2009年09月13日

◆ 休校(休園)するべきか?

 豚インフルエンザの感染拡大にともなって、「休校(休園)するべきか」と悩んでいる学校・保育園が多いという。悩んでいるところが多いのならば、マスコミは正解を教えるべきだ。正解は知られているのだから。 ──

 豚インフルエンザの感染拡大にともなって、「休校(休園)するべきか」と悩んでいる学校・保育園が多いという。
  新型インフルエンザの感染が広がる中、各地の保育園で休園するかどうか判断が分かれている。
 保育園での集団感染について、厚生労働省は自治体に対し、「必要に応じ」休園要請するよう通知。明確な基準はなく、自治体によってばらつきが出ている。
 横浜市は先月、保育園で集団感染があった場合、市側が園に対し、登園自粛を求めるとする通知を出した。市保育運営課は「休園を否定するわけではないが、親の負担など社会的影響も考慮した」と説明する。
 一方、東京都墨田区や長崎市では先月以降、集団感染が発生した保育園に休園を要請。同市幼児課は「保健所と相談して決めた。

 分園に1歳女児を預ける会社員女性(36)は休園中、仕事を休んだ。女性は「今回は同僚に理解してもらったが、これで今後は簡単には休めなくなった」と話す。
 神奈川県鎌倉市の保育園「オランジェ」(園児72人)では先月下旬、園児ら計19人がインフルエンザに感染。だが、休園はせず、感染した園児らの登園自粛で乗り切った。冨田知敬園長(38)は「休園は保護者への影響が大きい。感染予防策で乗り切れると考えた」。
 園には「感染が怖いと家族が言っている」「休園すべきだ」といった指摘も寄せられた。冨田園長は「正しい判断だったか」と今も思い悩むが、園の判断を支持する保護者も多い。
 次女(2)が感染し、同園を約10日間休ませたという横浜市栄区の主婦(36)は「普通の風邪と同じだった。休園ではなく、感染した子供の登園自粛で十分だったと思う」と話した。
( → 読売新聞 2009-09-13
 読売は「判断が分かれている」というふうに報道しているが、正解はすでに知られている。米国 CDC が「なるべく休校するな」と述べているのだ。
  → なるべく休校するな
 だから、「迷っている」という報道をするのであれば、それに続けて、「休校しないのが正しい」という専門家の指針を示すべきだ。

 読売は愚かだが、上記の鎌倉の幼稚園は、読売ほど愚かではない。毎日の記者に、次のように答えている。
 冨田知敬園長は「休園すると保護者がパニックになる可能性がある。医師と相談して、季節性インフルエンザと同様の対応をすることにした」と話した。
( → 毎日新聞 2009-09-13
 とても賢明な判断だ。「医師と相談して」ということからして、読売の記者よりもずっと賢明だ。(騒ぐしか能がない記者とは全然違う。)

  ────────────

 もう少し論理的に考えよう。選択肢としては、次の四つがある。
  1. 休校しない
  2. 当面は休校しないが、冬季のピーク期にのみ短期間だけ休校する
  3. 当面は休校するが、冬季の流行期には休校しないでいる
  4. 当面も、秋も、冬季の流行期も、ずっと休校しっぱなし
 このうちのいずれかだ。
 私としては、2番目を推奨する。しかしながら、パニックになった人々は、4番目を取る。これは最悪だろう。ずっと休校しっぱなしになれば、社会的に大混乱だ。豚インフルエンザの被害よりもさらにひどい被害が生じる。(会社を休み続けた親はクビになるだろう。)

 では、なぜ、多くの学校・幼稚園は、4番目を取るか? それは、次のことを狙っているからだ。
 「当面は休校する。その後、休校の時期が終わって秋になったら、インフルエンザは収束しているので、休校しないで済む」
 こういうふうに思っているのだ。しかしこれは、とんでもない対策だ。比喩的に言えば、次のことだ。
 「危険な自動車が近づいたので、大あわてで身を交わそうとして、車道の真ん中に飛び出して、死んでしまう」
 つまり、危険を避けようとして、あえて危険に正面衝突することになる。それというのも、危険がどこに来るかを、全然理解できていないからだ。

 豚インフルエンザは、今後、どんどん流行の程度を高めていく。とすれば、ピーク時にぶつかるのをなるべく避けることが大事だ。それはつまり、「ピーク時にのみ休校する」ということだ。(上記の2番目。)
 ところが現実には、人々は、大あわてしたあげく、「感染者の少ない時期に休校して、感染者の多い時期に休校しない」あるいは、「ずっと休校しっぱなし」という措置を取りたがる。狂気の沙汰だ。

