( ※ 本項の実際の掲載日は 2013-03-29 です。)
フェアトレード商品は「フェア」と謳っているが、それは、「自分たちの商品はフェアだが、他の商品はフェアではない」という意図なのだろう。
しかし、数字を見ると、そうではないとわかる。
簡単にモデル化すると、次のようになる。
| \ | 買い入れ価格 | 販売価格 |
| 一般商品 | 3 | 100 |
| フェアトレード | 6 | 200 |
一般的な 商品 は、買い入れ価格が 3 で、販売価格が 100 である。
フェアトレードは、買い入れ価格が 6 で、販売価格が 200 である。
比率だけを見るなら、どちらも同様だ。また、フェアトレード商品は、買い入れ価格が2倍になっているので、生産者の手取りは2倍だ。その意味では、生産者は潤う。
しかしながら、生産者以外の取り分を見ると、次のようになる。
・ 一般的な 商品 は、 97( = 100− 3 )である。
・ フェアトレードは、 194( = 200− 6 )である。
ここで、途中の流通経費はどちらも同様で 70 だと仮定しよう。すると、最終的な販売業者の取り分は、次のようになる。
・ 一般的な 商品 は、 27( = 97−70 )である。
・ フェアトレードは、124( = 194−70 )である。
つまり、フェアトレードの方が、圧倒的に暴利をむさぼっている。
ま、現実には、中間業者の取り分が同じということはない。フェアトレードの方は、中間業者が非効率なので、非効率さに消えてしまう分が多い。
そうではあるが、それでも、途中で消えてしまう金額には圧倒的に差がある。
・ 一般的な 商品 は、 97( = 100− 3 )である。
・ フェアトレードは、 194( = 200− 6 )である。
結局、フェアトレード商品は、一般的な商品と比べて、「生産者に届かずに消えてしまう額」は、2倍ぐらい多いのだ。その分、アンフェアである度合いは大きい、と言える。
つまり、フェアトレード商品は、普通の商品に比べて、いっそうアンフェアなのだ。
( ※ フェアトレードが、真にフェアであるならば、普通商品に比べて、せいぜい1割高の価格で販売するべきなのだが。)
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では、どうすればいいか? 次の二つの道がある。
(1) 大手企業のフェアトレード
大手企業のフェアトレード商品は、効率低下のデメリットが小さい。だから、大手企業のフェアトレード商品ならば、勝手もいい。たとえば、無印良品の商品だ。
→ 無印良品のフェアトレード商品
ただしこれを見てもわかるが、馬鹿高いというほどではないにせよ、一般商品に比べると、かなり高い。
なぜか? フェアトレード商品は、大手企業の商品であっても、かなり非効率であるからだ。販売量が少ないので、どうしても非効率になる。価格的ないしコスト的には、100 に対して 200 にはならなくとも、130ぐらいにはなるから、どうしても非効率さが目立つ。
大手企業のフェアトレード商品(やや高額)は、NPO のフェアトレード商品(超高額)に比べれば、はるかにマシではあるが、あまりお勧めはできない。
(2) 一般商品にフェアトレードのラベルを貼る
うまい方法がある。一般商品にフェアトレードのラベルを貼ってしまえばいい。そうすれば、コスト的にはほとんど無駄が発生しない。実質的には、シールを貼るだけで済む。「フェアトレードシール」を、「新規のバーコード」といっしょに貼るだけだ。(スーパーでは値引き商品にバーコード付きのシールを貼っているが、あれと同様だ。)
ただし、この場合、シールを貼るのにともなって、フェアトレードの費用を上乗せする。その額は、5〜10%ぐらいだ。
例。100円の商品に、フェアトレードシールを貼って、105円〜110円で販売する。
このあと、追加で上乗せした金は、ユニセフに送ればいい。
→ 日本ユニセフ サヘル地域への基金
この場合、資金の送り先は、コーヒーの生産者ではなくて、アフリカの一般民衆であるが、そんなことはいちいち気にしなくていいだろう。もともと「援助」が目的なんだから、最初から「援助」のために金を使えばいい。
