先の「エコ詐欺の減税」の続き。
自動車のエコ減税について、「現状では、重たいものほど優遇される」と述べたが、そのせいで、(同一車種では)燃費の悪いモデルの方が減税になることがある。エコ減税でなく、浪費減税。この点、注意しよう。 ──
ちょっと古い話題。自動車の減税(エコ減税)の話。
( ※ 掲載日は本日ですが、書いたのは かなり前です。豚インフルエンザの連載中だったので、掲載を持ち越しました。)
今回のエコ減税の趣旨は、「燃費のいいものほど減税する」ということだ。車齢 13年以上のものから乗り換えると 25万円の減税だが、そうでなくても、省燃費基準を満たすと、10万円の減税になる。
ただし、注意。ここでは、「燃費のいいものほど減税する」ということは、必ずしも成立しない。「燃費の悪いものほど減税する」という例もある。特に、同一車種では、「燃費の悪いモデルほど減税する」ということがしばしば見られる。
どうしてか? それは、減税の基準が、燃費ではないからだ。では何かというと、「車重ごとの燃費」である。
たとえば、次の2タイプがあったとしよう。
・ A …… 軽くて、燃費は良い。
・ B …… 重くて、燃費は悪い。
常識的に言えば、Aが減税で、Bが増税だ。しかし現実には、Bの方が減税になることがしばしばある。というのは、「重量に応じた燃費」というのが基準になっているからだ。
たとえば、GT というモデルに対して、GTX という上級モデルがあったとする。GT に比べて GT は装備が追加されて、重量が 30キログラム重くなり、燃費が 0.3km/L 悪くなったとする。とすれば、重くて燃費の悪い GTX の方が税金で不利になって当然だ。しかし現実には、そうならず、GTX の方だけが減税になる、ということが起こる。
これはどうしてかというと、GTX は重量増によって、「上の重量クラス」に分類されてしまうことがあるからだ。ボクシングで言うと、1階級上のクラスに分類されることになる。そして、その上のクラスでは、GTX の燃費基準はかなり悪い。燃費基準はかなり悪いから、その基準に比べれば、GTX は燃費が大幅に良いことになる。(燃費の実際値ではなくて、基準値に対する達成率。)
つまり、重量が上のものほど、基準が甘い。甘い基準に対して、燃費の達成率が上がる。重くなることで、燃費が 0.3km/L 悪くなっても、基準が甘くなるから、「燃費のいい車」と分類されるわけだ。
このことは一般に、「重たいハイブリッド車」について成立するのだが、同一車種内の別モデルでは、もっとひどい形で成立するわけだ。「重たいハイブリッド車」ならば、曲がりなりにも他車種よりは燃費がいいのだが、同一車種での「重たいモデル」ならば、同一車種よりも燃費は悪いのに、「他車種よりは燃費がいい」ということで、減税になってしまうのだ。
結論。
(絶対的に)燃費のいいものが減税になる、ということは成立しない。(相対的に)重量に比べて燃費のいいものが減税になる、ということが成立する。
それゆえ、同一車種内では、「燃費の悪いものの方が減税になる」ということが、しばしば見られる。(ケース・バイ・ケースだが)
だから、国から金を取ることを狙うならば、燃費の悪いものを購入することを、よく考慮しよう。
( ※ メーカー・オプション品をたくさんつけて、どんどん重くすると、うまく重量区分を越えて、減税になりそうだ。未確認だが。)
( ※ 逆に言えば、メーカーは、重たい鉛などを無駄にくっつけたモデルを作るといいかもしれない。カローラやフリードみたいな車に、やたらと重りを付けて、車重を重くする。そのことで、1つ上のクラスに分類されるようにして、減税を狙う。そのあとで、重たいものをはずしてもいい。……こういうインチキによって、まんまと減税を受けることが可能だ。合法的な脱税。)
[ 付記1 ]
こういうことが起こるのも、この制度が根本的に欠陥があるせいだ。だから、こんな馬鹿げた制度はやめてしまえ、というのが、本項の趣旨。脱税しましょう、という趣旨ではない。(そもそも、違法な脱税にならない。むしろ政府がそれを「すばらしい」と推奨している。国が狂気状態。)
なお、まともな政策が何かについては、前述。
→ エコ詐欺の減税
[ 付記2 ]
ディーゼルについては、環境に悪いものを推奨している。
→ ディーゼルの環境汚染
※ 「クリーン・ディーゼル」はクリーンではない、という話。
それでも現在の税制では、エコだとして非常に優遇される。
【 参考 】
関連するニュース。
→ トヨタ、新型プリウス発売 事前受注好調、8万台突破
→ 日産、エコカー減税効果で5月受注が3割増で推移
( ※ この時期はロイターだが、誤り。正しくは、「減税対象車のみ」が3割増。典拠は朝日新聞 2009-05-20 。日産は全体では、売上げが減っている。)
2009年09月07日
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