 そして、どうしてこういうことが起こったかというと、専門家がきちんと説明しないからだ。
 たとえば、感染症情報センター長の岡部という人は、「一斉休校は正しかった」と主張している。しかし、県内の一部でちょっと感染者が出たからといって、件の全体で休校するような大騒ぎをするとしたら、上の4番目を選ぶことになる。つまり、パニック騒ぎによる大混乱だ。

 マスコミはきちんと正解を報道するべきだ。つまり、CDC の方針を。そして、その前提として、次のことを示すべきだ。
 「豚インフルエンザは、今後ますます感染者が増えていく。今という時期を避けても、感染を避けられるわけではない。そもそも、豚インフルエンザは、季節性インフルエンザと大差ない」


 上の鎌倉の幼稚園は、きちんと正解を理解している。マスコミもそのくらいの知恵を持ってほしいものだ。わからなければ、幼稚園児に聞くといい。幼稚園児の方が、ずっと賢明だ。パニックになる大人よりも。



 [ 付記1 ]
 実を言うと、今現在の時点では、感染を避けるよりも、感染しておいた方がいい、とも言える。その方が免疫をつけられるからだ。
 「幼稚園児は免疫力が少ないぞ」
 という声もあるだろうが、それは関係ない。別に、冬まで待ったところで、免疫力が高まるわけではないからだ。ま、強いて言えば、「ワクチンを接種するまで待つ」というのならば、意味がある。とはいえ、ワクチンの接種はずっと先だから、それまで2カ月ぐらい休校し続ける必要がある。(どうせ休校するならば。)
 「幼稚園児は免疫力が少ないぞ」
 というのは正しい。だが、それは、「感染したらタミフルを飲めばいい」という指針にはなるが、「まだ暖かい時期に休校する方がいい」という指針にはならない。
 私が思うに、暖かい時期に休校すればするほど、暖かい時期にのうちに免疫をつけることができなくなり、秋の感染で重症化する幼稚園児が増えるだろう。休校すればするほど、被害はかえって増える。

 [ 付記2 ]
 休校は、まったく無意味なわけではない。(冬の)流行のピーク期に限っては、休校は意味がある。感染者の総数を減らすことはできないが、ピーク期の山を低くして、平坦化する効果があるからだ。(そのことで医療資源を有効に使える。)
 この件は、WHO も示している。
  これまでの経験から、学校がパンデミックウイルスを学校内や地域社会に伝染拡大する役割を果たしていることが示される。学校での感染が重要な役割をしているが、単一の手段では感染防御や制限はできない。
 体調が悪い人は家に留まるべきである。学校で体調が悪くなった人を隔離する場所を確保する必要がある。
 地域の感染の広がる速度を遅くし、感染のピークをならすことが、率先的な学校閉鎖の結果としての主な利点が得られる。医療の供給能力が飽和した状態ではこの利点が特に重要となる。伝播速度を遅らせることで、ワクチンや抗ウイルス薬などの資源を供給しやすくする。
( → WHOの指針 (原文つき)
 このように、ピーク時には、休校の効果がある。
 一方、感染の初期に休校をすると、流行の時期全体を遅らせる効果がある。その意味は、「秋の流行を遅くして、冬の流行にする」ということだ。それは当然、被害を大きくする。あえて自動車に正面衝突するような方針だ。

 人々は、危険を避けようとして、あえて危険に正面衝突する。……その愚をきちんと指摘する必要がある。
( ※ 特に、感染症情報センター長の岡部という人は、あえて正面衝突させようとして、デマを振りまいている。こういうふうにデマで社会的被害をもたらそうとする人物を、指弾することが必要だ。)
( ※ ついでに言えば、「タミフルを乱用しよう」というふうに CDC の方針とは逆のことを述べている医師も、大問題だ。)

 [ 付記3 ]
 本項の結論を簡単に言うなら、こうだ。
 「9月には休校して、そのあとの(秋冬の)流行期には休校しない、というのであれば、これほど馬鹿げたことはない。それは気違いの方針だ」
 「だから、9月に休校するなら、このあと半年間、ずっと休み続けよ。それによって、幼稚園を倒産させてしまえ。さらには、親をクビにしてしまえ。小さなインフルエンザを恐れて、社会を大々的に破壊してしまえ。……それは大馬鹿者の方針だ」
 「馬鹿でも気違いでもないのであれば、当面は休校しないで、冬のピーク期にだけ休校せよ」



 【 関連項目 】

  → なるべく休校するな
posted by 管理人 at 10:33 | Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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