2009年09月15日

◆ フェアトレードはアンフェア

 フェアトレード商品は、「フェア」と謳っているが、実は「アンフェア」である。普通の商品以上に、アンフェアである。 ──
    ( ※ 本項の実際の掲載日は 2013-03-29 です。)


 フェアトレード商品は「フェア」と謳っているが、それは、「自分たちの商品はフェアだが、他の商品はフェアではない」という意図なのだろう。
 しかし、数字を見ると、そうではないとわかる。

 簡単にモデル化すると、次のようになる。

     \ 買い入れ価格 販売価格 
 一般商品    3   100 
フェアトレード    6   200 


 一般的な 商品 は、買い入れ価格が 3 で、販売価格が 100 である。
 フェアトレードは、買い入れ価格が 6 で、販売価格が 200 である。

 比率だけを見るなら、どちらも同様だ。また、フェアトレード商品は、買い入れ価格が2倍になっているので、生産者の手取りは2倍だ。その意味では、生産者は潤う。

 しかしながら、生産者以外の取り分を見ると、次のようになる。
  ・ 一般的な 商品 は、 97( = 100− 3 )である。
  ・ フェアトレードは、 194( = 200− 6 )である。


 ここで、途中の流通経費はどちらも同様で 70 だと仮定しよう。すると、最終的な販売業者の取り分は、次のようになる。
  ・ 一般的な 商品 は、 27( = 97−70 )である。
  ・ フェアトレードは、124( = 194−70 )である。

 つまり、フェアトレードの方が、圧倒的に暴利をむさぼっている。

 ま、現実には、中間業者の取り分が同じということはない。フェアトレードの方は、中間業者が非効率なので、非効率さに消えてしまう分が多い。
 そうではあるが、それでも、途中で消えてしまう金額には圧倒的に差がある。
  ・ 一般的な 商品 は、 97( = 100− 3 )である。
  ・ フェアトレードは、 194( = 200− 6 )である。


 結局、フェアトレード商品は、一般的な商品と比べて、「生産者に届かずに消えてしまう額」は、2倍ぐらい多いのだ。その分、アンフェアである度合いは大きい、と言える。
 つまり、フェアトレード商品は、普通の商品に比べて、いっそうアンフェアなのだ。
( ※ フェアトレードが、真にフェアであるならば、普通商品に比べて、せいぜい1割高の価格で販売するべきなのだが。)
 
 ──

 では、どうすればいいか? 次の二つの道がある。

 (1) 大手企業のフェアトレード

 大手企業のフェアトレード商品は、効率低下のデメリットが小さい。だから、大手企業のフェアトレード商品ならば、勝手もいい。たとえば、無印良品の商品だ。
  → 無印良品のフェアトレード商品

 ただしこれを見てもわかるが、馬鹿高いというほどではないにせよ、一般商品に比べると、かなり高い。
 なぜか? フェアトレード商品は、大手企業の商品であっても、かなり非効率であるからだ。販売量が少ないので、どうしても非効率になる。価格的ないしコスト的には、100 に対して 200 にはならなくとも、130ぐらいにはなるから、どうしても非効率さが目立つ。
 大手企業のフェアトレード商品(やや高額)は、NPO のフェアトレード商品(超高額)に比べれば、はるかにマシではあるが、あまりお勧めはできない。

 (2) 一般商品にフェアトレードのラベルを貼る

 うまい方法がある。一般商品にフェアトレードのラベルを貼ってしまえばいい。そうすれば、コスト的にはほとんど無駄が発生しない。実質的には、シールを貼るだけで済む。「フェアトレードシール」を、「新規のバーコード」といっしょに貼るだけだ。(スーパーでは値引き商品にバーコード付きのシールを貼っているが、あれと同様だ。)
 ただし、この場合、シールを貼るのにともなって、フェアトレードの費用を上乗せする。その額は、5〜10%ぐらいだ。
 例。100円の商品に、フェアトレードシールを貼って、105円〜110円で販売する。

 このあと、追加で上乗せした金は、ユニセフに送ればいい。
  → 日本ユニセフ サヘル地域への基金

 この場合、資金の送り先は、コーヒーの生産者ではなくて、アフリカの一般民衆であるが、そんなことはいちいち気にしなくていいだろう。もともと「援助」が目的なんだから、最初から「援助」のために金を使えばいい。

