だ」と話している。
( → 読売新聞・朝刊 2009-06-18 )
 ──

 とにかく、これが現代の鳥類にいたる恐竜のうちでも最古のものだ、と見なせる。(直系の祖先であるかどうかは別として。)
 つまり、鳥類の祖先は、「始祖鳥以前で翼のある恐竜」ではなく、「ジュラ紀後期においてクチバシのある恐竜」である。
 これがのちに、羽毛恐竜を経て、オビラプトルの仲間(白亜紀後期)にまで発達するのだろう。
 そして、そのうちの一部が、恐竜絶滅の例外として生き残った。その一部がさらに、翼をもつようになり、現代の鳥類へと進化した。

 (3) 前肢のない走鳥類

 このあと、別の話題に移る。
 オビラプトルの仲間(白亜紀後期)から、現代の鳥類までは、いかにして進化したか? それは、次の通り。

   オビラプトルの仲間 → 恐鳥類 → 走鳥類 → 新鳥類


 ここでは、重要なことがある。
 「恐竜の前肢が翼に変化したのではない。恐竜の前肢はいったん退化して消滅した。そして恐竜は、恐鳥類を経て、走鳥類になった。その後、走鳥類から翼が生えて、新鳥類となった」


( ※ この件、詳しくは、「走鳥類の進化」を参照。)

 [ 注記 ]

 「オビラプトルの仲間」と述べたが、この仲間のなかでも鳥類に近くて古いのは、カウディプテリクス(白亜紀前期)である。
   → カウディプテリクス(画像)
 
 この恐竜の歩き方(および後肢)は、走鳥類にそっくりだ、という指摘がある。
   → テリー・ジョーンズの指摘

 (4) 偽遺伝子(遺伝子が発現しなくなる状態)

 すぐ上のことは、遺伝子的には、次のようになる。(ここが肝心!)
 「恐竜の前肢が退化して消滅するというのは、恐竜の前肢の遺伝子が発現しなくなるということである。つまり、遺伝子が偽遺伝子になるということである。(偽遺伝子:遺伝子が発現しなくなったもの。)
 この状態で、偽遺伝子は急激に変化を繰り返す。(木村資生の中立説に基づく。)
 そのあと、偽遺伝子のうち、前肢の遺伝子が翼の遺伝子に変化したものが、突然、発現するようになる。こうして、翼の遺伝子をもつ個体が登場する」


 従来の説では、次のようになる。
 「前肢の遺伝子が一つ一つ突然変異で変化する。そうして逐次、有利な遺伝子が残ることにより、前肢の遺伝子が翼の遺伝子に変化する」

 しかしこの説は、理論的に成立し得ないはずだ。というのは、「前肢でも翼でもない中途半端なもの」は、一種のグロテスクな奇形であって、そんなものをもつ個体が生存できるはずがないからだ。

 私の説では、次のようになる。
 「前肢の遺伝子が眠る(発現しなくなる)。その状態で、大量の突然変異が繰り返される。そして、前肢の遺伝子が翼の遺伝子になったあとで、突然、翼の遺伝子をもつ個体が出現する。簡単に言えば、走鳥類が、前肢も翼もないまま、遺伝子レベルで急激な進化を起こす。そして、急激な進化のあとで、突然、翼を生やす個体が出現する。……この過程では、個体レベルでは進化は突発的だが、遺伝子レベルでは進化は連続的である」

 (5) 化石との整合性

 この説は、現実に適する。たとえば、あらゆる進化において、化石に見られる進化は断続的である。人類においても、あるとき突発的にクロマニョン人が生じて、そのあとは何十万年も、小進化しか起こっていない。(微小な遺伝子のさは生じても、同一種を保ち続けている。)
 遺伝子が連続的に進化するということと、個体の形質が断続的に進化するということとは、どちらも成立する。しかるに、従来の説では、
 「遺伝子が連続的に進化するなら、個体の形質も連続的に進化するはずだ」
 と考えた。つまり、化石から判明する事実に反することを主張した。そして、それはなぜかと言えば、
 「遺伝子は、発現しないまま突然変異を繰り返すことがある」
 という事実(偽遺伝子があるという事実)を、きちんと理解できないからなのだ。

( ※ この件、より詳しくは、クラス進化論 の 「第2部 概要」を参照。)

 
 [ 参考 ]
 私の進化論の発想では、「偽遺伝子」と同時に「ネオテニー」という原理が重要である。
 「ネオテニー」という原理を使うと、人類の進化がわかる。その具体的な説明は、下記に紹介文がある。
 → 知恵袋 その1その2
 それぞれ、「ネオテニー」という語で検索すると、紹介文が見つかる。



 以下、とても細かな話。原則として、読まなくてもいい。(暇な人向け。)

