豚インフルエンザ対策として、政府は新方針を決めた。が、まだ問題点はいくつか残る。それらの問題点を列挙する。 ──
豚インフルエンザ対策として、政府は新方針を決めた。( 6月19日。)
→ 政府の新方針(厚労省)
これについて、すでにいくつかの難点を示したが、再掲を厭わず、列挙しよう。
( ※ 前にも類似の話を述べた。 → その1 ,その2 ,その3 )
(1) 院内感染
「すべての医療機関で」という方針を取った場合、院内感染の危険がある。
これを避けるために、政府方針では、
「医療機関内の受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど発熱外来機能を持たせる」
というガイドラインを示している。しかし、これは、やらないよりマシとはいえ、ちょっといい加減すぎますね。 (^^);
たとえば、大病院で、この方針を取っても、入口や受付ではたくさんの患者がいっしょになる。当然、院内感染の恐れはある。(病院の入口から待合室までの間で。)
(2) 遺伝子検査の有無
遺伝子検査(PCR検査)の有無について、方針がはっきりとしない。
各県においては、「今秋以降はPCR検査をしない」という方針が取られつつあるようだ。(ニュースによる。)
一方、「集団発生した場合にはPCR検査をする」という政府方針もある。( → CBニュース )
いったい、PCR検査を、やるのか、やらないのか?
現実には、能力的に「やりたくても やれない」となる。たったの 300人でもパンクした大阪の例もあるし、1000人でパンクしたオーストラリアの例もある。患者が数百万人にもなったら、PCR検査など、いちいちできるはずがない。そもそも、やったとしても、何の意味もない。(患者がまだ少数だった春ならともかく、蔓延期では。)
とすれば、「やらない」という方針をはっきり示すべきなのだが、それが示されていない。
(3) タミフルと遺伝子検査
タミフルは、季節性インフルエンザには、耐性ゆえに無効となる。とすれば、タミフルを処方するのは、豚インフルエンザに限られる。
つまり、タミフルを処方するのであれば、あらかじめ「季節性インフルエンザでなく豚インフルエンザであること」を確認することが必要だ。そのためには、簡易検査では足りず、遺伝子検査をする必要がある。
しかしこれは、(2) に矛盾する。……なのに、このことが、はっきりと示されていない。問題だ。
(4) リレンザの処方
この問題(ウイルスの耐性化の問題)に対処するには、
「季節性インフルエンザでも豚インフルエンザでも有効」
という薬を使う必要がある。それは、タミフルでなく、リレンザだ。(ペラミビルもあるが未承認。)
つまり、「遺伝子検査をせずに使えるのは、リレンザだけであり、タミフルはダメ」なのだ。にもかかかわらず、そのことが広報されていない。
(5) タミフルの備蓄
タミフルは季節性インフルエンザには無効だ。とすれば、豚インフルエンザだか季節性インフルエンザだかわからない患者には、リレンザを処方するしかない。(前記)
にもかかわらず、政府や自治体は、タミフルの備蓄ばかりを増やしている。これでは、方針が反対だろう。リレンザの在庫を増やすべきなのに、すでに耐性ウイルスのあるタミフルを備蓄するのでは、何にもならない。
また、すでに「タミフル耐性」の豚インフルエンザ・ウイルスがときどき発生している。となると、遠からず、「タミフル耐性」の豚インフルエンザ・ウイルスが流行するだろう。
そのとき、タミフルはすべてゴミになる。(季節性インフルエンザにも豚インフルエンザにもタミフルは無効になる。) にもかかわらず、政府や自治体は、タミフルの備蓄ばかりを増やしている。
(6) リレンザの在庫と備蓄
タミフルがダメなら、リレンザを取ればいい。にもかかわらず、政府や自治体は、タミフルの備蓄ばかりを増やしているせいで、リレンザの備蓄を増やさない。
また、今秋以降、(馬鹿な政府を無視して)医者はリレンザを大量に処方することになりそうだが、そうなると、リレンザの在庫が不足しそうだ。
となると、在庫不足に対処するためにも、リレンザの備蓄を増やしておくべきなのだ。なのに、そうしていない。
このままだと、今秋以降、世界的に「リレンザ不足」が発生して、大騒ぎになりそうだ。パニック?
「リレンザ寄越せ! リレンザ寄越せ!」
日本では、そういうこともありそうだ。
(7) リレンザへの耐性ウイルス
では、リレンザの在庫や備蓄を大量に蓄積すればいいのか?