 「それじゃコーヒー生産者の自立を助けることができない」
 と思うかもしれないが、そいつは勘違いだ。コーヒー生産者の自立を助けるために必要なのは、「コーヒーの高値買い取り」なんかじゃない。「生産技術の指導」という、技術援助だ。金じゃなくて、知恵の援助だ。
 その意味では、「コーヒーの高値買い取り」よりは、(農業指導のための)「青年海外協力隊」のような方針を推進する方が、ずっと効率的だ。
 ただ、政府のやる量は限られているので、民間のボランティアもある。
  → Google 検索
 
 こういう民間援助団体に協力することが、現地の生産業者を豊かにする。なぜなら、生産技術が向上すれば、生産量は大幅に増えるからだ。前項でもベトナムの例を示したとおり。
  → フェアトレードとベトナムコーヒー
 ここでは、「コーヒーの高値買い取り」よりは、「コーヒーの生産量の増加」の方が、圧倒的に効果があるわけだ。

 一方、フェアトレードによる高値買い取りというのは、たったの1割程度の価格アップでしかない。
 現地港渡し価格(FOB)の10%前後が、奨励金として通常の支払いと別に、生産者の代表グループ(Joint Body)に支払はれます。
( → フェアトレードとは
 たったの 10%だ! 呆れる。これっぽっちの額しか生産者には渡さないくせに、消費者には2倍か3倍かの高値で売りつけるのだ。いかにアンフェアであるかわかるだろう。あこぎな悪徳商人と同様だ。

( ※ なお、「最低買入れ価格の保証」なんて言っているが、その額は、あまりにも低い。上記サイトでは 131セント である。そこにある相場では、254セントであるから、何の意味もない。ちなみに、現時点の価格を調べると、こうだ。
  → 米国コーヒー 先物 取引
 変動は多いが、かなり高値に収まっている。 131セント という安値になることはほとんどない。つまり、「最低買入れ価格の保証」なんて、意味がない。こんなことをしているからといって、立派なことをしている、と自慢しないでほしい。)

 ──

 結論。

 フェアトレード商品は、「これはフェアです」と謳っているが、実は他の一般商品と同様で、アンフェアである。額そのものを言えば、他の一般商品よりもはるかにアンフェアである。アンフェアである度合いは、2倍程度だ。
 その理由は、価格があまりにも高いからだ。そうなる理由は、販売量が少なすぎて、あまりにも非効率だからだ。

 では、フェアにするには、どうすればいいか?
 販売者の立場ならば、普通商品に「フェアトレード」というシールを貼って、少額の上乗せをすればいい。そのあとは上乗せ分を、ユニセフに寄付すればいい。(民間の農業ボランティアに寄付してもいい。)
 消費者の立場ならば、各人が自発的に普通の商品を買ってから、ユニセフに寄付すればいい。たとえば、1000円の商品を買ってから、3円程度をユニセフに寄付すればいい。これによって、2000円のフェアトレード商品を買う場合と、同様の額が途上国に渡る。あるいは、2000円のフェアトレード商品を買うかわりに、1000円の商品を買って、2000円との差額の 1000円をユニセフに寄付すればいい。( 1000円の寄付は、フェアトレード商品を 66万円分も購入したのと同じぐらいの効果がある。すごい!)
 このようにすれば、本当の意味でフェアになる。
  
 アフリカの人々を救うには、コーヒーの買い取り価格をたったの 10%程度上げても、ほとんど「焼け石に水」である。それで価格上昇の恩恵を受ける人も少数ながらいるが、大多数には影響しない。
 そんな小規模なことをするよりは、むしろ、「生産技術の指導」という形で、一国全体の農業技術を進展させた方がいい。
 なすべきことは、ほんの小額の金を恵んでやることではなくて、多額の金を生み出せる知恵を授けることだ。日本にはその技術と知恵がある。それこそ、途上国に授けるべきものなのだ。

 魚を与えるよりは、魚を釣るための釣り竿を与えよ。そしてまた、知恵と技術を。
posted by 管理人 at 19:30 | Comment(1) | エネルギー・環境1 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
似た話をどこかで見たような…と思ったら、低所得者救済のつもりで行う食料費の軽減税率によって、実はより高価な食生活を送っている富裕層の方が、より大きな恩恵を受けるという話と同じ図式のような気がします。全体で見れば、目的を達成するために必要な額以上のコストがかかってしまうという点においても。
Posted by kuro* at 2013年04月01日 21:30
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