「それじゃコーヒー生産者の自立を助けることができない」
と思うかもしれないが、そいつは勘違いだ。コーヒー生産者の自立を助けるために必要なのは、「コーヒーの高値買い取り」なんかじゃない。「生産技術の指導」という、技術援助だ。金じゃなくて、知恵の援助だ。
その意味では、「コーヒーの高値買い取り」よりは、(農業指導のための)「青年海外協力隊」のような方針を推進する方が、ずっと効率的だ。
ただ、政府のやる量は限られているので、民間のボランティアもある。
→ Google 検索
こういう民間援助団体に協力することが、現地の生産業者を豊かにする。なぜなら、生産技術が向上すれば、生産量は大幅に増えるからだ。前項でもベトナムの例を示したとおり。
→ フェアトレードとベトナムコーヒー
ここでは、「コーヒーの高値買い取り」よりは、「コーヒーの生産量の増加」の方が、圧倒的に効果があるわけだ。
一方、フェアトレードによる高値買い取りというのは、たったの1割程度の価格アップでしかない。
現地港渡し価格(FOB)の10%前後が、奨励金として通常の支払いと別に、生産者の代表グループ(Joint Body)に支払はれます。たったの 10%だ! 呆れる。これっぽっちの額しか生産者には渡さないくせに、消費者には2倍か3倍かの高値で売りつけるのだ。いかにアンフェアであるかわかるだろう。あこぎな悪徳商人と同様だ。
( → フェアトレードとは )
( ※ なお、「最低買入れ価格の保証」なんて言っているが、その額は、あまりにも低い。上記サイトでは 131セント である。そこにある相場では、254セントであるから、何の意味もない。ちなみに、現時点の価格を調べると、こうだ。
→ 米国コーヒー 先物 取引
変動は多いが、かなり高値に収まっている。 131セント という安値になることはほとんどない。つまり、「最低買入れ価格の保証」なんて、意味がない。こんなことをしているからといって、立派なことをしている、と自慢しないでほしい。)
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結論。
フェアトレード商品は、「これはフェアです」と謳っているが、実は他の一般商品と同様で、アンフェアである。額そのものを言えば、他の一般商品よりもはるかにアンフェアである。アンフェアである度合いは、2倍程度だ。
その理由は、価格があまりにも高いからだ。そうなる理由は、販売量が少なすぎて、あまりにも非効率だからだ。
では、フェアにするには、どうすればいいか?
販売者の立場ならば、普通商品に「フェアトレード」というシールを貼って、少額の上乗せをすればいい。そのあとは上乗せ分を、ユニセフに寄付すればいい。(民間の農業ボランティアに寄付してもいい。)
消費者の立場ならば、各人が自発的に普通の商品を買ってから、ユニセフに寄付すればいい。たとえば、1000円の商品を買ってから、3円程度をユニセフに寄付すればいい。これによって、2000円のフェアトレード商品を買う場合と、同様の額が途上国に渡る。あるいは、2000円のフェアトレード商品を買うかわりに、1000円の商品を買って、2000円との差額の 1000円をユニセフに寄付すればいい。( 1000円の寄付は、フェアトレード商品を 66万円分も購入したのと同じぐらいの効果がある。すごい!)
このようにすれば、本当の意味でフェアになる。
アフリカの人々を救うには、コーヒーの買い取り価格をたったの 10%程度上げても、ほとんど「焼け石に水」である。それで価格上昇の恩恵を受ける人も少数ながらいるが、大多数には影響しない。
そんな小規模なことをするよりは、むしろ、「生産技術の指導」という形で、一国全体の農業技術を進展させた方がいい。
なすべきことは、ほんの小額の金を恵んでやることではなくて、多額の金を生み出せる知恵を授けることだ。日本にはその技術と知恵がある。それこそ、途上国に授けるべきものなのだ。
魚を与えるよりは、魚を釣るための釣り竿を与えよ。そしてまた、知恵と技術を。