 [ 付記1 ]
 「クチバシのある恐竜」の参考文献。

 《 Limusaurus -- four fingers and a whole mess of homologies 》
  → 英文1

 《 Limusaurus -- an herbivorous ceratosaur? 》
  → 英文2

 《 'Missing link' fossil suggests birds ARE descended from dinosaurs after all 》
  → 英文3

 [ 付記2 ]
 本文の記事(クチバシのある恐竜)は、それはそれでいいのだが、ちょっと疑問に思える点も残る。記事を読めばわかるように、次の点が整合しない。
  ・ 獣脚類  …… 第1,2,3指の三本指
  ・ 鳥,今回 …… 第2,3,4指の三本指

 つまり、「指の進化」という点に着目すると、整合的でない。
 もっとはっきり「矛盾する」というふうに指摘している人もいる。
   → 鳥と恐竜の進化の矛盾(指の進化)

 この矛盾について、解決しようとして、次の仮説を出した人もいる。
 「鳥と恐竜は、共通祖先から分岐した」
( → 出典
 しかし、これはちょっと、苦しい。これはこれで非整合的だ。(恐竜から鳥類へ 、という流れを否定しているので。)

 では、真実は? 私の考えを言うなら、先に述べた発想を取れば、何も矛盾はない。
     恐竜 → 走鳥類 → 鳥類
 という順で進化したのであれば、走鳥類の段階で、いったんすべての腕と指は退化する。つまり、指の問題は、いったんチャラになる。いったんチャラになるのだから、そこには進化の系統性・連続性は必要ない。恐竜の指がどうであろうと、それとはまったく別に、ゼロから鳥類の指は作られたのだ。……こう考えることで、何も問題はない。(連続性を前提とすると矛盾するが、そもそも連続性が成立しないのだから、矛盾も生じない。)

 要するに、指の問題は、進化の問題とは何も関係がない、ということ。指の問題を、進化と絡めて考える必要は、まったくない。つまり、「考えるだけ無駄」ということだ。(というのも、話の前提の「進化の連続性」が、指についてはもともとも成立していないからだ。)
 
( ※ ただし、注意。「矛盾がない」というのは、私の説を取った場合に限る。つまり、「恐竜の腕がいったん消失する」という説を取った場合だ。一方、「恐竜のうでんがいきなり翼に変化する」という従来の説を取った場合には、矛盾は生じる。この点、注意のこと。逆に言えば、従来の説は、指の観点からして、矛盾を含む。それゆえ、従来の説は否定される。これはこれで、重要であろう。)
 
 [ 付記3 ]
 リムサウルスの指が鳥類と同じで、他の恐竜は鳥類とは異なる。
 このことは、従来の説では説明されなかったが、本項で紹介した記事では、「鳥類はリムサウルスから進化したと考えればいい」と説明している。
 しかし、これは成立しない。リムサウルスは、記事にもあるように、ジュラ紀後期の恐竜だからだ。一方、鳥類は、白亜紀末の獣脚類(鳥型恐竜)から進化した。これはリムサウルスとはつながらない。
 ゆえに、「リムサウルスから鳥類が進化した」という説は成立しない。

 進化の順で言えば、「鳥型恐竜 → 鳥類」という従来の説の通りでいい。ただし、「鳥類ではいったん前肢を失った」というふうに考える必要がある。
 こう考える場合、次のように言える。
 「鳥類は恐竜の直系の子孫ではない。直系の子孫はすべて絶滅した。一方、恐竜から分岐して別の生物となった鳥類は、絶滅しなかった」
 なお、ここでは、「分岐」というものが進化において非常に重要だ、という発想を取る。そのことが、指の説明からも、明らかになる。
  参考 → 分岐と進化
 


 【 関連項目 】

 前項でも、鳥類と走鳥類との関係について論じている。竜骨突起の意味など。

  → 進化の逆行? (鳥類で) (前項)
 
 ──

 鳥類の進化については、のちに、大幅に書き改めた。
 新しい見解は、下記に記してあるので、そちらを参照。

  → 恐鳥類と走鳥類
  → 走鳥類の位置づけ[修正]   【 重要 】
  → 走鳥類とドードー
  → 鳥類の本質
posted by 管理人 at 16:10| Comment(2) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
走鳥類そっくりの恐竜(カウディプテリクス)の話を、 (4) の前に [ 注記 ] として加筆した。
  タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2009年10月04日 21:04
[ 付記3 ] を新たに加筆しました。
 恐竜の指と鳥類の指が違うことについて。
 リムサウルスとの関係も示す。
 (リムサウルスは鳥類とは関係がなく、単に偶然の一致だったろう、という趣旨。)
Posted by 管理人 at 2010年09月17日 23:28
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