ま、単に蓄積するだけなら、問題はない。ただし、現実にリレンザを大量に処方するのは、問題だ。というのは、大量に処方すると、薬剤の乱用の結果、耐性ウイルスが発生しかねないからだ。
リレンザでは、今のところは耐性ウイルスは発生していないが、まだ乱用されていないからだろう。しかし、タミフルが使えなくなったあと、リレンザがかわりに乱用されると、リレンザへの耐性ウイルスが発生しかねない。
すると、どうなる?
普通の人にとっては、どっちみち同じだろう。「リレンザを服用しないで感染する」というのが、「リレンザを服用しても感染する」というふうになるだけだ。ま、無駄な薬を服用するので、余計なお金がかかるが、その程度の違いでしかない。
一方、重症者・虚弱者にとっては、大きな差が出る。リレンザの乱用がなければ、重症者・虚弱者は優先的にリレンザを服用できたので、大きな問題を避けることができた。ところが、リレンザの乱用のせいで、リレンザへの耐性ウイルスが出現すると、もはやリレンザは無効となり、生命を奪われる危機に瀕する。
だから、大切なのは、
「ウイルスの耐性化を阻止すること」
であり、そのためには、
「薬剤の乱用をしないこと」
が必要なのだ。にもかかわらず、政府は、逆の方針を取りつつある。「患者は全員、病院に行って、薬を処方してもらえ」と。
ここでは、政府は、なすべきこととは正反対の方針を取りつつあるのだ。
( ※ この件、前にもあちこちで述べた。 → 政府の方針転換 など。)
【 補説 】
結果的にどうなるかを、予測してみよう。
・ 世間は、豚インフルエンザに大騒ぎ。
・ しかし現実には、季節性インフルエンザが大半。(前項を参照)
・ タミフルを投与するが、無効。処方した医者は指弾される。
・ リレンザを投与する医者が増える。
・ リレンザが不足して、「リレンザ不足!」のパニック。
・ そのうち、豚インフルエンザもタミフル耐性になる。
・ 豚インフルエンザにも、リレンザが処方される。
・ ますますリレンザが不足して、パニックが拡大。
・ 「患者は寝ていろ」と言っても聞き入られず、患者が殺到。
・ 他の診療科でも、医療資源が尽きて、大混乱。
・ インフルエンザの重症者に回すリレンザが払底して、死者続出。
・ 医者のためのリレンザもなくなり、医者がどんどん倒れる。
・ あらゆる病院が大混乱。国中がパニックで滅茶苦茶。
[ 余談 ]
政府やマスコミは、豚インフルエンザに大騒ぎをしている(いた)。だが、実は、豚インフルエンザは、たいした問題ではない。何だか何だいっても、しょせんは季節性インフルエンザと大差ない。
なるほど、死者は多大に出るだろうが、それは、毎年の季節性インフルエンザの死者と同様だ。それらの死者が、次の二者択一になるだけだ。
・ 季節性インフルエンザで死ぬ
・ 豚インフルエンザで死ぬ
どっちだって大差ないのである。ウイルスの種類がちょっと違うだけのことだ。もともとインフルエンザで死ぬような健康状態の人は、しょせんはこのどちらかのインフルエンザで死ぬはずだし、だったら、いちいち「豚インフルエンザは危険だ」と騒いでも無意味なのだ。(その区別もできないで、「豚インフルエンザは死者多数だから危険だ」と騒ぐ阿呆が多すぎる。)
それよりは、もっとずっと重要な問題がある。それは、救急医療の問題だ。ここでは、救えるはずの命が、簡単に失われてしまう。それというのも、政府が「救急医療に回す金がない」というだけのことで。
(金がないから、救急病院に医者が集まらず、そのせいで、医療能力不足となり、患者のたらい回しが発生して、救えるはずの命が消えてしまう。)
自民党の公約 …… 高速道路は 1000円均一!
民主党の公約 …… 高速道路は 無料化!
人の命を救うための金はないが、ガソリンを浪費させるための金ならたっぷりある。そういう狂気的な政策なされている。それが、現状だ。
では、どうして? 自動車会社と、自動車労連とが、これらの政党にがっぽり献金しているからだ。政党は悪党に買収されてしまっている。
そしてまた、普段は「エコ」を口にしている朝日新聞も、高速道路無料化という「反エコ」については、口にチャックをしている。どうして? 自動車会社の広告料がほしいから。
すべて、同じ穴のムジナ。悪党に買収されてしまっている。
その結果は? 「豚インフルエンザは大変だ」とオオカミ少年のように大騒ぎしたあげく、救急医療に回す金がなくなって、その金はみんなガソリン浪費のために消えてしまう。そのせいで、運ばれた患者の命も、消えてしまう。
結果として、増えるのは? 悪党連中と、耐性ウイルス。減るは国民の命ばかり。
2009年07月10日
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